訪問看護は医療保険と介護保険のどちらを使う?条件と費用をわかりやすく整理

最終更新日:2025年12月3日

訪問看護は医療保険と介護保険どちらを使う?条件と費用をわかりやすく整理

訪問看護は介護保険と医療保険のどちらが適用されるかで手続きや料金の考え方が大きく変わります。

また医師の特別指示書による切り替えや訪問介護との併用など、誤解しやすいポイントも多く存在します。

そこで今回は訪問看護の医療保険・介護保険の基礎知識や料金の考え方、手続きの違い、併用できるケース・できないケースなどを網羅的に紹介していきます。

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訪問看護は医療保険と介護保険のいずれかで利用できるサービス

訪問看護は、利用者の状態に応じて医療保険または介護保険のどちらかで利用します。これは、訪問看護が「医療的処置・疾患管理」と「日常の療養支援」という両方の役割を持つためです。

病状悪化の予防や医療処置が必要と判断された場合は医療保険、生活機能の維持や慢性的な療養支援が中心となる場合は介護保険が適用されます。

どちらを使うかは、疾患の状況、医療的必要度、年齢などの条件で決まります。

介護保険で訪問看護が適用されるケース

ここでは介護保険が訪問看護に適用される主な条件や提供されるサービス、料金の考え方などを紹介していきます。

介護保険が優先となる基本条件

訪問看護が介護保険で適用されるのは、主に次の条件を満たす場合です。

  • 要介護・要支援認定を受けている
  • 訪問看護の目的が日常生活の維持や慢性疾患のフォロー中心

この条件に該当する場合、急性期の医療処置よりも生活を支える支援が求められるため、介護保険が適用されます。

サービスの利用そのものは、ケアマネジャーが作成するケアプランに基づいて決定されます。

介護保険で提供される訪問看護の主なサービス

介護保険で提供される訪問看護は、在宅での生活を安定させるための日常的な健康管理やケアが中心です。主なサービスは次のとおりです。

  • バイタルチェック(体温・血圧・脈拍などの確認)
  • 病状の観察(体調変化の早期把握)
  • 清潔ケア(入浴・清拭・爪切りなど)
  • 褥瘡予防(皮膚状態の確認など)
  • 服薬管理(飲み忘れ・誤薬の防止)など

これらは急性期の医療処置ではなく、利用者が自宅で安心して生活を続けるための“日常の療養サポート”として提供されます。

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介護保険の料金体系

介護保険の訪問看護は、基本単位×加算単位×地域区分による単価×自己負担割合で最終的に支払う料金が決まります。

基本単位は訪問時間に応じて以下のように区分されています。

▼訪問時間ごとの基本単位
・20分未満:314単位
・30分未満:471単位
・30分以上60分未満:823単位

地域区分は訪問看護ステーションの所在地で等級が分けられており、物価や人件費などの運営コストを反映することを目的としています。地域区分の主な種類は以下の通りです。

▼地域区分(級地)による単価

地域区分上乗せ割合1単位あたりの単価
1級地+20%11.40円
2級地+16%11.12円
3級地+15%11.05円
4級地+12%10.84円
5級地+10%10.70円
6級地+6%10.42円
7級地+3%10.21円
その他+0%10.00円

また自己負担割合は年齢と世帯の所得状況などによって市町村が1割から3割のいずれかに分類します。

以下は年齢・所得の区分ごとの目安です。

区分年齢条件の目安自己負担割合
一般65歳以上(第1号被保険者)住民税非課税または 住民税課税所得28万円未満1割
現役並み所得者(Ⅰ)65歳以上住民税課税所得 28万円以上145万円未満2割
現役並み所得者(Ⅱ)65歳以上住民税課税所得 145万円以上 かつ世帯収入が 520万円以上3割
第2号被保険者40歳から64歳特定疾病に該当1割から3割(医療保険に準ずる)

さらにサービス内容に応じて初回加算・緊急時訪問看護加算・特別管理加算などの単位が料金に上乗せされます。

これらを合計した「10割分」に、利用者の自己負担割合をかけて実際の支払額が決まります。

たとえば自己負担3割の方が加算なしの訪問看護ステーションを月4回利用する場合、以下の金額が目安となります。

  • 基本単位:30分以上60分未満(823単位)
  • 地域区分:1級地(11.40円)
  • 823単位×11.40円=9,382円(10割)/回
  • 月4回利用:37,528円
  • 自己負担割合3割:37,528円×0.3=月額約11,259円、1回あたり約2,814円

医療保険で訪問看護が適用されるケース

ここでは医療保険が訪問看護に適用される主な条件や提供されるサービス、料金の考え方などを説明していきます。

医療保険が優先される代表的な条件

訪問看護が医療保険で適用されるのは、医療的管理が不可欠と判断される場合です。慢性期の生活支援よりも、病状の変動や医療処置への対応が重視されるケースでは医療保険が優先されます。

主な条件は次のとおりです。

  • 40歳未満で訪問看護を利用する場合
  • 末期の悪性腫瘍
  • 重度褥瘡がある
  • 在宅酸素療法・人工呼吸器などの医療機器を使用している
  • がんや認知症など特定疾病に罹患している
  • 医師から特別指示書が発行された場合

これらに該当する場合、急性期の対応や高度な医療的管理が必要となるため、介護保険ではなく医療保険が優先されます。

医療保険で提供される訪問看護の特徴

医療保険での訪問看護は、創傷処置・点滴管理・人口呼吸器管理など医療処置が中心となります。

訪問看護は主治医の訪問看護指示書の内容に基づいて介護保険・医療保険のいずれかが適用される仕組みで、医療保険が適用されるのは医療的管理や急性期対応が必要な場合です。

さらに医療保険では、病状悪化時に特別指示書による臨時訪問が認められており、必要に応じて集中的な訪問がおこなえます。

こうした仕組みにより、病状が変動しやすい利用者にも対応した在宅療養のサポートがおこなわれます。

医療保険の料金体系

医療保険の訪問看護は、基本療養費+管理療養費+加算×自己負担割合で利用者が支払う料金が決まります。

基本療養費は、以下のように訪問時間ではなく、回数で区分されています。

▼基本療養費

区分10割額(1回)
基本療養費(Ⅰ)週3回まで約5,500円/回
基本療養費(Ⅰ)週4回目以降約6,500円/回

管理療養費は、訪問看護ステーションの運営コストであり、安定したサービス提供を実現するために設けられています。

厚生労働省の「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」で説明されているように、評価される項目が違うことで月初の1回目と2回目で以下のように料金が変わります。

【月初の1回目の訪問】
主治医の指示内容の確認、1カ月間の訪問計画の作成、ケアマネージャーなど多職種との連携等を評価します。
2回目以降より訪問看護ステーションの対応が多くなるため、比較的料金が高いという特徴があります。

  • 機能強化型訪問看護管理療養費1:13,230円
  • 機能強化型2:10,030円
  • 機能強化型3:8,700円
  • その他(機能強化型以外):7,670円

【2回目以降の訪問】
利用者の状態の管理、主治医やケアマネージャーへの報告、予定調整・緊急対応時の判断などを評価します。
管理が中心となり、1回目よりも訪問看護ステーションの対応が少なくなることから比較的料金が安くなります。

  • 訪問看護管理療養費1:3,000円
  • 訪問看護管理療養費2:2,500円

また利用者の状況や訪問時間帯などに応じて以下のような各種加算が料金に上乗せされます。

加算名内容点数
特別管理加算(Ⅰ)医療依存度が高い場合+500点
特別管理加算(Ⅱ)高度な医療管理が必要な場合+250点
緊急時訪問看護加算24時間対応体制を整えている場合+300点
夜間・早朝加算18時から翌8時の間の訪問+100点
深夜加算22時から5時の間の訪問+200点
複数名訪問加算2名以上の訪問+250点(1名追加ごと)

自己負担割合3割の方が月4回訪問看護ステーションを利用する場合、以下の金額が目安となります。

▼例:月初の1回目(自己負担3割)
・基本療養費(Ⅰ)5,500円
・機能強化型訪問看護管理療養費1:13,230円
・特別管理加算(Ⅰ):5,000円
・合計(10割):23,730円
自己負担3割:23,730円×0.3=7,119円

▼例:2回目以降(自己負担3割)
・基本療養費(Ⅰ)5,500円
・訪問看護管理療養費1:3,000円
・特別管理加算(Ⅰ):0円(この加算の算定は月1回のみ)
・合計(10割):8,500円
・自己負担3割:8,500円×0.3=2,550円
・月初を除く利用料金合計:2,550円×3=7,650円
月額合計:月初の7,119円+2回名以降の合計7,650円=14,769円

訪問看護で医療保険と介護保険の“優先順位”が決まる仕組み

ここでは訪問看護に適用される保険種別の優先順位の考え方を解説していきます。

原則は介護保険が優先される

訪問看護では、医療保険と介護保険のどちらを使うかが制度で決まっています。介護保険法では「介護保険を優先適用する」と定められており、要介護・要支援認定を受けている人は、原則として介護保険で訪問看護を利用します。

この優先順位は、日常生活の維持や慢性的な体調管理といった在宅生活を支える支援を、まずは介護保険の枠組みで提供するという考え方に基づいています。

認定を受けている利用者は、訪問看護の利用もケアマネージャーのケアプランに沿って組み立てられる仕組みになっています。

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例外的に医療保険が優先されるパターン

訪問看護は介護保険が原則ですが、医療的管理が優先される状態だと判断される場合、要介護・要支援者であっても医療保険が適用されます。

主な例外は次のとおりです。

  • 医師が特別指示書を発行し、急な症状変動や集中的な看護が必要な場合
  • ALS・がん末期などの特定疾病に該当する場合
  • 人工呼吸器・在宅酸素療法などの医療機器を日常的に使用している場合
  • 40歳未満で訪問看護を利用する場合など

誤りやすい判断ポイント

訪問看護では、原則として同じ月の中で医療保険と介護保険を混在させることはできず、その月の訪問はどちらか一方の保険で統一されます。

月途中で介護保険が原則となる65歳になったり、医療機器の導入・特別指示書の発行・特定疾病の診断などで医療保険の適用が必要になったりした場合でも、切り替えは原則として翌月からとなります。

また、利用者の診察状態に基づく医師の指示書が保険種別を決める基準となるため、家族の希望だけで保険種別を決めることは不可能です。

医療保険と介護保険の“利用開始までの流れ”の違い

医療保険と介護保険では訪問間の利用をおこなうための手続きが異なります。ここでは医療保険・介護保険別に訪問看護を利用するための手続きの流れを紹介していきます。

介護保険の手続き

介護保険で訪問看護を利用するには、所定の手続きを順番に進める必要があります。基本的な流れは次のとおりです。

  1. 医師が訪問看護指示書を作成し、必要な在宅ケアを指示する
  2. 市区町村へ申請して要介護・要支援認定を受ける
  3. 認定結果にもとづき、ケアマネージャーがケアプランを作成する
  4. ケアプランに沿った内容で訪問看護の利用開始となる

介護保険では、訪問看護指示書・要介護認定・ケアプランの3つが揃うことが利用の必須条件となります。

医療保険の手続き

医療保険で訪問看護を利用する場合、介護保険よりも手続きはシンプルになります。主な流れは、以下の通りです。

  1. 主治医が訪問看護の必要性を判断し、訪問看護指示書を作成する
  2. 利用者やその家族が訪問看護ステーションを選定する
  3. 指示書の内容にもとづき、訪問看護の利用開始となる

医療保険では、医師の判断と指示書が根拠となるため、ケアマネージャーのケアプラン調整や要介護認定の手続きは不要です。

医療保険と介護保険の併用はできる?制度上のルールを整理

ここでは医療保険と介護保険が併用できるケースと併用できないケースを紹介していきます。

併用できるケース・できないケース

医療保険と介護保険は、同一の疾病・同一の目的でのサービス提供では併用できないという原則があります。

訪問看護も同様で、同じ月に医療保険と介護保険を同時に適用させることはできません。

一方で、サービス内容が異なる場合は併用が可能です。たとえば、生活援助をおこなう訪問介護は介護保険で利用し、医療的管理が必要な場面では訪問看護を医療保険で利用するといった組み合わせは制度上認められています。

よくある誤解

介護保険で訪問看護を利用している途中でも、症状が急変して医師が特別指示書を発行した場合、その日を境に医療保険に切り替わります。 

それ以前の訪問は介護保険で算定されるため、同じ訪問が二重で請求されることはありません。

また生活援助をおこなう訪問介護が介護保険、訪問看護に医療保険が適用されている場合、制度上別のサービスとなるため、それぞれの保険で請求されます。

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まとめ

訪問看護では、適用される保険種別が利用者の診察状況によって変わるのが特徴で、特別指示書や医療機器の使用などによって月途中でも保険種別が切り替わるケースも珍しくありません。

また、訪問介護と訪問看護のようにサービス内容が異なれば、介護保険と医療保険を組み合わせて利用することも可能です。こうした制度の理解は、訪問看護を提供する運営者側にも欠かせません。

GLUGでは、これまで1,000社以上の就労継続支援A型事業所の開業・運営を支援してきた実績を持ち、そのノウハウをもとに訪問看護の立ち上げや運営サポートもおこなっています。

訪問看護事業の開業をご検討中の方は、ぜひお問い合わせフォームからご相談ください。

担当者T.Aのイラスト

記事の監修者

T.A

社会福祉士、社会教育主事、サービス管理責任者

福祉系大学卒業後、社会福祉法人にて就労継続支援A型事業の立ち上げにジョイン。業務指導と併せて商品開発や営業に従事。また同法人にて放課後等デイサービス事業や相談支援事業、就労継続支援B型事業などの立ち上げをおこなう。
その後、特例子会社にてBPO業務管理や障がいのあるメンバーのマネジメントや採用に携わり、現在は福祉コンサルティング会社にて福祉事業のSVとしてクライアントの運営サポートをおこなっている。