新入社員や中途採用の社員が新たに配属された場合、多くの企業が人材育成の手法であるOJTを実施しています。
OJTの効果を認める企業が多い一方、思うように効果を出せていない企業も存在しますが、どのようにOJTの工夫をすれば良いのでしょうか。
今回はOJTの概要や企業における具体例、実施するメリット、失敗してしまう原因、進める手順、成功させるための手順などを網羅的に解説していきます。
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OJTとは?

OJTとは、On the Job Training(現任訓練)の略語です。上司や先輩が指導役となり、若手社員に実務を経験させながら、知識やスキルの習得を促します。
その起源は、第一次世界大戦中のアメリカ軍が兵士を効率的に育成するために用いた「4段階職業指導法」にあります。
即戦力の育成や実践的なスキルの習得に効果が高いため、現在では多くの企業で導入されています。
OFF-JTとの違い
OFF-JT(Off the Job Training)とは、日常業務から離れて行う研修や教育のことで、日本語では「職場外研修」とも呼ばれます。
OJTが職場内で上司や先輩による実務指導であるのに対し、OFF-JTは職場を離れ、外部講師による知識やスキルの習得を目的とした研修が中心です。
OJTとOFF-JTを併用することで、より効果的な人材育成が期待できます。
OJTの具体例を紹介
OJTは人材育成で一定以上の効果を見込めることから大企業・中小企業問わずに、多くの企業で導入されています。
ここでは企業におけるOJTの具体例を紹介していきます。
トヨタ自動車株式会社
世界最大の自動車メーカーであるトヨタ自動車株式会社では、トヨタ生産方式を確立した元社長・故豊田英二氏の「モノづくりは人づくり」という信念のもと、OJTとOFF-JTを組み合わせた人材育成が重視されています。
組織全体のパフォーマンス向上に向け、上司は日常業務を通じて部下に分析手法や対策の立案・修正方法、さらには実行に至るプロセスを共有しています。
また意思決定の場で徹底的に議論を行うことや、年間業務テーマの遂行を部下に任せることも、OJTの一環として重要な役割を担っています。
こうした実践を重ねることで、上司は部下の強みや課題を明確に把握でき、それに応じた的確な育成が可能になります。
▼参考資料
トヨタ自動車75年史「詳細解説(トヨタの人材育成)」
TOYOTAキャリア採用「人材育成」
伊藤忠商事株式会社
1858年創業の伊藤忠商事株式会社は、繊維・機械・エネルギー・食料・金融など多岐にわたる分野で事業を展開する国内有数の総合商社です。
同社は世界61カ国に約90の拠点を構え、国際的に活躍できる「グローバルマネジメント人材」の育成に力を入れています。
多様な事業領域と顧客に対応するため、一般的な座学研修では専門知識やスキルの習得が難しく、人材育成の中心をOJTに据えています。
総合職の場合、新卒からの8年間を教育期間と位置づけ、海外赴任を含む3つ前後の職務を経験させる仕組みを整えています。
また、各部門では毎年キャリアミーティングを実施。部門長や先輩社員が自身の経験やビジョンを共有することで、若手社員が将来像を描きやすくなるよう支援しています。
さらに毎年、社員は自身の強み・弱みやキャリアビジョンの棚卸をおこなっており、リスキル計画や将来像をシートに記述しており、上司のフィードバックを得ながら100以上用意されている研修の中から適したものを受講できます。
▼参考資料
厚生労働省「実践事例 変化する時代のキャリア開発の取組み」
株式会社興電舎
1949年創業の株式会社興電舎は、電気・計装工事の設計・施工・メンテナンスなどを手がけています。
同社では、メンテナンス技術者の高齢化に伴う慢性的な人材不足と、体系的な教育制度の不在により、専門知識や技術の継承が十分におこなえていない課題を抱えていました。
その後、「人材が集まる企業に仕事も集まる」という仮説のもと、採用活動を強化し、OJTとOFF-JTを組み合わせた人材育成に注力するようになりました。
教育前提の採用方針を掲げ、新卒・中途、文系・理系を問わず多様な人材を受け入れ、異業種からの転職者や文系出身者も、希望に応じて技術職として採用しています。
また、新たに採用した従業員は半年間配属を決めず、複数の部署でOJTを受けたうえで、自ら配属先を選ぶ制度を導入。この制度により、人材が欲しい各部署が熱心に育成に取り組むようになり、好循環が生まれています。
さらに産業能率大学と共同開発した教育プログラムや中小企業大学のマネジメント研修など、OFF-JTの導入も進めており、専門知識・スキルの習得を促進しています。
こうした取り組みにより、適性と配属のミスマッチを防ぎつつ、従業員数は200人前後から371人へと増加。大卒社員の3年以内離職率は0%、全体の離職率も10%未満に抑えることに成功しています。
▼参考資料
中小企業庁「中小企業・小規模事業者の人材活用事例集」

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OJTの目的

何となくOJTを実施しているだけでは十分な効果を見込めないため、あらかじめOJTの目的を把握しておくことが大切です。
ここではOJTの主な目的を紹介していきます。
業務効率を向上させるため
OJTを導入することで、業務効率の向上が期待できます。
たとえば接客業では、先輩が実際の対応を見せながら指導することで、新人も短期間で実践力を身につけやすくなります。
座学と比べて即戦力化が早く、教育コストの削減にも効果的です。また、現場で発生する課題をその場で共有・改善できる点も、OJTならではの大きな利点です。
不安を解消させるため
OJTは、実務を通じて業務を学べるため、指導を受ける若手にとって不安を解消しやすい方法です。
たとえば営業職の新人が先輩に同行し、商談の進め方を学ぶことで、現場での疑問をその場で解消しながら必要な対応力やスキルを習得できます。
状況に応じた判断力やコミュニケーション力もOJTを通じて養われるため、自信を持って業務に臨めるようになります。
職場への定着率を上げるため
OJTは、職場への定着率向上に効果的です。新入社員が配属初日から先輩の指導を受けながら業務を体験することで、仕事への理解が深まり、不安も軽減されます。
例えば、某IT企業ではOJTの導入により離職率が平均で20%改善されており、仕事への自信やチームへの一体感を高める有効な手段とされています。
OJTを取り入れるメリット

多くの企業でOJTが導入されていますが、具体的にはどのようなメリットを期待できるのでしょうか。
ここではOJTを取り入れるメリットを解説していきます。
研修と合わせて実践が積める
OJTと座学による研修を組み合わせることで、若手社員に効率的にスキルを習得させることができます。
たとえば接客業では、マニュアル研修の後に先輩が実際の接客を指導することで、新人を即戦力として育成することが可能です。
知識を実務に結びつけることで理解が深まり、職場への定着率も向上します。OJTは、実践を通じた学びによって早期戦力化を図れる有効な育成手法です。
即戦力を育てられる
OJTは、実際の業務を通じて知識やスキルを効果的に習得できるため、即戦力となる人材の育成に適しています。
たとえば、先輩社員が業務を指導しながら進めることで、実践的なノウハウが自然と身につきます。
座学だけでは対応しきれない現場特有の判断や感覚も、OJTを通じて養われるため、早期の戦力化に直結します。
教育の仕方が自由
OJTは、上司や先輩が若手と1対1で指導するため、個々の適性や強み・弱みに応じた柔軟な教育ができます。
例えば習得が早い若手には短期間で集中的に指導し、苦手分野の多い若手には重点的なフォローを行うなど、最適なアプローチを取ることができます。
一律の座学研修では十分な習得が難しい場合もあるため、個別に対応できるOJTは、効率的な人材育成に有効です。
採用面のメリット
OJTは、採用後すぐに実務を通じて指導できるため、採用時点で完璧なスキルを求める必要がありません。
これによりポテンシャル重視の採用が可能となり、多様な人材の確保につながります。入社後は現場で業務を学びながら成長できるため、早期戦力化や定着率の向上も期待できます。
また実務を体験しながら学ぶことで職場とのギャップを最小限に抑えられるため、早期離職などのミスマッチ防止にも効果があります。

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OJTの進め方

これから初めてOJTを実施しようと考えている場合、どのような手順で進めていけば良いのか分からずに困っている方もいるのではないでしょうか。
ここではOJTの主な進め方を紹介していきます。
①見本を見せる
OJTの第一歩は、指導者が実際の業務を手本として示すことです。
例えば、電話対応では指導者が実演することで業務の流れや対応のコツを具体的に伝えられます。
マニュアルでは理解しづらい業務でも、実演によって新人の理解が深まりやすくなります。
②説明する
見本を見せた後は、業務の目的や手順を丁寧に説明しましょう。
たとえば書類作成では、「この作業がなぜ必要か」「どこでミスが起きやすいか」といった背景も含めて伝えることで、理解が深まります。
手順だけでなく、業務の意義や期待される成果を伝えることで、主体的に学ぶ姿勢が育ちます。相手の理解度を確認しながら説明することが効果的です。
③実践してもらう
説明の後は、若手社員に実際の業務を任せることで、実践を通じて理解を深めることができます。
初めから完璧を求めず、失敗も成長の糧と捉えて支援する姿勢が重要です。否定的な言葉は避け、前向きな対応を心がけましょう。
実践中は近くで見守り、必要に応じて助言することで安心感が生まれます。実務を通じた学びは習得のスピードを高め、自信の形成にもつながります。
④フィードバックする
若手社員の実践後は、全体のフィードバックを行いましょう。
例えば電話対応後に「声のトーンは良かったが、聞き返しがやや早かった」など、具体的に伝えることで改善点が明確になります。
良かった点と課題をバランスよく伝えることで、モチベーションを保ちやすくなります。フィードバックは記憶が鮮明なうちに行うことで、学習効果も高まります。
また、一方的に指摘するのではなく、本人の感想を聞くことで対話型の育成にもつながります。
OJTに向いていない指導者の特徴

指導者の資質によって育成の成果が大きく左右されるため、OJTを効果的に進めるには適切な指導者の選定が重要です。
OJTに向いていない指導者の主な特徴は以下の通りです。
- 否定的な発言が多い
- 感情的な対応をする
- 日によって発言内容が違う
- 指導者自身の業務への理解度が浅い
- 教えることが苦手
- 日常業務の量が多く余裕がない
- 若手社員への愛情がない
- OJTの目的を理解していないなど
このような人物が指導にあたると、指導の質が低下し、若手社員が十分に専門知識やスキルを習得できなくなる恐れがあります。
OJTの効果を最大限に引き出すためにも、冷静で丁寧な指導ができる人材を選びましょう。

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OJTが失敗する原因

一定以上の効果を見込めるOJTですが、正しく活用できなければ効果が低下してしまいます。
ここではOJTが失敗する主な原因を解説していきます。
経営層の意図が現場に届いていない
経営層の育成方針が現場に十分伝わっていない場合、OJTがうまく機能しない可能性があります。
例えば経営層が「自発的に動ける人材を育てたい」と考えていても、現場では「仕事を覚えさせること」が目的となり、単に作業手順を教えるだけで終わってしまうことがあります。
こうした認識のズレを防ぐには、経営層がOJTの目的や期待する成果を明文化し、現場に具体的かつ丁寧に共有することが重要です。
時間が足りない
OJTでは、指導者が通常業務をこなしながら若手を教育する必要がありますが、業務量が多いと日常業務が優先され、十分な説明やフォローが行われず、実質的に丸投げになるケースもあります。
このような状況ではOJTの効果が薄れるだけでなく、指導者の負担が増え、業務ミスの発生や若手の成長停滞といった悪循環に陥る可能性があります。
OJTを成功させるには、十分な時間を確保できるベテラン社員を選任し、あらかじめスケジュールを調整することが重要です。
指導者にスキルが足りない
指導者に教育スキルが欠けている場合、OJTの効果は十分に発揮されません。
仕事ができるベテラン社員であっても、教え方を理解していなければ、相手にうまく伝わらず、習得が進まないことがあります。
指導には、知識や経験だけでなく、説明力やコミュニケーション力も不可欠です。OJTの質を高めるには、指導者向けに研修を行い、教育スキルや育成の基本を身につけさせることが重要です。
教育指導を重要だと認識していない
現場が教育を重要な業務と認識していない場合、OJTの効果は十分に得られません。
例えば、業務が優先されOJTが後回しにされると、指導が長引き、若手社員がいつまでも戦力として活躍できない恐れがあります。
育成も業務の一部であるという認識を持ち、教育の優先度を明確にすることが重要です。経営層が育成の重要性を発信し、評価制度に指導への貢献を反映させることで、現場の意識改革につながります。
形骸化してしまう
OJTが形式的になり、本質的な育成につながっていない場合は、十分な効果は期待できません。
例えば「マニュアルを読ませただけ」「若手に同行させただけ」で指導を終えるケースでは、専門知識やスキルは身につきにくくなります。
OJTの目標を明確に設定し、進捗や理解度を確認しながら段階的に指導することが重要です。また、振り返りの時間を設け、指導者自身も改善を意識することで、育成効果はさらに高まります。
OJTを成功させるには

OJTの効果を最大限に高めることで若手社員を即戦力として育成できるため、組織全体の成長にもつながります。
ここではOJTを成功させるための主なポイントを紹介していきます。
OJTの必要性を社内で共有する
OJTを成功させるには、その重要性を社内全体で共有することが不可欠です。
例えば、現場任せにせず、経営層が「人材育成は組織の成長に直結する」と明確に発信することが効果的です。
さらに共有定例会議などでOJTの目的や成果を報告・共有する仕組みを整えることで、社員の意識も高まりやすくなります。
育成計画を厳密に遂行する
OJTを成功させるには、育成計画を形だけで終わらせず、計画通りに着実に実行することが重要です。
例えば「1週目は業務の流れを把握」「2週目は一部業務を実践」といった段階的な目標を明確にし、進捗を定期的に確認します。
計画が曖昧だと指導が場当たり的になり、効果が薄れてしまいます。無理のないスケジュールを設定し、指導者と連携して進めることで、着実な成長と早期の戦力化が期待できます。
OJTに適した業務を見極める
OJTの効果を最大限に引き出すには、指導に適した業務を見極めることが重要です。
例えば判断が複雑で失敗のリスクが高い業務をいきなり任せると、若手社員に不安を与え、モチベーションの低下につながるおそれがあります。
基礎的な業務から段階的に習得できるよう工夫することで、無理なくスキルを身につけることが可能です。適切な業務選定は、OJTの習得効率と職場への定着率を大きく左右します。
社内全体でOJTに取り組む
OJTの効果を高めるには、一部の部署や担当者だけに任せるのではなく、社内全体で取り組む姿勢が重要です。
例えば育成状況を部署間で共有し、必要に応じてフォロー体制を整えることで、指導の質のばらつきを防ぐことができます。
指導者だけでなく、社内全体が育成に関与する意識を持つことで、新人の成長が促進され、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。
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まとめ
上手くOJTを活用できれば若手社員を即戦力に育成することができるものの、適切におこなえなければ十分な効果を見込めません。
指導者の教育の質によってOJTの効果は大きく左右されるため、現場や指導者に任せっきりにすることは望ましくありません。
人選に注意しつつ、指導者への研修や育成計画の策定、成果の共有など全社的に取り組むことでOJTの効果を最大限に高めていきましょう。
これから起業を考えている方や育成に悩んでいる方は、フランチャイズへの加盟やコンサルタントへ相談することも検討すると良いでしょう。
フランチャイズの場合、業界を知り尽くした本部が経営ノウハウを提供しているほか、OJTを含む教育体制が整っているため、起業や経営の負担を大きく減らせます。
コンサルタントの場合、他社事例や専門知識、経験に基づいて自社に最適な提案をしてもらえるほか、従業員にOJTなどの教育も相談できるため、効率的に経営を安定させていくことができます。