訪問看護の“できること/できないこと”徹底解説|サービスの境界線をわかりやすく整理

最終更新日:2025年11月28日

訪問看護の“できること/できないこと”徹底解説|サービスの境界線をわかりやすく整理

訪問看護は在宅医療の中心的な役割を担う一方で、制度上禁止されている対応もいくつかあり、できること・できないことの線引きが曖昧なままでは訪問看護ステーションと利用者側の双方にトラブルを招くおそれがあります。

今回は訪問看護の制度上できること・できないこと、禁止されている対応を依頼・提供した場合のよくあるトラブル、福祉サービスの使い分けが重要な理由などを網羅的に解説していきます。

年間経常利益4,000万円以上のクライアント多数!

GLUG(グラッグ)では高収益かつ安定した障害福祉事業をトータルで支援し、実績は1,000社以上! 無料にて今までの実績や収支シミュレーション、店舗の見学をおこなっておりますのでお気軽にご相談ください。

\検討中でもOK!/

無料プロに相談する

\福祉ビジネスの裏側を公開/

無料高収益の秘訣を確認する

今すぐ疑問を解決したい方はこちら

03-6441-3820

[受付時間] 平日10:00-19:00

訪問看護サービスの役割と利用者の条件

ここでは主な訪問看護サービスの役割と対象となる利用者の条件を紹介していきます。

訪問看護が担う医療・看護の役割とは

訪問看護は、看護師や療法士などの医療専門職が自宅を訪問し、病状管理・服薬管理・創傷ケア・医療機器の管理などをおこなう在宅医療サービスです。

生活援助が中心の訪問介護とは異なり、「治療・看護」を目的とした医療的ケアを提供します。

対象となるのは、病気や障がい、高齢による体力低下などで在宅での医療支援が必要な方です。

また、訪問看護は医療保険・介護保険のどちらでも利用できますが、適用される保険制度によって料金体系や計算方法は異なります。

訪問看護を利用できる人の条件

訪問看護を利用するには、まず主治医が在宅での医療的ケアが必要と判断し、訪問看護指示書が発行されていることが前提です。

利用できる保険は介護保険と医療保険のいずれかで、介護保険では要介護・要支援認定を受けた方が対象となります。

一方、医療保険では難病・精神疾患・小児・終末期など、年齢や要介護度に関わらず医療的ケアを必要とする方が対象です。

なお、訪問看護は「治療・看護」を目的とした医療サービスであり、生活援助のみを目的とした利用はできません。生活援助が必要な場合は訪問介護を利用します。

訪問看護で主なできること一覧

ここでは訪問看護で制度上、対応できる主な支援を紹介していきます。

医療処置を中心とした専門ケア

訪問看護では、主治医の指示に基づき次のような医療処置をおこないます。

  • バイタルチェック
  • 服薬管理・投薬調整
  • 点滴・注射
  • 痰の吸引
  • ストマ管理(人工肛門管理)
  • 褥瘡ケア
  • 人工呼吸器の管理
  • 在宅酸素療法のサポートなど

これらの処置に加え、日々のケアで得られた情報を記録し、主治医が治療方針を判断しやすい形で整理する役割も担います。

薬の効果・副作用、呼吸状態の変化など、診察だけでは把握しにくい“在宅での実態”を利用者の生活を通じて把握できる点が訪問看護ならではの強みです。

安全な生活を支える看護ケア

訪問看護では、医療処置だけでなく、日常生活を安全に続けるための看護ケアもおこないます。主な内容は次のとおりです。

  • 入浴・清拭・洗髪などの清潔保持
  • 排泄支援
  • 食事動作のサポートや栄養面の確認
  • 転倒・誤嚥など生活リスクの予防など

これらのケアは単なる介助ではなく、体調・筋力・嚥下機能などを踏まえて危険を減らすよう調整しながらおこないます。

また生活動作の中で利用者の体調変化を把握し、必要に応じて医療的ケアへつなげる役割も担います。

体調変化の早期発見と家族への支援

訪問看護では、在宅療養で見えにくい体調変化をいち早く察知し、適切な医療につなげる役割を担います。主な内容は次のとおりです。

  • 病状悪化のサインを発見
  • 医師へ迅速に報告し、治療につなげる
  • 家族への介護アドバイス
  • 緊急時の相談対応など

日々のケアの中で得られた変化をもとに、受診の必要性や注意すべきポイントを明確化し、家族が迷わず対応できるよう支援します。

また利用者の症状の急変が疑われる場合は状況を整理して、医療機関との連携を円滑におこないます。

リハビリによる機能維持・改善

訪問看護では、看護ケアに加えて理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)による在宅リハビリをおこないます。主な内容は次のとおりです。

  • PT・OT・STの専門的訓練
  • 立ち上がり・移動などの生活動作訓練
  • 誤嚥防止の訓練・関節拘縮の予防など

利用者の身体機能や自宅環境に合わせて訓練内容を調整し、日常生活で無理なく動ける状態を維持・改善していくことが特徴です。

また利用者が自宅で安全に動けるよう生活動線の見直しもおこないます。身体機能と住環境の両面から働きかけることで、在宅で必要な力を維持・改善していきます。

無料相談受付中!福祉事業サポートチーム

サポートメンバーの写真

社会貢献に繋がる経営にご興味がある方、お気軽にご相談ください! まずは当社サービスの事業について、詳細はこちらからご確認ください!

訪問看護の主なできないこと一覧

ここでは訪問看護で制度上の理由で禁止されている主な依頼を説明していきます。

掃除・料理・買い物などの家事全般

訪問看護では、掃除・洗濯・料理・買い物などの家事全般はおこなえません。

これらは訪問介護の生活援助に分類されるため、看護師が「ついでに掃除をする」などの行為も制度上の理由で禁止されています。

ただし、主治医が医療的根拠を認めて指示した場合に限り、家事に近い支援が特例的に許可されます。

例えば主に以下のケースがあげられます。

  • 褥瘡や感染予防のため、一時的に寝具を整える
  • 利用者の誤嚥防止のため、食べ物の形状や固さなどをどうするべきか家族に助言する
  • 医療機器の安全確保のため、配線や設置場所を整理するなど

いずれも主治医の指示が前提であり、看護師が独断でおこなうことはできません。

長時間の見守り・付き添い

訪問看護では、医療処置や看護ケアを短時間でおこなう仕組みになっており、1回の訪問は20分から60分程度に限られます。

そのため、長時間の見守りや付き添いは訪問看護の範囲には含まれず、訪問介護・居宅介護が担う役割になります。

以下のような対応は、訪問看護では制度上の理由で禁止されている「長時間の見守り・付き添い」に該当します。

  • 利用者の話し相手として数時間滞在する
  • 服薬後の状態観察のために数時間滞在する
  • 転倒防止のために利用者を長時間見守るなど

通院同行や外出介助が原則不可

訪問看護では、通院同行や買い物・散歩などの外出介助は原則としておこなえません。これらは医療行為ではなく移動支援に該当するため、訪問介護や居宅介護、介護保険・医療保険適用外の全額自己負担での対応となります。

ただし主治医が医療的根拠を認めて指示した場合に限り、例外的に短時間の同行が許可されることがあります。主なケースは次のとおりです。

  • 医療処置が必要な状態で、通院中にトラブルが想定される場合
  • てんかん発作や急変リスクが高く、医療的観察が必要な場合
  • 人工呼吸器や在宅酸素等の医療機器の安全管理が不可欠な場合など

いずれも主治医の指示が前提であり、看護師が独断で対応することはできません。

診断・処方など医師が担う行為

訪問看護では、看護師が医療処置や病状観察をおこないますが、診断・処方・病名の判断といった医師の専門領域には一切踏み込めません。

看護師ができるのは、利用者の体調変化を観察し、その情報を正確に主治医へ報告するところまでです。

利用者の発熱や呼吸苦、意識の変化などがあった場合も、看護師が診断するのではなく、観察した事実を主治医へ伝え、医療的判断につなげるという流れになります。

自宅以外での訪問看護の提供

訪問看護は、あくまで利用者の「自宅」を対象に医療的ケアをおこなう仕組みであり、自宅以外の場所でサービスを提供することはできません。

具体的には、病院・ホテル・カフェ・職場・友人宅などへの訪問は制度上の理由でいずれも禁止されています。

また入院中の利用者にも訪問できません。これは入院している時点で医療機関が責任を持って治療・看護を提供しているため、訪問看護が重複して支援することが制度上認められていないためです。

ただし、例外としてグループホーム・有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅などの居住型の福祉施設への訪問は以下の理由で認められています。

  • 制度上、居住型の福祉施設は利用者が生活する自宅として扱われている
  • 病院のような完璧な医療ケアを提供できている訳ではないため、訪問看護も必要

居住型の福祉施設が認められているのにホテルや友人宅が禁止されていることに違和感を持つ方もいるでしょう。

ホテルや友人宅は、制度上あくまでも一時的な滞在場所として見なされており、自宅には該当しないため、訪問看護では対応できません。

無料相談受付中!福祉事業サポートチーム

サポートメンバーの写真

社会貢献に繋がる経営にご興味がある方、お気軽にご相談ください! まずは当社サービスの事業について、詳細はこちらからご確認ください!

訪問看護と他サービスの使い分けが大切な理由

訪問看護を適切に利用するには、ほかの在宅サービスとの役割分担を理解し、正しく使い分けることが重要です。基本原則は 「家事はヘルパー、医療は看護師」 となります。

掃除・買い物・調理などの生活援助は訪問介護が担い、医療処置や病状観察は訪問看護がおこないます。

制度を十分に知らないまま利用者やその家族が依頼すると、訪問看護で禁止されている対応まで求めてしまい、以下のようなトラブルに発展することがあります。

【介護保険・医療保険外の対応で不正請求になる】
訪問看護は「医療行為・看護行為」に対してのみ医療保険・介護保険で請求できます。
訪問看護ステーションが掃除や買い物代行など制度上禁止されている対応をおこなった状態で請求すると、行政に不正請求と判断され、返金や行政指導、指定取り消しなどのペナルティを受けるリスクがあります。

【利用者への訪問看護の提供の中断】
禁止されている対応の依頼が続くと不正請求のリスクが高くなるため、その利用者への訪問看護の提供を中断せざるを得ません。
中断が多い場合は訪問看護ステーションは安定した経営が難しくなり、利用者側は必要な支援を受けられなくなるリスクがあります。

【事業所・利用者とその家族の関係性の悪化】
制度を知らない方が訪問看護を利用する場合、制度上禁止されている依頼なのにも関わらず、「なぜそんな簡単なこともやってくれないの?」という不満を抱きやすく、関係性が悪化してしまうおそれがあります。
また納得してもらえない場合、制度のルールを守っているだけなのに「サービスが悪いステーション」だと誤解され、地域での評判も悪くなってしまうおそれがあります。

こうした行き違いを防ぐには、利用者側は依頼したい内容が訪問看護で可能かどうか事前に相談し、訪問看護ステーション側は初回契約時に“できること・できないこと”を明確に説明することが欠かせません。

トラブルを避けるために、訪問看護では対応できない全額自己負担の自費サービスをあらかじめ用意している訪問看護ステーションもあり、制度上できない支援を補完する方法として活用されています。

また、どのサービスを使えば良いか困っている利用者はケアマネジャーに相談するのが望ましいです。

必要な支援を過不足なく受けられるよう、訪問介護・訪問看護・障害福祉サービスを適切に組み合わせたケアプランを調整してくれます。

年間経常利益4,000万円以上のクライアント多数!

GLUG(グラッグ)では高収益かつ安定した障害福祉事業をトータルで支援し、実績は1,000社以上! 無料にて今までの実績や収支シミュレーション、店舗の見学をおこなっておりますのでお気軽にご相談ください。

\検討中でもOK!/

無料プロに相談する

\福祉ビジネスの裏側を公開/

無料高収益の秘訣を確認する

今すぐ疑問を解決したい方はこちら

03-6441-3820

[受付時間] 平日10:00-19:00

まとめ

訪問看護を適切に利用・提供するためには、「家事はヘルパー、医療は看護師」という原則を理解し、訪問看護で“できること・できないこと”を明確にすることが重要です。

その理解が曖昧のままで禁止されているサービスを依頼・提供してしまうことで、訪問看護ステーション側には不正請求などのリスクが発生し、利用者側にはサービスを途中で受けられなくなるというトラブルにつながるおそれがあります。

訪問看護は訪問看護ステーション側と利用者側の制度上の理解が合ってこそ健全に成り立つサービスだといえます。

これから訪問看護ステーションを立ち上げる方で、どのように訪問看護でできること・できないことを線引きするべきか、自費サービスの内容をどうするべきか困っている方は訪問看護の開業支援サービスを活用するのも1つの手です。

GLUGでは、これまで1,000社以上の就労継続支援A型事業所の開業・運営を支援してきた実績を持ち、そのノウハウをもとに訪問看護の立ち上げや運営サポートもおこなっています。

訪問看護事業の立ち上げをご検討中の方は、ぜひお問い合わせフォームからご相談ください。

担当者T.Aのイラスト

記事の監修者

T.A

社会福祉士、社会教育主事、サービス管理責任者

福祉系大学卒業後、社会福祉法人にて就労継続支援A型事業の立ち上げにジョイン。業務指導と併せて商品開発や営業に従事。また同法人にて放課後等デイサービス事業や相談支援事業、就労継続支援B型事業などの立ち上げをおこなう。
その後、特例子会社にてBPO業務管理や障がいのあるメンバーのマネジメントや採用に携わり、現在は福祉コンサルティング会社にて福祉事業のSVとしてクライアントの運営サポートをおこなっている。