資金繰りとは?経営者や経理担当者が気をつけるべきポイントを徹底解説

2024年11月18日

資金繰りとは?経営者や経理担当者が気をつけるべきポイントを徹底解説

安定した経営を続けていく上では資金繰りが重要といっても過言ではなく、日頃から資金繰りをおこなっていないと最悪は倒産してしまうおそれがあります。

しかし資金繰りにどのように気を付ければ良いのか分からない方も中にはいるのではないでしょうか。

そこで今回は資金繰りの基礎知識や資金繰りが悪化する主な原因、資金繰りを改善する方法、よくある質問などを紹介していきます。

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資金繰りとは

資金繰りとは会社の収入・支出を管理することであり、資金を確保できるように収支の過不足を調整します。

資金繰りの資金は現金や有価証券、コマーシャルペーパーなどすぐに支払いに回せるもののみを指し、売掛金や上場株式、定期預金、不動産など解約・現金化に時間がかかるすぐに支払いに回せないものは資金に含まれず、資産に該当します。

安定した経営をおこなう上では安定した資金を確保することが重要であり、どんなに多くの利益を出していても資金ショート(資金不足)に陥ると、それ以上経営を続けていくことができません。

資金繰りが悪化するのはなぜ?

安定した経営や利益のためには資金繰りが重要だと多くの企業が理解していますが、それでも資金繰りが悪化してしまうケースも珍しくありません。

ここでは資金繰りが悪化する主な理由を紹介していきます。

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赤字状態の継続

赤字とは得られる収入よりも支出が上回っている状態を指し、赤字状態が資金繰りが悪化する原因の1つになる場合があります。

赤字状態に陥っていても、一般的に3ヶ月以内に赤字状態から脱することができるのであれば、資金繰りの悪化に繋がらない傾向にあります。

ただし、赤字状態が長期化した場合は大きく資金繰りが悪化し、売上に連動しないテナント料など固定費の支払いが滞ってしまうでしょう。

売上の急激な拡大

長期間の赤字が資金繰りの悪化につながりますが、売上が急激に拡大した場合も資金繰りが悪化する原因となります。

例えば3億円の注文を得られたとしても、収入として入るよりも前に3億円分の仕入れなどのコストが発生し、顧客からの入金が数か月後であれば資金繰りが大きく悪化してしまうおそれがあります。

売掛金の入金遅れ

未回収の売掛金は帳簿上は利益が出る見込みがあっても、手元にはまだ資金がない状態であり、回収が遅くなれば資金繰りが悪化する原因の1つになります。

売掛金の回収を前提に支払いを考えていても取引先の入金遅れが発生する場合があるほか、取引先の倒産による貸し倒れが起きると損失だけが発生し、資金繰りが悪化してしまいます。

未回収の売掛金が多ければ帳簿上は黒字でも資金繰りが追いつかないことで、最悪は黒字倒産してしまうケースもあります。

金融機関から借りられない・月々の返済額が大きい

金融機関から借りることで倒産を防ぎやすくなるものの、あまりにも月々の返済額が大きい、もしくはすでに借入可能額を超過している場合は、手元に十分な資金を残すことができず、資金繰りが悪化してしまう原因になります。

返済期間の延長を相談するか、最初から返済期間が長い金融機関で借入を申し込むようにしましょう。

仕入れ・在庫コストの増加

仕入れた商品が売れ残る滞留在庫・余剰在庫、不良品などの不良在庫になった場合、利益にならないばかりか、税金・保管費用・廃棄コストによって損失が発生し、資金繰りが悪化する原因の1つになります。

リスクを防ぐ意味では在庫を持たないことが理想的だといえますが、物販ビジネスなどの場合は現実的ではないため、最初から売れる見込みのある数だけを仕入れ、余った場合は在庫処分することが望ましいです。

資金繰りが悪化するデメリット

資金繰りが悪化すると手元に残る資金が少なくなるだけでなく、その他にもさまざまなデメリットが発生します。

ここでは資金繰りが悪化する主なデメリットを紹介していきます。

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黒字でも倒産するリスク

大きな利益を出していたり、帳簿上は黒字だったりしても実際に手元に支払いができるだけの資金がなければ、テナント料や人件費など必要な支払いが滞ってしまい、黒字倒産してしまうリスクがあります。

投資や在庫が現金化されるまでに時間がかかるほか、未回収の売掛金が多い、金融機関への返済額が高額などの要因が重なれば最悪は黒字倒産になるおそれがあります。

金融機関からの借り入れの評価対象にならなくなる

金融機関は法人の現金収支が分かる資金繰り表などを確認したうえで借り入れを承認するかどうかを審査しますが、資金繰りが悪化している場合は「貸し倒れリスクが高い」と判断されて承認されなくなる傾向にあります。

また資金繰りの悪化によって必要な支払いが滞っている場合、信用情報にも傷がついているため、さらに金融機関の目が厳しくなってしまいます。

財務状況が把握できなくなる

財務状況を正確に把握していなければ資金繰りが悪化しやすい状況になりますが、すでに資金繰りが悪化している場合、余裕を十分に持てないことでさらに財務状況の把握が難しくなります。

また財務状況を把握していない場合、対応が遅れることで必要な支払いも滞ることで信用情報を傷つけてしまいやすい状態になります。

資金繰りを改善させる方法

経営を立て直すためには可能な限り早期に資金繰りを改善しなければなりませんが、どうすれば良いのでしょうか。

ここでは資金繰りを改善させる主な方法を紹介していきます。

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資金繰り表の作成とコスト管理

資金繰り表とは一定期間の収入・支出・預金残高を記録した管理表のことであり、現在から将来の資金繰りの状況を把握できるため、資金繰りの悪化を防ぎやすくなります。

日本政策金融公庫が公表しているものなど資金繰り表はテンプレートがあるので、初めて資金繰り表を作成する方はダウンロードすると良いでしょう。

売掛金・買掛金の管理と交渉

資金繰りを改善させるためには、売掛金の回収と買掛金の支払いは可能な限り早期に対応することが望ましいです。

売掛金の回収期間の長さに比例して資金繰りが悪化していくため、自社に不利にならない契約を最初から結んだり、前倒しで現金化できる手形割引を活用したりすると良いでしょう。

支払いが必要な買掛金は徹底的に管理したうえで、資金繰りが悪化していることを説明し、支払うタイミングを変更できないか交渉しましょう。

金融機関との交渉

金融機関から借り入れをしている場合、返済期間の延長・月々の支払い額を少なくしてもらえるように交渉しましょう。

必ずしも交渉に応じてくれるとは限りませんが、多くの場合は返済が滞るよりも着実に返済して欲しいと金融機関側は考えているため、資金繰りの状況を説明したうえで事前に交渉すると承認されやすい傾向にあります。

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資金繰りに関するよくある質問

資金繰りとキャッシュフローの違いは?

資金繰りとキャッシュフローは混同されやすい傾向にありますが、両者は大きく目的が異なります。

キャッシュフローはすでに発生した資金の流れであり、過去から現在までの流れを把握することで手元の資金を確認しつつ、将来の売上目標などを考えます。

資金繰りは将来の資金の流れを把握・管理する対応であり、入出金のタイミングを把握することで資金不足に陥る事態を回避します。

資金繰り表の作り方は?

資金繰り表に決まったフォーマットはありませんが、日本政策金融公庫が公表しているものなど無料の資金繰り表テンプレートがあるので、特に初めて取り組む方はダウンロードしておきましょう。

テンプレートにはさまざまな種類がありますが、あまりに複雑な資金繰り表ではかえって資金の把握が難しくなるため、自社にとって使いやすいテンプレートを使うことが望ましいです。

資金繰りについてもっと知りたい場合どうすればいい?

多くの企業が資金繰りに課題を感じていますが、資金繰りで資金の流れを把握してもなかなか良い改善策が思いつかず、悪循環に陥っているケースも珍しくありません。

資金繰りを改善したい場合に役立つのが経営改善をサポートするコンサルタントであり、長年の経験と成功事例に基づいて効果的な提案をしてもらえます。

資金繰りが難航している場合は、経営改善を専門とするコンサルタントを利用すると良いでしょう。

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まとめ

安定した経営をおこなう上では資金繰りが最重要だといっても過言ではなく、長期的な赤字や急激な売上の拡大、売掛金の入金遅れなどが発生すると資金繰りが悪化し、最悪は倒産してしまうおそれがあります。

また帳簿上は黒字に見えたとしても未回収の売掛金が多ければ手元に十分な資金がない状態であり、資金繰りを改善できないことで黒字倒産してしまうケースも珍しくありません。

常に手元の資金・収入・支出を把握することが安定した経営の第一歩であり、資金不足に陥りそうなタイミングがある場合は、早急に対策しましょう。

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担当者T.Aのイラスト

記事の監修者

平林 英雄

行政書士・保育士・AFP

新卒でコンサルティング会社に入社し、10年間にわたり中小企業の経営計画策定や新規事業の立ち上げ支援に従事。飲食、介護、福祉分野のチェーン本部を経験した後、独立し行政書士としての活動を開始。
現在は法人設立や資金調達などの創業支援、許認可取得や補助金申請などの中小企業支援をおこなっている。2021年より中小企業庁の認定経営革新等支援機関。