雇用保険の傷病手当とは?失業保険との違い、受給要件や期間、支給額を紹介

最終更新日:2025年5月30日

雇用保険の傷病手当とは?失業保険との違い、受給要件や期間、支給額を紹介

雇用保険の傷病手当は、失業中に病気やけがによって一定期間働けない方を支えるための制度ですが、どのような条件を満たせば受け取れるのか分からない方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は雇用保険の傷病手当の基礎知識と基本手当や健康保険の失業手当金との違い、受給期間、支給額の計算方法などを網羅的に紹介します。

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雇用保険の傷病手当とは

雇用保険の傷病手当とは、失業中に病気やけがによって一定期間、求職活動ができない場合に給付される手当です。

ここでは雇用保険における傷病手当の概要を解説していきます。

雇用保険の基本手当と傷病手当は何が違うのか

雇用保険の基本手当と傷病手当は、いずれも失業中に受け取れる給付ですが、支給される条件に違いがあります。

基本手当は、働く意思と能力があり、積極的に求職活動をおこなっている方に支給されます。

その一方で、傷病手当は、働く意思があっても病気やけがにより15日以上求職活動ができない場合に支給されます。

基本手当は「働くことができる求職中の方」、傷病手当は「一定期間働くことができない方」が対象となるため、同時に受け取ることはできません。

なお、病気やけがの治癒後、医師の診断書で「就労可能」と判断された上で求職活動をおこなうのであれば、傷病手当から基本手当に切り替えることができます。

失業保険の正しい言い方は雇用保険

一般的に「失業保険」と呼ばれる制度の正式名称は「雇用保険」です。雇用保険は、労働者が失業した際の生活を支援し、再就職を促すための公的保険制度で、失業手当(基本手当)などの給付が含まれます。

「失業保険」は通称として広く使われていますが、法律上の用語や公的な手続きでは「雇用保険」と呼ばれます。

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雇用保険の傷病手当と健康保険の傷病手当金は何が違うのか

雇用保険の傷病手当と健康保険の傷病手当金は、名称こそ似ているものの、対象者や目的が異なる別の制度です。

雇用保険の傷病手当は、失業中に病気やけがで求職活動ができない人に対して支給され、ハローワークを通じて申請します。

その一方で、健康保険の傷病手当金は、在職中の被保険者が病気やけがで働けなくなった場合に、給与の一部を補う目的で支給されます。

つまり、雇用保険は「失業中の生活支援」、健康保険は「在職中の所得補償」を目的とした制度です。

雇用保険の傷病手当の受給条件とは

ここでは雇用保険の傷病手当の受給条件を解説していきます。

基本手当の受給条件

雇用保険の基本手当を受給するためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • 離職していること(正当な理由による退職や解雇など)
  • ハローワークに求職の申し込みをしていること
  • 就職しようとする意思とすぐに働ける能力があること
  • 積極的に求職活動をおこなっていること
  • 離職前の2年間に原則として被保険者期間が12ヶ月以上あること(特定受給資格者は6ヶ月以上)

これらの条件を満たした上で、ハローワークの失業認定日に出向き、認定を受けることで基本手当の支給が開始されます。

自己都合退職の場合、従来は7日間の待期期間と2ヶ月間の給付制限が設けられていましたが、厚生労働省の「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」で説明されているように、2025年4月以降から給付制限が1ヶ月に短縮されました。

また厚生労働大臣が指定する教育訓練を受ける場合、給付制限なしで即時に基本手当を受け取れる仕組みに変更されています。

傷病手当の受給条件

雇用保険の傷病手当を受給するには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 働けない状態を除けば、基本手当の受給資格があること
  • ハローワークで求職の申し込み後に発生した病気やけがであること
  • 病気やけがで15日以上働けない状態であること
  • 医師の診断書(傷病証明書)を提出できること
  • ハローワークに申請をおこなうこと

これらの条件を満たすと、基本手当の代わりに傷病手当が支給されます。

あくまでも傷病手当は、働く意思があるのに病気やけがによって一定期間働けない方をサポートする制度です。

「働く意思がある」とは、公安職業安定所(ハローワーク)での求職の申し込みをおこなっていることを指しており、申し込み前に発生した病気やけがが原因で働けない場合は傷病手当の対象外となります。

雇用保険の傷病手当の受給期間はどれくらいか

雇用保険の傷病手当は、基本手当の所定給付日数の範囲内で支給され、以下のルールが適用されます。

  • 支給日数は基本手当の所定給付日数に含まれ、新たに加算されることはない
  • 傷病手当の支給中は基本手当の支給が一時停止される
  • 治癒後は、切り替えることで残りの基本手当を受給できる
  • 受給期間(原則1年)は、傷病手当の期間に応じて最大3年まで延長可能

つまり、傷病手当はあくまで基本手当の中の一形態であり、所定の給付日数を超えて支給されることはありません。また受給には定期的に医師の診断書(傷病証明書)の提出も必要です。

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基本手当の受給期間について

ここでは以下のパターン別に基本手当の受給期間を紹介していきます。

  • 会社都合・やむを得ない理由で退職した場合
  • 自己都合で退職した場合
  • 就職困難者

会社都合・やむを得ない理由で退職した場合

会社都合退職(特定受給資格者)や倒産・家族の介護などやむを得ない理由による退職(特定理由離職者)の場合、雇用保険の基本手当は待期期間終了後すぐに支給が開始され、自己都合退職よりも手厚い支給となります。

以下のように受給期間は年齢と被保険者期間に応じて異なります。

年齢/被保険者期間1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
30歳未満90日120日180日
30歳以上35歳未満120日180日210日240日
35歳以上45歳未満150日240日270日
45歳以上60歳未満180日240日270日330日
60歳以上65歳未満150日180日210日240日

自己都合で退職した場合

自己都合退職(一般受給資格者)の場合、基本手当の所定給付日数は年齢に関係なく、すべての年齢層に対して以下のとおり一律に適用されます。

被保険者期間所定給付日数
1年未満90日
1年以上5年未満90日
5年以上10年未満120日
10年以上20年未満150日
20年以上150日

就職困難者

就職困難者に認定された場合、基本手当の所定給付日数が大幅に延長されます。

【就職困難者の具体例】
・45歳以上の中高年
・身体・知的・精神に障害のある方
・離職後1年以上就職が決まらない方
・母子家庭の母など特に支援が必要と認められる方など

被保険者期間45歳未満45歳以上65歳未満
1年未満150日360日
1年以上5年未満300日360日

雇用保険の傷病手当の支給金額の計算方法

雇用保険の傷病手当は、基本手当日額と同額が支給され、以下の計算式で算出します。

傷病手当の1日あたりの支給額(傷病手当日額)=賃金日額 × 給付率(45%から80%)

計算の手順は、次の通りです。

【①賃金日額の算出】
離職前6ヶ月間の賃金総額(賞与除く)÷180日で賃金日額を計算します。

【②給付率の決定】
賃金日額が低いほど高率(最大80%)が適用され、高所得者には低率(45%)が適用されます。離職理由(自己都合・会社都合)により条件が変わることはありません。

【③傷病手当日額の算出】
賃金日額 × 給付率で計算します。ただし、年齢に応じた上限・下限(30歳から44歳は上限7,510円など)はあります。

【④実際の支給金額】
傷病手当日額 × 支給対象日数(15日以上の就労不能期間)で支給額を計算します。

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雇用保険の傷病手当を申請するには

ここでは雇用保険の傷病手当を申請する方法を紹介していきます。

傷病手当支給申請書に記入する

雇用保険の傷病手当を申請する際、まずは「傷病手当支給申請書」に記入する必要があります。

申請書はハローワークで入手でき、氏名や住所、離職日、受給資格番号などの基本情報に加え、就職活動ができない理由や療養期間を記載します。

また申請書には医師の証明欄もあり、就労が困難な状態であることを記入・押印してもらう必要があります。

公安職業安定所(ハローワーク)に提出する

雇用保険の傷病手当支給申請書に必要事項を記入し、医師の証明も受けたら、次はハローワーク(公共職業安定所)に提出します。

提出は原則として本人がおこない、窓口で申請内容の確認と受給資格の審査がおこなわれます。

また提出時には以下の必要書類も忘れずに持参しましょう。受け付け後、審査を経て傷病手当の支給が開始されます。

  • 雇用保険受給資格者証
  • 失業認定申告書
  • 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
  • 印鑑(必要な場合があり)
  • 通帳またはキャッシュカード

雇用保険の傷病手当を申請する際の注意点

申請には「傷病手当支給申請書」への正確な記入と医師による就労不能期間の証明が必須です。記入ミスや証明欄の未記入があると、申請が受理されないことがあります。

また傷病手当は、求職の申し込みをした後に発生した病気やけがによって一時的に働けない方を対象としています。申し込み前に発生した病気やけがの場合は、傷病手当の対象外となるため、注意しましょう。

申し込み前に発生した病気やけがの場合、在職中であれば健康保険の傷病手当金を受け取ることができます。

すでに健康保険の被保険者資格を失っている場合は、自治体の緊急支援・自立支援金や高額療養費制度・医療費助成などの公的扶助制度を検討しましょう。

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まとめ

雇用保険における傷病手当は、失業中に働く意思があるにも関わらず、病気やけがが原因で15日以上働けない方を支援する給付金です。

支給にはいくつかの条件がありますが、特に注意すべきなのは「病気やけがが発生する前に、ハローワークで求職の申し込みを済ませていること」です。支給対象になっているかどうかあらかじめ確認しておくと良いでしょう。

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担当者T.Aのイラスト

記事の監修者

平林 英雄

行政書士・保育士・AFP

新卒でコンサルティング会社に入社し、10年間にわたり中小企業の経営計画策定や新規事業の立ち上げ支援に従事。飲食、介護、福祉分野のチェーン本部を経験した後、独立し行政書士としての活動を開始。
現在は法人設立や資金調達などの創業支援、許認可取得や補助金申請などの中小企業支援をおこなっている。2021年より中小企業庁の認定経営革新等支援機関。