共同生活援助とは？グループホームとの違いや種類を徹底解説

共同生活援助（グループホーム）は、障がいのある方が地域で自立した生活を送るための大切な福祉サービスです。

しかし「どんな人が利用できるのか」「費用はどのくらいか」「どんな支援が受けられるのか」など、詳しく知らない方も中にはいるのではないでしょうか。

そこで今回は共同生活援助の概要やグループホームとの違い、利用条件、支援内容を網羅的に詳しく紹介します。

共同生活援助とは

共同生活援助は、障害者総合支援法に基づき、障がいのある方が地域で安心して暮らせるように生活支援をおこなう制度です。

食事や金銭管理など日常生活をサポートし、自立を後押しする役割を持ちます。共同生活援助＝グループホームと考えて問題ありませんが、厳密には以下の違いがあります。

• 共同生活援助：法律上のサービス名称
• グループホーム：共同生活援助を実際に提供する住まいの場

ここでは共同生活援助の概要をさらに詳しく解説していきます。

共同生活援助とグループホームとの違い

共同生活援助とグループホームは混同されやすい用語ですが、厳密には意味が異なります。

共同生活援助は、障害者総合支援法に定められた福祉サービスの1つであり、地域で自立した生活を営むために日常生活を支援する制度上の名称です。

一方で、グループホームとは、その共同生活援助を実際に提供する住まいの形態を指す一般的な呼称です。

つまり「サービス」と「住まい」という関係にあり、法律上の正式な用語は「共同生活援助」ですが、現場ではまとめて「グループホーム」と呼ばれることが多くあります。

援助を受けながら地域で共同生活を送ることができる

共同生活援助は、障害のある方が地域で自立的に暮らしながら必要な援助を受けられるよう設けられた制度です。

目的は、入所施設に頼らず、地域社会の一員として暮らせるよう支援することにあります。

共同生活援助の現場で重要な役割を担うのが世話人や生活支援員です。それぞれ主に以下の対応をおこないます。

【世話人の対応】
・日常生活の相談や助言をおこない、安心した暮らしを支援
・生活リズムや人間関係づくりをサポート

【生活支援員の対応】
・食事や清掃、洗濯など生活全般の実務を支援
・金銭管理や服薬確認など、健康や生活の安定を支える

共同生活援助は「援助を受けながら地域で共同生活を送る」ことを可能にし、社会とのつながりを保ちながら自立を目指せる支援となっています。

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サービスの対象となる人

共同生活援助の対象となるのは、障害者総合支援法に基づき日常生活の支援を必要とする方です。対象となる方は、主に以下の通りです。

【対象者】
・身体障害者
・知的障害者
・精神障害者（発達障害を含む）
・難病患者など

【年齢条件】
・原則18歳以上
・特例として15歳以上から認められる場合がある

家庭での生活が難しかったり、早くから自立を目指していたりするなどの特別な事情があれば、次の条件を満たした場合に限り、特例として15歳以上からの利用を可とするケースもあります。

1. 児童相談所長が「利用が適当」と認めた場合
2. その旨を 市区町村長に通知し、正式な支給決定がおこなわれた場合

ただし、この特例は全国一律ではありません。自治体によって判断基準は異なり、15歳以上での利用が認められないケースもあるため、あらかじめ管轄の自治体に確認することが望ましいです。

利用料は1割負担

共同生活援助の利用料は、障害者総合支援法に基づき原則1割負担と定められています。サービス利用者やその家族は1割を負担し、残りは公費で賄われます。

ただし、実際に支払う金額は世帯の収入状況に応じて月額上限額が設けられており、過度な負担にならないように配慮されています。

主な区分は、以下の通りです。

世帯収入区分	月額上限額	負担の目安
生活保護世帯	0円	自己負担なし
市町村民税非課税世帯	0円	自己負担なし
一般1（所得割28万円未満）	9,300円	月の自己負担は最大9,300円
一般2（所得割28万円以上）	37,200円	月の自己負担は最大37,200円

共同生活援助のみに絞ったデータではありませんが、厚生労働省の「障害福祉サービス等の現状」によると、93.3%のサービス利用者が自己負担なしで障害福祉サービスを利用しています。

家賃、食費などの支払いが必要

共同生活援助では、サービス利用料の1割負担に加えて、日常生活に必要な実費を自己負担する必要があります。主な出費は以下の通りです。

• 家賃：部屋の使用料
• 食費：朝昼夕の食事代
• 光熱水費：電気・水道・ガスなどの生活インフラ費
• 日用品費：洗剤やトイレットペーパーなど共用物品費

これらはサービス給付の対象外であり、各グループホームごとに金額が定められています。

ただし、家賃負担については「特定障害者特別給付費」などの補助制度を利用でき、一部が助成される場合があります。

つまり、共同生活援助を利用する際には、サービス利用料だけでなく生活に直結する費用も必要ですが、補助制度を活用することで負担を軽減できる仕組みになっています。

共同生活援助の4種類

共同生活援助には、サービス利用者の生活スタイルや支援ニーズに応じて主に次の4つの種類があります。

種類	特徴
介護サービス包括型	介護も含めて一体的に支援
日中サービス支援型	日中も活動や見守りを提供
外部サービス利用型	外部事業所の介護・支援を利用
サテライト型	本体ホームと連携した小規模住居

ここでは上記4つの種類をさらに詳しく解説していきます。

介護サービス包括型

介護サービス包括型は、共同生活援助の中でも最も手厚い支援がおこなわれるタイプです。

特徴は、食事・入浴・排せつといった日常生活上の介護を含め、生活全般を一体的にサポートする点にあります。

【サービス内容】
・食事、入浴、排せつなどの身体介護
・掃除や洗濯などの日常生活援助
・健康管理や服薬確認

【人員配置基準】
・サービス利用者数に応じて世話人・生活支援員を配置
・さらに介護職員を加え、常に安定した支援体制を確保

主な対象者は、食事や入浴に介助を要する方や日常生活全般で支援が欠かせない方です。

障害支援区分では、区分4以上の中重度の障害を持つ方が中心となる傾向があります。介護サービス包括型は、安心して地域で暮らし続けるための基盤となる仕組みといえます。

日中サービス支援型

日中サービス支援型は、共同生活援助の中でも24時間体制で支援を提供するタイプです。

一般的なグループホームは夜間や休日を中心に支援がおこなわれますが、このタイプでは日中も常時スタッフが配置され、生活全般のサポートを受けられる点が大きな特徴です。

【支援内容】
・食事や入浴、排せつなどの介護
・日中活動の場が外にないサービス利用者への生活支援や見守り
・服薬管理や健康面のフォロー

対象者は、重度の知的障害や身体障害によって、日常生活に常時支援が必要な方で障害支援区分が高いサービス利用者が多く入居しています。

また、この型には「重度障害者支援加算」などの特有の加算制度が設けられており、事業所は十分な人員配置を確保しやすく、サービス利用者にとっても安心して生活できる環境が整えられます。

日中サービス支援型は、重度障害者が地域で暮らすために不可欠な仕組みといえます。

外部サービス利用型

外部サービス利用型は、グループホーム内での生活支援を基本としつつ、介護や専門的な支援を外部の居宅介護事業所から受ける仕組みです。

ホームには世話人や生活支援員が配置され、相談対応や食事、掃除などの支援をおこないますが、入浴や排せつ介助など専門性の高い支援が必要な場合には外部事業所と連携します。

【連携の方法】
・入浴や排せつ介助、移動支援などは訪問介護事業所が担当
・グループホーム職員と情報共有をおこない、生活全体を支援

このタイプは、ある程度は自立できている一方で部分的に介助を必要とする主に以下のような方に向いています。

• 身体障害があり、入浴時のみ介助が必要な方
• 知的障害があるが、日常生活はほぼ自立している方
• 精神障害があり、服薬管理を重点的に支援してほしい方

外部サービス利用型は、必要なときに必要な支援を柔軟に受けられる点が特徴で、自立を維持しながら地域で生活を続けたい方に適しています。

サテライト型

サテライト型は、本体住居で支援を受けながら、少し離れたサテライト住居（一般住宅の一室など）で生活するタイプです。

本体住居では職員が常駐し、食事提供・相談・見守り・緊急時対応を提供します。一方、サテライト住居では自炊や家事、金銭管理などを自ら実践し、単身生活の経験を積みます。

• 本体住居：支援の拠点（相談・食事・安否確認・緊急対応）
• サテライト住居：個別居室での自炊・家事・金銭管理等を自己実践

この仕組みは一人暮らしへの移行支援として位置づけられ、自己管理力を高めつつ孤立を防げます。

多くの場合、一定の利用期間が設けられ、状況に応じて一般賃貸等への移行など完全な自立を目指します。

共同生活援助はいずれも自立を目的としていますが、サテライト型はその中でも最も自立に近づいているタイプといえます。

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利用までの流れ

共同生活援助を利用するには、いくつかの手続きが必要です。主な流れは以下の通りです。

1. サービス利用申請：市区町村へ申請（1,2週間）
2. 支援計画の作成：相談支援専門員と計画を策定（1,2週間）
3. 受給者証の取得：自治体から交付（約2,4週間）
4. 体験利用の活用：数日から数週間の試験的利用
5. 正式契約の締結：事業所と契約し利用開始

このような流れを経て、安心してサービスを利用できる体制が整います。

ここでは各ステップの手続きを詳しく解説していきます。

サービス利用申請

共同生活援助を利用するには、市町村の障害福祉担当窓口で申請が必要です。申請時には以下の書類を提出します。

• 障害者手帳（身体・療育・精神いずれか）または医師の診断書
• 印鑑や本人確認書類
• 所得状況を確認できる書類（課税証明など）

申請後は、必要に応じて障害支援区分の認定調査がおこなわれます。これは心身の状態や生活の困難さを確認し、必要な支援を判断する重要な手続きです。

調査結果は審査会で判定され、その等級に基づいて利用できるサービスが決定します。申請から認定までには通常1ヶ月ほどかかるため、早めの準備が望ましいです。

この流れを経て、共同生活援助の利用に向けた第一歩が整います。

支援計画の作成

共同生活援助を利用するには、指定特定相談支援事業者によるサービス利用計画案の作成が必要です。

相談支援専門員が本人や家族と面談し、生活状況や希望を丁寧にヒアリングした上で計画をまとめます。

【計画に含まれる主な内容】
・生活上の課題や必要な支援内容
・共同生活援助の利用目的と目標
・支援の方法や頻度、他の福祉サービスとの連携

計画は本人の希望を尊重して作成され、「自立のために料理を覚えたい」「服薬を忘れないように支援してほしい」といった具体的な要望も反映されます。

完成した計画案は市町村に提出され、サービス利用の可否や内容を決める基礎資料となります。本人主体の自立した生活を実現するための重要なステップです。

受給者証の取得

共同生活援助を利用するには、市町村による支給決定を経て「受給者証」を取得する必要があります。

支給の決定は、申請内容や支援計画案、障害支援区分の結果をもとに審査され、利用できるサービスの内容が確定します。

• 受給者証の役割：サービス利用を正式に認める証明書
• 記載内容：利用者の氏名、サービス種別、支給量、負担上限月額、有効期間など
• 有効期間：原則1年間で、更新手続きにより継続可能

受給者証が交付されることで、共同生活援助を含む福祉サービスを正式に契約・利用できるようになります。

体験利用の活用

共同生活援助を利用する前に、体験利用を活用することができます。体験利用を希望する場合は、市町村へ申請をおこない、簡易的な支給決定を受けてから実施されます。

これにより、利用者や家族は実際の生活環境や支援内容を確認でき、安心して本利用に進めます。

【申請方法と流れ】
①市町村窓口に体験利用を申請
②必要に応じて簡易な支給決定を受ける
③事業所と調整し、体験利用を実施

【期間・回数の目安】
・数日から1週間程度が一般的
・回数は1から数回までに制限されることが多い

体験利用のメリットは、入居後の生活イメージをつかめること、事業所との相性を確認できることです。

また支援員もサービス利用者の生活力や支援ニーズを把握できるため、今後の支援計画に役立ちます。正式契約前に双方が安心できる重要なステップといえます。

正式契約の締結

共同生活援助を本格的に利用するには、グループホームと正式に契約を結ぶ必要があります。

入居希望者はまず事業所に申し込み、面談や体験利用を経て双方の合意が得られた後、契約手続きに進みます。

契約時に確認すべき主な事項は以下の通りです。

• 利用料（家賃・食費・光熱費など）の内訳
• 支援内容や職員体制
• 緊急時対応や退去条件

また、入居にあたっては次の持ち物を準備します。

• 印鑑、健康保険証、受給者証
• 日常生活に必要な衣類や洗面用具
• 常用薬や診察券

これらを整えることで、安心して共同生活援助の利用を開始できます。

入居条件

共同生活援助の入居には、主に以下のような条件があります。

• 障害者総合支援法に基づく支給決定を受けていること
• 身体・知的・精神障害や難病などで日常生活に支援が必要であること
• 原則18歳以上（特例として15歳以上の場合もあり）
• 集団生活に大きな支障がないこと

これらの条件を満たさない場合は、就労系福祉サービスや短期入所（ショートステイ）など、他の障害福祉サービスが代替的に利用できます。

ここでは共同生活援助の主な条件を詳しく紹介していきます。

障害支援区分の要件

共同生活援助を利用するには、障害支援区分の認定が関わってきます。障害支援区分は「区分は「なし」から「6」まであり、日常生活で必要な支援の度合いを示します。

共同生活援助では、区分によって受け入れ可能な住居形態が異なります。

区分	概要（支援の必要度）	受け入れ可能な主な形態
区分なし（介護給付の対象外）	生活支援や見守り、安否確認などが必要	外部サービス利用型、サテライト型
区分1から2	部分的な支援が必要	外部サービス利用型、サテライト型
区分3から4	継続的な支援が必要	介護サービス包括型、日中サービス支援型
区分5から6	常時介護が必要	介護サービス包括型、日中サービス支援型

このように、障害支援区分はサービス内容や住居形態を選ぶ重要な基準となっています。

ただし、グループホームによって区分に対応した体制が整っていないことで入居を断られる場合があるため、あらかじめ自身の区分を伝えておくとスムーズになるでしょう。

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年齢や障害種別

共同生活援助の利用には、年齢と障害種別の条件があります。

年齢は原則18歳以上ですが、特例として児童相談所長が適当と認め、市町村長が支給決定をおこなえば15歳以上でも利用できる場合があります。

対象となる障害は幅広く、身体障害・知的障害・精神障害（発達障害を含む）・難病などが含まれます。

• 身体障害者：バリアフリー環境や介助体制が重視される
• 知的障害者：生活習慣の定着や社会性を養う支援が中心
• 精神障害者：服薬管理や心理的安定のサポートが必要
• 難病患者：体調変化に応じた柔軟な支援体制が求められる

このように、年齢や障害の特性に応じて適切な配慮がおこなわれ、地域で安心して生活できる仕組みになっています。

医療ケア対応

共同生活援助では、医療的ケアが必要な方の受け入れは施設の体制によって異なります。

気管切開の管理や経管栄養など高度なケアが必要な場合は、看護職員を配置し、医療連携体制を整えている施設でなければ受け入れできません。

こうした事業所では、日常の生活支援に加えて医療行為に対応できる職員体制が整えられており、地域の医療機関とも密接に連携しています。

以下のような体制を備えた施設を選ぶことで、医療的ケアが必要な方も安心して地域で生活することが可能になります。

【看護職員の配置】
常勤または非常勤の看護師を配置し、日常的な医療的ケアや緊急時対応を実施

【医療連携体制加算】
主治医や訪問看護との連携を強化し、医療的支援が必要な利用者を継続的に支えるための加算制度

よくある質問

共同生活援助とは何ですか？

共同生活援助は、障害者総合支援法に基づき、障がいのある方が地域の住まいで暮らしながら日常生活の支援を受けられる制度です。

共同生活援助の月額はいくらですか？

共同生活援助の月額は、サービス利用料が原則1割負担で、世帯収入に応じて上限が定められています。

• 生活保護世帯・市町村民税非課税世帯：自己負担なし
• 一般1（所得割28万円未満）：月額上限 9,300円
• 一般2（所得割28万円以上）：月額上限 37,200円

まとめ

共同生活援助は、障害者総合支援法に基づき、障害のある人が地域で安心して生活できるように日常生活を支援する制度です。

年齢や障害種別に応じた柔軟な対応があり、形態ごとに支援の内容も異なります。地域社会での自立を促す仕組みとして重要な役割を担っています。

内閣府の「令和4年度障害者試作の概状（令和5年版障害者白書）」によれば、障害者数は年々増加し、現在は約1,160万人に達しています。

少子高齢化の影響で高齢の障害者も増加しており、福祉サービスの需要は今後も拡大が見込まれます。

一方で厚生労働省の「障害福祉サービス等事業所・障害児通所支援等事業所の状況」で説明されている通り、2022年時点での就労継続支援A型は総数4,429箇所、自立訓練事業所は1,984箇所、生活介護事業所は9,508箇所しか存在しておらず、障害者数に追いついていません。

しかし障害福祉サービスは専門知識・ノウハウが必須であるほか、国が定める一定以上の基準を満たし続けなければならないというハードルによって未経験の一般企業が参入することが難しく、すでに開業しているグループホームの場合でも黒字化できていないケースも珍しくありません。

こうした課題を解消できるサービスとして福祉フランチャイズへの加盟が注目を集めています。

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需要の高まる障害福祉分野で社会貢献とビジネスを両立したい方には、フランチャイズへの加盟が特に有効な選択肢だといえるでしょう。