起業に必要な費用はいくらくらい?費用相場や起業資金を集める方法についても解説

2024年9月18日

起業に必要な費用はいくらくらい?費用相場や起業資金を集める方法についても解説

これから起業しようと思っても、どれぐらいの費用を想定しておけば良いのか分からずに困っている方もいるのではないでしょうか。

今回は起業に必要な費用の目安や費用の内訳、法人と個人事業主の違い、資金を集める方法などを紹介していきます。

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起業するのにいくら必要?

日本政策金融公庫総合研究所の「2023年度新規開業実態調査」によれば、開業費用の平均値は1,027万円、中央値は550万円です。

起業する業種や規模によって必要な開業費用は異なりますが、開業費用の他に自己資金も用意しておく必要があり、同調査によれば自己資金は平均280万円となっています。

自己資金だけで開業費用を賄えるなら問題ありませんが、そうではない場合は金融機関の融資など資金調達をおこなう必要があります。

その際に十分な金額の自己資金がなければ「貸し倒れリスクがある」と判断され、資金調達が難航してしまうため、一定以上の自己資金を開業費用とは別に確保しておくことが望ましいです。

株式会社を設立する際の費用相場

株式会社を設立する際に必要となる費用は、以下の通りです。

  • 登録免許税(15万円もしくは資本金の0.7%の額のどちらか高い方)
  • 定款の謄本手数料(約2,000円)
  • 定款の認証手数料
  • 収入印紙代

定款の認証費用は9万円前後が発生しますが、電子定款の場合は以下のように資本金によって発生する認証手数料が変わります。

一見すると電子定款の方がお得だと思うかもしれませんが、電子定款の署名・申請には専用機材とソフトが必須です。

電子定款が目的で導入すると紙定款よりも高くついてしまう場合もあるため、総合的なコストを考慮した上で判断するようにしましょう。

費用をすべて合計すると、株式会社の設立には22万円から25万円程度の費用が必ず発生します。

合同会社を設立する際の費用相場

合同会社を設立する場合、申請時に発生する費用は以下の通りです。

  • 登録免許税(6万円か資本金の0.7%の額のどちらか高い方)
  • 定款の謄本手数料(約2,000円)
  • 定款に貼る印紙代(資本金に応じて3万円から5万円)

公証人による定款認証が不要であるため、株式会社の設立よりもコストを抑えられるという特徴があります。

電子定款の場合は株式会社と同様に印紙代が発生しませんが、署名・申請に必要な専用ソフトと機材を揃えると状況によっては紙定款よりも高くつく場合があるため、総合的な判断が大切です。

ただし株式を発行できない形態であるため、資金調達の手段が株式会社よりも狭まるほか、株式会社よりも社会的な信用が劣ってしまうというデメリットがあります。

一般社団法人を設立する際の費用相場

一般社団法人は営利を目的としない法人であることから法人設立時の資本金の支払いは不要という大きな特徴があり、株式会社・合同会社よりも費用をおさえて設立できます。

一般社団法人を設立する場合、以下の内訳で約11万円が発生します。

  • 登録免許税(6万円)
  • 定款の謄本手数料(約2,000円)
  • 定款の認証費用(約5万円)

株式会社や合同会社と異なり、一般社団法人は印紙税が非課税となるため、紙定款を認証する場合でも印紙代が発生しません。

一般財団法人を設立する際の費用相場

一般財団法人は財産を特定の目的のために運用・ 事業をおこなう法人であり、財産に対して法人格が与えられるという決まりから基本財産300万円以上を設立時に拠出する必要があります。

設立時の費用は高い傾向にあるものの、一般財団法人も非営利法人に分類されながらも公益性や活動目的の内容は問われないという大きなメリットがあります。

一般財団法人を設立する際は、次の内訳で311万円以上の費用が発生します。

  • 基本財産(300万円以上)
  • 登録免許税(6万円)
  • 定款の謄本手数料(約2,000円)
  • 定款の認証費用(約5万円)

一般社団法人と同様に一般財団法人の場合も印紙税が非課税となるため、紙定款を認証する場合でも印紙代が発生しません。

NPO法人を設立する場合の費用相場

NPO法人は社会貢献につながる活動をする特定非営利活動法人に分類されるため、申請時に資本金・登録免除税・定款認証手数料などは不要であり、印鑑作成費や証明書取得費などの実費のみで設立できます。

ただし、内閣府の「認証数(活動分野別)」で説明されているようにNPO法人の活動分野は、公益性の観点から医療や福祉、環境保全など17種類に限定されています。

またNPO法人の場合のみ、申請・認証・登記という手順を踏む必要があり、設立できるまでに2,3ヶ月はかかるため、計画的な行動が大切です。

起業後にかかる費用

法人が認証され次第、起業した状態になりますが、実際に事業を始めるためには以下の開業費と維持費を確保しておく必要があります。

※出典:日本政策金融公庫総合研究所「2023年度新規開業実態調査

それぞれ具体的に解説していきます。

開業費

事業を開始するためには様々な準備が必要ですが、開業費は法人設立後から事業開始までにかかる費用を指します。

ここでは開業費として分類される主な費用を紹介していきます。

事業開始のための設備投資

開始する事業の内容によって事業の運営のために必要な設備投資は大きく変わりますが、一例としては以下のものがあげられます。

  • PC
  • 固定電話
  • デスク
  • 椅子
  • プリンター
  • 内装工事費・外装工事費など

設備投資は安定した経営を行うための基盤を築くために重要な費用ですが、設備投資の金額がネックとなって事業開始が遅れるのでは元も子もないため、現実的に出せる範囲に抑えると良いでしょう。

また全て新品で揃えようとすると高額になってしまうため、リース品や中古品なども活用し、費用を抑えることが望ましいです。

オフィスなどの契約にかかる費用

自宅でビジネスをおこなう場合は不要ですが、オフィスや店舗を構える必要がある場合は物件取得費も支払う必要があります。

物件取得費の内訳は、以下の通りです。

物件の立地や設備などによって保証金の金額は大きく変わり、優れた条件の物件であればあるほど物件取得費も高くなるため、余裕を持った資金を用意しておくと効率的に確保しやすくなります。

物件を探す方法はさまざまですが、コストを少しでも抑えたい方は「内装工事中はフリーレント」など条件で探すのも良いでしょう。

その他の販管費や広告費など

設備投資と物件取得費を除く事業開始までに必要な費用として、一般的に以下のものがあげられます。

  • HPの制作費
  • 名刺作成費用
  • チラシ作成費用
  • WEB広告費
  • 税理士やコンサルタントなど専門家の契約料・報酬
  • 保険代
  • 仕入れ費など

展開する事業によって内訳は異なりますが、最初の集客にも直結する部分でもあるため、総合的なバランスを考えた上で適度に費用をかけた方が良いでしょう。

維持費

事業のランニングコストには人件費や通信費、仕入れ費など多岐にわたる種類がありますが、法人として特に考える必要がある維持費は税金と社会保険料です。

ここでは法人における税金と社会保険料を解説していきます。

税金(法人税、法人住民税、法人事業税など)

法人が納める主な税金には、法人税、法人住民税、法人事業税があります。

法人税は企業の利益に課される税金で所得によって納める金額は変動し、所得金額400万円以下の法人の場合、後述する法人事業税や法人事業税を含めて計算すると実効税率は約21%(21.366%)になります。

▼平成27年分以降の所得税の税率
参考:国税庁「No.2260 所得税の税率

▼法人税の税率
参考:国税庁「No.5759 法人税の税率

法人住民税は法人の事業所がある自治体に納める地方税のことであり、地域によって納税額は異なります。

法人事業税は一定以上の規模の法人に課される税金のことであり、事業活動を続けるために利用している行政サービスの経費を負担する目的で納税をおこないます。

社会保険料

社会保険には健康保険・厚生年金・労災保険・雇用保険があり、状況によって加入が義務付けられる社会保険は異なります。

従業員が1人もいない場合でも、法人を設立した代表者に一定の給与が発生していれば、健康保険・厚生年金への加入は必須です。

従業員を1人でも雇用している場合は、さらに労災保険・雇用保険にすみやかに加入することが義務付けられています。

過去2年間を遡った保険料が請求されるほか、悪質なケースであれば6ヶ月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金というペナルティを下されるため、必ず加入しましょう。

その他の費用

会社設立後から発生する毎月のランニングコストも起業前からある程度想定しておくことが大切です。

事業の内容によっても異なりますが、毎月のランニングコストは主に以下の通りです。

  • テナント料
  • 人件費
  • ガス代・光熱費
  • 広告宣伝費
  • サーバー代などの通信費
  • 備品購入費
  • 税理士など専門家への報酬など

一人で起業する場合と複数人で起業する場合の費用の違い

一人で起業する場合はコストを抑えやすいイメージがあると思いますが、複数人で起業する場合とどの程度の違いがあるのでしょうか。

ここでは一人で起業する場合と複数人で起業する場合の費用の違いをそれぞれ解説していきます。

一人で起業する場合の会社設立費用

一人で起業する場合、インターネットを活用する小規模なビジネスであれば自宅でも始められるため、費用を大幅に抑えることができます。

最初から環境を整える必要がある場合、会社の設立費用に加えて以下の費用が想定されます。

一人で起業する場合の費用は導入が必要なものによって大きく左右され、WEBデザインなどすでに身に付けている専門的なスキルで起業する場合、おのずと事業を始める環境も整っていることが多いため、ほとんど費用がかかりません。

複数人で起業する場合の会社設立費用

複数人で起業する場合は一人で起業するよりも費用はかかりますが、出資額を分散できるというメリットがあります。

ただし、起業後から毎月まとまった費用が必要となるので、事業を軌道に乗せることができなければ安定した経営が難しい可能性があります。

例えば3名でレンタルオフィスを借りて起業する場合、会社の登記費用のほかに以下の費用がかかってくると考えられます。

個人事業主と法人の違い

一人で起業する場合は、法人設立だけでなく、まずは個人事業主として起業するという方法もあります。

個人事業主の場合は、開業してから開業届(正式名称:個人事業の開業・廃業等届出書)を税務署に1ヶ月以内に提出する必要がありますが、インターネットで電子申請する場合は特に設立に費用が発生しません。

青色申告が必要な場合は開業届と同じタイミングで「所得税の青色申告承認申請書」も提出すると効率的に進められます。

個人事業主の所得税は所得毎に税率が変わる累進課税で、所得が少ない間は税負担が軽減されるというメリットがあります。

ただし、累進課税は年間所得が一定以上に達すると法人よりも納める税金が高くなるため、安定した利益を確保できるようになったタイミングで法人化する方が多い傾向にあります。

開業について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

開業とは?するには?独立・起業との違いやおすすめの方法を解説

起業資金を集める方法

自己資金だけで起業資金を賄えることがベストではあるものの、多くの方が自己資金だけでは起業資金として捻出できないため、資金調達をおこなっています。

ここでは主な資金調達の方法を紹介していきます。

自己資金

自己資金とは返済義務がない出所が明確に分かる自分が用意した資金のことであり、すべてが自己資金として認められるわけではありません。

自己資金として認められる資産は、以下の通りです。

  • 通帳で貯蓄していたことが明白な預貯金
  • 配偶者の預貯金
  • 両親・親族から贈与された資金
  • 相続で受け取った資金
  • 退職金
  • 不動産や株式に売却によって得た資金など

金融機関や親族から借りた返済義務のある資金や、資金の流れが不明なタンス預金などは自己資金として認められていません。

また融資を受けるために他の口座から資金を移動させた場合は「見せ金」と判断され、融資が下りないリスクがあります。

親族から借りる

融資が下りない場合は、家族や血縁者、知人などから資金を借りるという方法もありますが、あまり推奨できません。

家族や血縁者などから資金調達だけで起業資金をすべて集めることは非現実的であり、起業資金1,000万円の場合は100人から10万円ずつ借りる必要があります。

またたとえ親族でも資金を借りられるとは限らないほか、付き合いが浅い知人の場合は話を持ち掛けた時点で関係性が崩れてしまう場合もあります。

ほんの少しだけどうしても資金が足りない場合に、あくまでも断られることを前提として、十分な信頼関係を築けている親族に相談してみると良いでしょう。

銀行から借りる

ある程度の自己資金を用意している場合、民間の金融機関が実施している融資制度を利用して、起業資金を確保する方法もあります。

融資制度は申し込み後から「貸し倒れリスクはないか」「成功できる事業なのか」などの観点で厳しく審査がおこなわれ、問題ないと判断された場合のみ融資されます。

自己資金ゼロの場合、「貸し倒れリスクが高い」と判断・融資が承認されない傾向にありますが、再現性が高い事業計画がある・経営者として十分な実績がある・金銭面のリスク対策を徹底しているなどがあれば可能性はゼロではありません。

金融機関によっては融資制度が設けられていない場合もあるため、融資制度への利用を検討している方は事前に確認しておきましょう。

投資家やVC(ベンチャーキャピタル)から調達する

投資家やVC(ベンチャーキャピタル)から出資してもらうためには、再現性の高い事業計画を用意しておくことが重要です。

投資家にもさまざまな種類がありますが、その中でもエンジェル投資家と呼ばれる実績がまだない企業に出資する個人投資家の場合は、金融機関よりも資金調達しやすい傾向にあります。

VCは、起業したばかりの主にベンチャー企業に出資する投資会社であり、出資先の企業が上場した際に株式などを売却して利益を得ることを目的にしています。

そうした目的からVCは出資先に上場に向けて積極的に支援をおこないますが、経営にも介入してくることが多く、状況によっては思い描いていたような経営ができなくなってしまうこともあります。

クラウドファンディングを利用する

クラウドファンディングは、インターネット上で不特定多数の方からプロジェクトを実現するために資金を集める方法であり、近年は資金調達の手段としても注目を浴びています。

クラウドファンディングで資金調達をおこなう場合、起業する目的や出資するメリットなどを十分にアピールする必要があります。

必ずしも目標額に達するとは限りませんが、上手くいけばクラウドファンディングだけで起業に必要な費用を確保できるほか、起業したばかりでも一定以上の集客を期待できます。

起業の費用についてよくある質問

0円で起業できる?

不可能ではないものの極めて難しいといわざるを得ませんが、アイデアと努力次第では低コストでスタートできる可能性はあります。

一般的にまとまった元手が必要な事業ではなく、パソコン1台でできるビジネスを個人事業主として始めれば資金を最小限に抑えられます。

開業するのにかかる費用はどれくらい?

事業の種類や規模、導入する設備などによって開業費用は大きく左右されますが、日本政策金融公庫総合研究所の「2023年度新規開業実態調査」によれば、開業費用の平均値は1,027万円、中央値は550万円です。

また安定した経営をおこなうためには開業費用のほかに、3ヶ月から6ヶ月分の運転資金が必要です。

起業申請にかかる費用はどれくらい?

株式会社の場合は22万円前後、合同会社の場合は9万円前後の起業の申請時に発生しますが、この他にも事業を支えるための資本金も確保しておく必要があります。

個人事業主の場合は、インターネットから電子申請するのであれば開業に費用は発生しません。

起業を検討中ならぜひご相談ください

GLUGでは障害福祉・飲食の領域において開業から経営改善までトータルで支援しており、1,000社以上のご相談に対応しています。
無料相談のほか、支援実績や収支シミュレーションもおこなっておりますので、少しでもご興味をお持ちの方は弊社までお問い合わせください。

まとめ

日本政策金融公庫総合研究所の「2023年度新規開業実態調査」によれば、開業費用の平均値は1,027万円、中央値は550万円ですが、起業するために必要な費用は、始める事業の種類や規模、導入する設備によって大きく左右されます。

自己資金だけで起業するための費用を確保できるのであれば問題ありませんが、そうではない場合は融資やクラウドファンディングなどで資金調達をおこないましょう。

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