コンプライアンスは利益を生み出すものではないため、対策を後回しにしてしまう企業もなかには存在しますが、コンプライアンス違反が起きると経済的な損失や顧客離れなど深刻な悪影響を受けてしまいます。
健全な経営をおこなうためには必要不可欠となりますが、どのように対策していけば良いのでしょうか。
そこで今回はコンプライアンスの基礎知識や求められている背景、適用範囲、成功と違反の事例などを網羅的に解説していきます。
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コンプライアンスとは?基本的な意味と考え方

コンプライアンスとは、法令や社会的ルールを守り、企業が公正な取引や適正な労務管理を通じて社会的責任を果たすことを指します。
例えば、個人情報の適切な管理やハラスメント防止は、法的義務であると同時に、社会的信頼を維持するためにも重要です。
コンプライアンスは、内部統制やコーポレートガバナンスと密接に関係しています。それぞれの違いは以下の通りです。
【コンプライアンス】
企業が遵守すべき法令、企業倫理、社会規範のこと
【内部統制】
コンプライアンスを実践するための業務管理やリスク管理の仕組みのこと
【コーポレートガバナンス】
社外取締役の導入など、経営の健全性を確保するための監視体制のこと
なぜ今、企業に求められているのか?
企業におけるコンプライアンスの重要性は、1990年代以降の民間企業の不祥事の増加、グローバル化、インターネット・SNSの普及による透明性の向上によって高まりました。
1990年代以降、エンロンが引き起こした粉飾決算、ワールドコムの不正会計など大企業の不祥事が相次ぎ、世界的な規制強化が進みました。
またグローバル化やインターネット・SNSの普及によって従業員の内部告発や顧客のSNS投稿などが瞬く間に拡散される時代を迎え、企業には透明性の高い経営を求められています。
現在、不祥事を隠し通すことはほぼ不可能であり、コンプライアンスの徹底が社会的な信頼の獲得にもつながります。

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法令遵守から企業倫理まで、3つの重要な要素
企業のコンプライアンスは、以下の法令遵守・社内規定・企業倫理の3つの要素によって成り立っており、健全な経営のためにはすべて守らなければなりません。
【法令遵守】
企業は、労働法や独占禁止法などの国や地域の法令を遵守しなければなりません。
違反すると罰則による経済的な損失や信用失墜などにつながります。
【社内規定】
企業独自のルールであり、業務の透明性確保や不正防止に役立ちます。
守られていない場合、企業風土の低下や信頼失墜、離職率の上昇、業績悪化などのリスクを招きます。
【企業倫理】
法令の基準を超えて、企業が社会的責任(CSR)を果たし、公正な経営を行うための基準であり、ステークホルダーとの信頼関係構築には不可欠です。
企業倫理が守られていなければ社会的な批判や取引先・顧客・投資家離れなどによって企業の存続に悪影響を及ぼします。
知らないと危険!コンプライアンスの適用範囲
企業のコンプライアンスは、労務、法令、会計、情報管理の4つの分野に適用されます。
各分野での違反は、企業の信用失墜や法的責任につながるため、適切な対策が不可欠です。
4つの分野と適用例、違反事例は以下の通りです。
分野 | 適用範囲 | 具体的な適用例 | 違反時のリスク |
労務 | 労働基準法の遵守 | 労働時間の適正管理(残業・休憩・休日) | ・労基署の是正勧告 ・企業の信頼低下 ・人材流出 ・採用活動の難航など |
ハラスメント防止 | ・セクハラやパワハラの研修 ・相談窓口の設置 | ・企業への損害賠償請求 ・企業の信頼低下 ・人材流出 ・採用活動の難航など | |
労働安全衛生 | ・労働災害防止 ・適切な安全対策 | ・企業の安全管理責任が問われる・損害賠償請求 | |
雇用における差別の禁止 | ・採用時の適正な基準 ・ダイバーシティ推進 | ・訴訟と損害賠償請求 | |
法令 | 独占禁止法 | ・価格カルテルの禁止・公正取引の徹底 | ・懲役もしくは巨額の制裁金・被害者からの損害賠償請求・信用失墜 |
消費者保護法 | 誇大広告や不当表示の防止 | ・広告変更による経済的な損失 ・消費者庁からの罰則・信用失墜 | |
環境法規制 | ・CO2排出削減・適正な廃棄物処理 | ・行政処分 ・社会的批判の殺到 ・信用失墜 | |
反贈収賄規制 | ・接待や贈答のルール化・FCPAやUKBA遵守 | ・海外で発生した場合、最悪は数十億円にも上る巨額の制裁金 ・信用失墜 | |
会計 | 財務報告 | ・粉飾決算の禁止・適正な会計処理 | ・株価暴落・株主からの損害賠償請求・経営陣辞任 |
税務コンプライアンス | ・正しい納税・適切な節税対策 | ・国税庁からの追徴課税や罰則 | |
内部監査 | ・不正防止のための監査制度整備 | ・信頼低下による投資家離れ・資金調達の難航 | |
情報管理 | 個人情報保護 | ・GDPRや個人情報保護法に基づいた適切な管理 | ・顧客や取引先からの損害賠償請求・顧客離れ・取引停止・企業の信用低下 |
サイバーセキュリティ | ・社員向けセキュリティ教育・アクセス管理 | ・機密情報流出・顧客や取引先からの損害賠償請求 | |
知的財産権 | ・特許や商標権の管理・競合の権利侵害回避 | ・多額の損害賠償・取引停止・企業の信用低下 | |
データ管理 | ・クラウドの適正利用 ・機密情報の適切な共有 | ・機密情報流出・顧客や取引先からの損害賠償請求 |
なぜコンプライアンスが重要なのか?企業への影響

コンプライアンスの徹底は、企業の信頼性向上、ブランド価値の維持、法的リスクの回避に直結します。
【企業の信頼性】
法令や倫理を守る企業は、顧客・取引先・投資家から信頼を得やすく、長期的な成長が期待できます。
【ブランド価値】
不祥事による顧客離れや業績悪化を防止し、ブランド価値の向上につながります。
【法的リスク】
法令遵守によって罰金や行政処分、企業存続のリスクを低減できます。
コンプライアンスを徹底することで、企業は健全で安定した経営をおこないやすくなります。

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コンプライアンス違反で失うもの
コンプライアンス違反が発生した場合、主に以下のような損失が発生します。
【金銭的損失】
- 罰金:法令違反の場合、罰金の支払いが必要
- 売上や株価の下落:投資家や顧客の信頼を失うことで市場価値が低下
- ハラスメントの発生:被害を受けた従業員からの起訴によって損害賠償が発生
【評判の損失】
- ブランドイメージの低下:コンプライアンス違反によって長年築いた信頼喪失
- 顧客離れ:消費者や取引先の離脱や新規の消費者・取引先の確保が難航
- 採用活動の難航や人材流出:企業の評判が悪化し、優秀な人材の確保が困難になる
【法的リスク】
- 行政処分や営業停止:違法行為により、最悪は業務停止命令や免許剥奪が下される
- 経営陣の責任追及:悪質な場合は役員が辞任や刑事罰を受けるケースもある
コンプライアンス違反が発生した場合、罰金だけでなく、最悪はその後の企業の存続を左右する事態にも陥ります。
コンプライアンス違反の事例と発生リスク

コンプライアンス違反は企業に重大な悪影響を引き起こしますが、どのような事例があるのでしょうか。
ここでは民間企業におけるコンプライアンス違反の事例を紹介していきます。
某携帯会社代理店の個人情報の私的利用
某携帯会社代理店の担当者が、業務で知った顧客の個人情報を私的に利用し、大きな問題となりました。
担当者は営業電話を通じて、顧客が某ラジオ系有名YouTuberであることに気づき、X(旧Twitter)やInstagramでDMを送りました。
YouTuberが事件を動画で触れたことで、代理店のコンプライアンス違反が発覚し、某携帯会社は謝罪を余儀なくされました。
業務上知り得た個人情報の私的利用は重大なコンプライアンス違反であり、個人情報保護法に基づく厳格な管理が求められています。
某清涼飲料水メーカーの景品表示法違反
某清涼飲料水メーカーは、販売する果汁ジュースに実際には2%のメロン果汁しか含まれていないのにも関わらず、商品パッケージに「厳選マスクメロン」、「100% メロンテイスト」と記載し、原材料の大部分がメロン果汁だと誤認させるような表示をしていました。
その後、消費者庁が景品表示法違反(優良誤認)として措置命令を出し、某清涼飲料水メーカーは商品パッケージを変更するとともに1915万円の課徴金納付を命じられました。
消費者を誤認させるような広告は信頼低下を招くだけでなく、行政処分によって経済的な損失を受けてしまうため、注意しなければなりません。
中古車販売業界トップ企業の不正請求
中古車販売業界トップの売上を出していた某企業が顧客から預かった車両を故意に傷つけるなど保険金の水増し請求をしていたことが発覚しました。
国土交通省が調査する中、悪質な水増し請求だけでなく、過酷なノルマによって企業全体のコンプライアンス意識が欠如している実態も明らかになり、刑事事件化されたことで世間を大きく揺るがしました。
発覚した違法行為の一例は以下の通りです。
- 顧客の個人情報漏洩
- 自社・他社の従業員への暴行や脅迫
- 顧客への不当な価格での買取の強要と付きまとい
- 買取代金の詐取
- 水没車等を「修理歴なし」とする景品表示法違反
- 下請け会社への違法な買いたたき
- 市の街路樹等の器物破損
- 違法な長時間労働の強要など
この事態を受け、創業者である社長・副社長、さらに水増し請求を黙認していた某保険会社の社長は辞任に追い込まれました。
現在は外部の某大手会社が元凶の創業者たちが今後一切関与しないことを条件に買収し、健全な形で事業を継続する会社と被害者への補償などをおこなう会社の2社に分割されています。
4つの重大リスク(労務・法令・会計・情報)を知る
コンプライアンス違反が発生した場合、主に以下のような労務・法令・会計・情報の4つの重大なリスクを引き起こします。
【労務リスク】
過重労働やハラスメント、賃金・残業代の未払い、人権侵害行為が発生すると、従業員の離職や企業イメージの低下、労働基準監督署への通報・行政指導、損害賠償などにつながります。
【法令リスク】
独占禁止法違反や環境規制違反、知的財産権の侵害、景品表示法違反など法令を守っていない場合、罰則や営業停止処分の対象になります。
【会計リスク】
粉飾決算や横領、脱税が発生した場合は株主などの社外関係者の信頼を損ない、損害賠償や追徴課税、刑事罰などのペナルティを受ける可能性があります。
【情報リスク】
個人情報漏洩は顧客や取引先の信用失墜や賠償責任を伴います。規模によるものの、巨額な損害賠償によって倒産につながるケースもあります。
これらのリスクを防ぐため、企業は徹底したコンプライアンス対策が不可欠です。
コンプライアンス対策の効果的な進め方とは?

コンプライアンス違反はいつどこで発生してもおかしくありませんが、どれも企業に著しい悪影響を及ぼします。
すべてのコンプライアンス違反を徹底的に排除することが理想的だといえますが、リソースには限りがあるため、想定されるリスクをすべて洗い出したうえで、重要性の高い課題から優先的に対策を講じることが大切です。
特に深刻な刑事罰や行政処分の対象となる法令リスク、巨額な損害賠償を伴う情報リスクは企業の存続に直結するため、最優先で対策しなければなりません。
和解可能など発生してもある程度コントロールできるリスクは後回しにしますが、あくまでも優先順位での話であり、対策しなくていいということにはならないため、段階的にすべてのコンプライアンス違反を対策しましょう。

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違反を未然に防ぐ5つの予防策
コンプライアンス対策は利益を生み出すものではないため、後回しにしてしまう企業も存在しますが、対策をしなければ発生した場合に事業に甚大な被害をもたらしてしまいます。
ここではコンプライアンス違反を防ぐための主な予防策を紹介していきます。
社内規程の整備
社内規定に法令・倫理に基づくコンプライアンス方針や行動規範、懲罰規定などを明文化し、全従業員に徹底させると良いでしょう。
法令を上回る水準を社内に義務付けることで抑止力を高めることができます。
教育・研修の実施
従業員のコンプライアンスの理解を深めるために研修やeラーニングを定期的に実施しましょう。
また管理職・中堅社員・新入社員では直面するリスクが異なるため、社員の階層別に研修をおこなうことで、より効果的にコンプライアンスを浸透させられます。
内部通報制度の導入
コンプライアンス違反の早期発見のため、社内に内部通報制度を導入しましょう。
内部通報制度は消費者庁の「通報者の方へ」で説明されている通り、公益通報者保護法によって通報者の不利益な取り扱いを禁じているほか、通報者の匿名性の確保を義務付けています。
コンプライアンス・オフィサーの配置
コンプライアンス・オフィサーとは企業内で適切なコンプライアンスが守られているかどうかを管理する資格者のことであり、取得には3科目の試験合格と3年以上の実務経験が必要です。
社内に設置することで、コンプライアンスの意識を効率的に浸透させ、違反によるリスクを大きく軽減できます。
内部監査・チェック体制の強化
内部監査とは社内の業務・行動が法令や社内規定に沿っているかをチェックし、コンプライアンス違反を未然に防ぐための管理体制のことです。
内部監査の方法は様々ですが、公益社団法人日本監査役協会の「監査業務支援ツール(2022年)」で提供されているチェックリストを活用することで効率的に進められるため、参考にすると良いでしょう。
企業のコンプライアンス成功事例

玩具メーカーである株式会社タカラトミーは、2014年にグループ会社で発生した外部取引に絡む不適切な会計問題を契機に、積極的にコンプライアンス対策に取り組むようになりました。
同社は海外にもグループ会社を持つことから、各国の法令や慣習にも対応したコンプライアンス対策を導入しています。
株式会社タカラトミーがおこなっているコンプライアンス対策は、主に以下の通りです。
- 学習管理システムの導入と国内外11カ国・8言語での定期的なコンプライアンス研修
- 柔軟に学べるようにeラーニング形式でコンプライアンスに関するコンテンツを提供
- 自分事にできるように従業員の日常業務に関連付けたコンプライアンスの学習を提供
- コンプライアンス落語など親しみやすいイベントの企画・実施
- 最新の法令・業界動向を反映した教材のアップデートなど
同社はトップダウン形式でのコンプライアンスの浸透ではなく、従業員が自主的に楽しみながら学べる形式を重視しています。
その結果、コンプライアンス対策を自分事として捉える従業員が増加・今では企業文化として根付いたことで不正リスクの大幅な減少につながりました。
コンプライアンス対策の研修を定期的に開催しているだけでは、形骸化しやすく、浸透させることが難しくなります。
しかし株式会社タカラトミーの事例のように学習管理システムを活用しつつ、従業員が率先して学びたくなるような楽しめる学習方法を採用することで効率的に浸透を進めることができます。
中小企業の場合でも同様の工夫をすることで、効率的に従業員のコンプライアンス意識を高められるでしょう。

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業界トップ企業に学ぶ成功の秘訣
世界トップクラスの化学メーカーのデュポン社は、1986年のチェルノブイリ原発事故を知ったことがきっかけで組織と従業員が安全を最優先する安全文化を本格的に取り入れました。
デュポン社の「デュポン行動規範」で説明されているように安全文化を経営理念の1つとし、本社・すべての子会社に対して以下のようなコンプライアンス対策を導入しています。
- 賄賂の禁止
- 社外への適正価格での支払い
- 正確な社内記録の共有・保管
- 機会均等と差別の禁止
- ハラスメントの禁止
- プライバシー・個人情報の保護
- 安全と健康の徹底
- 不正行為の迅速な報告
- 報告を妨げる介入と報復の禁止
- 管理者の部下への公平な対応
- 社内外への多言語対応可能な通報窓口の設置など
またサプライヤーにも厳格な規定を設け、紛争鉱物の使用回避や環境負荷物質の削減・除去に取り組むことを期待しています。
デュポン社は時に法令以上に厳しい基準の規定を設けていることでも知られており、全事業とサプライヤーと共にコンプライアンスを推進することでゆるぎない信頼を築いています。
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まとめ
コンプライアンス対策は安定した経営には必要不可欠なものであり、違反が起きてしまった場合はその後の経営に深刻な悪影響を及ぼし、最悪は存続そのものが危うくなります。
コンプライアンスの範囲は、1990年代以降のインターネットやSNSの普及、グローバル化に伴って広くなっています。
リソースは有限であるため、最初からすべてのコンプライアンス対策に取り組むことは現実的ではありませんが、段階的にいずれはすべてのコンプライアンス対策を導入することが望ましいです。
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