就労継続支援A型事業所は国が支援する福祉事業であるため、申請できる給付金・助成金・補助金の種類は豊富にあります。
しかしこれからA型事業所を開業したり、開業したばかりという方の場合、具体的にどういった種類があるのか分からずに困ることもあるでしょう。
今回はA型事業所が申請できる代表的な給付金・助成金・補助金や使い道、運営を成功に近づけるポイントなどをご紹介します。
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就労継続支援A型事業所の収益のモデルとは?
就労継続支援A型事業所の売上は、福祉サービス提供の報酬である「給付金」と「生産活動売上(事業売上)」によって決まります。
後述しますが、国から受け取れる給付金(基本報酬)はサービス利用者数や利用日数などで評価され、加算・減算によって最終的な給付額が確定します。
サービス利用者の支援につながる活動をおこなった際に条件を満たせば加算され、指定基準と呼ばれるルールを満たせない状態が続くと減算となります。
生産活動売上はサービス利用者に提供する仕事によって得た売上のことであり、法的なルールでこの生産活動売上からサービス利用者の給与を支払う必要があります。
さらに詳しく就労継続支援A型事業所の収益モデルを知りたい方は、あわせて以下の記事もご覧ください。
就労継続支援A型の収益モデルは?開業方法や経営のポイントを解説
就労継続支援A型事業所が受け取れる金額の種類
就労継続支援A型事業所が受け取れる金額は、給付金・助成金・補助金の3種類で、いずれの場合も原則は返済義務がありません。
国や行政など支援制度の主催団体が掲げる目的に沿う事業に対して支給する仕組みであり、支給対象になるためには基準を満たす必要があります。
給付金・助成金・補助金の違いは、以下の通りです。
【給付金】
国や行政などの主催団体が要件を満たす組織・個人を支援するための制度で、個人向けの給付金も幅広くある傾向にあります。
申請要件を満たしていれば原則支給されます。
【助成金】
主に厚生労働省と行政が管轄する支援制度で、雇用安定・職場環境の改善などに取り組んだ組織に対して支給します。
申請要件を満たしていれば原則支給されます。
【補助金】
主に経済産業省と自治体が管轄する支援制度で、経済活性化に取り組もうとする組織に対して支給します。
申請要件を満たしたうえで審査に通過する必要があり、審査結果によっては支給されません。
特に補助金は数百万円単位と支給金額が大きい傾向にありますが、募集期間が短い傾向にあるほか定員数も限られているため、期日前に締め切られてしまう場合もあります。
就労継続支援A型事業所が受け取る給付金とは?
就労継続支援A型は障害や難病が理由で一般企業で働くことが困難な方に働く場の提供・自立した生活に向けた支援をおこない、対価として国から給付金を受け取るビジネスです。
この給付金が就労継続支援A型事業所の主な収入源となり、サービス利用者の給与以外の人件費、光熱費、サービス利用者への支援など、A型事業所の経費に活用できます。
上手く給付金を活用することでサービス利用者への支援を手厚くできることはもちろん、大きな利益を安定して出していくこともできます。
ここではA型事業所の主な収入源となる訓練等給付費(自立支援給付)の概要をご紹介していきます。
訓練等給付費(自立支援給付)
訓練等給付費(自立支援給付)は、サービス利用者に必要な支援・トレーニングの報酬として支給されます。
金額は最終的に決定される基本報酬によって左右されるものの、平均ではサービス利用者1人あたり月額12万円から14万円です。
例えばサービス利用者20人のA型事業所の場合は、毎月240万円から280万円の給付金を国から受け取れます。
基本報酬は以下の3軸で主な金額が決定し、サービス利用者に対しておこなった支援が条件に満たしていれば加算として基本報酬に上乗せされる仕組みです。
【定員区分】
A型事業所を同時に利用できるサービス利用者の定員人数のことで、人数によって5段階に分類されます。
【人員配置区分】
前年度の平均サービス利用者数に対する職業指導員・生活支援員を合計した人数です。
合計人数の割合によって、「就労継続支援A型サービス費Ⅰ(7.5:1)」「就労継続支援A型サービス費Ⅱ(10:1)」に分類されます。
【評価点(スコア)】
「労働時間」「生産活動」「多様な働き方」「支援力向上」「地域連携活動」「経営改善計画」「利用者の知識・能力向上」を合計した数値が評価として算出されます。
上記の3軸はサービス利用者にどれほど適切な支援をおこなえているかという観点で考えられており、サービス利用者のための支援が利益につながります。
また利益を上げることができればサービス利用者に支援という形で還元できるため、多くの事業所が少しでも基本報酬が上がるように努力しています。
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就労継続支援A型事業所が対象の助成金とは?
就労継続支援A型事業所の運営やサービス利用者への支援をさらに安定させるために、助成金を活用するA型事業所もあります。
ここでは就労継続支援A型事業所が活用できる主な助成金をご紹介していきます。
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース及び発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)
特定求職者雇用開発助成金は、一般企業での就労が難しい方を雇用した場合に支給される助成金で、A型事業所が申請できるコースは以下の2種類です。
- 特定就職困難者コース
- 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース
特定就職困難者コースの対象労働者・助成額・助成期間は、以下の通りです。
厚生労働省「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案概要(改正入管法の施行に伴う改正) 」より、特定求職者雇用開発助成金の支給額
多くのA型事業所がサービス利用者に6時間未満の短時間労働で任せている傾向があり、2年で80万円を受け取れます。
また一般企業への就労を目指しているなどの理由で6時間以上の労働をしているサービス利用者がいれば、最大240万円が支給されます。
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コースの対象労働者・助成額・助成期間は、以下の通りです。
厚生労働省『「特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)」のご案内』より、助成額
またこのコースの対象となる方は、以下の通りです。
- 障害者手帳を所持していない発達障害または難病のある方
- 雇い入れ日時点で満年齢が65歳未満である方
障害者雇用調整金
障害者雇用調整金は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が主催する障害者雇用納付金制度によって支給される助成金のことです。
障害者の雇用促進を目指すことを目的に、障害者法定雇用率未達の事業主から納付金を徴収し、障害者法定雇用率を達成している事業主に支給する仕組みになっています。
徴収額と支給額は、以下の通りです。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「事業主のみなさまへ令和6年度版ご案内」より、障害者雇用給付金制度の概要
ただし、徴収の対象になる事業主は常用労働者100人超の障害者法定雇用率未達の企業のみであり、100人以下の中小企業からは徴収をおこないません。
報奨金(奨励金)
報奨金は、常時雇用している従業員数が100人以下になる月が8ヶ月以上で、一定数の身体障害者・知的障害者・精神障害者を雇用している事業主を支援する助成金です。
報奨金の金額は以下のように計算され、障害を持つ従業員数に21,000円を乗じた金額が支給される仕組みになっています。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「事業主のみなさまへ令和6年度版ご案内」より、報奨金の額の計算
特例給付金
特例給付金は、短時間労働であれば働ける障害者を雇用する給付金で、令和3年から新たに始まった制度です。
以下の条件に当てはまる障害者を雇用する場合に支給対象となります。
- 障害者手帳等を保持している
- 雇用が1年を超えている(見込みも含む)
- 週の労働時間が10時間以上20時間未満
支給額は以下の通りです。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「週10~20時間未満で働く障害者を雇用する事業主の皆様への給付金のご案内」より、支給額
また人数は、以下のようにカウントする仕組みです。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「週10~20時間未満で働く障害者を雇用する事業主の皆様への給付金のご案内」より、障がい者のカウント方法
職場適応訓練費
職場適応訓練費は、職場で作業に関するおこなった事業主に訓練費を支給する助成金のことで、訓練終了後は雇用することが前提となります。
支給対象の条件は、以下の通りです。
- 訓練をおこなう設備的余裕があること
- 指導員として適当な従業員がいること
- 労働災害補償保険、雇用保険、健康保険等に加入し、又はこれらと同様の職員共済制度を有していること
- 労働基準法及び労働安全衛生法に規定する安全衛生その他の作業条件が整備されていること
- 訓練終了後、訓練生を雇用する見込みがあること
- 訓練期間は通常6か月(重度の障害者等は1年)以内、短期の場合は、2週間(重度の障害者は4週間)以内であること
出典:厚生労働省「職場での訓練を受け入れる時は 職場適応訓練費」
受給額は、以下の通りです。
- 1人あたり月額24,000円(重度の障害者25,000円)
- 短期の職場適応訓練は、日額960円(重度の障害者1,000円)
- なお、訓練生には雇用保険の失業給付が支給されます。
出典:厚生労働省「職場での訓練を受け入れる時は 職場適応訓練費」
障害者介助等助成金
障害者の雇用促進・雇用継続を目的に、障害者を雇用する事業主に対して支給される助成金であり、以下4種類の制度が用意されています。
- 職場介助者の配置または委嘱助成金
- 職場介助者の配置または委嘱の継続措置に係る助成金
- 手話通訳・要約筆記等担当者の委嘱助成金
- 障害者相談窓口担当者の配置助成金
それぞれご紹介していきます。
職場介助者の配置または委嘱助成金
障害を持つ従業員のために職場介助者の配置または委嘱をおこなう事業主を対象とする助成金で、以下の障害者や職場介助者の配置・委嘱が対象になります。
▼対象障害者
- 2級以上の視覚障害者
- 次の障害を重複する障害者
① 2級以上の両上肢機能障害
② 2級以上の両下肢機能障害 - 次の障害を重複する障害者
① 3級以上の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による上肢機能障害
② 3級以上の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害
出典:厚生労働省「障害者介助等助成金」
▼対象の職場介助者の配置・委嘱
- 重度視覚障害者に対する直接の介助業務
① 対象障害者の都度の判断かつ指示に基づく事務処理に必要な文書の朗読と録音テープの作成
② 対象障害者の都度の判断かつ指示に基づく文書の作成とその補助業務
③ 対象障害者の業務上外出の付添い(営業活動等において、介助者が運転する場合を除く)
④ 上記①~③の介助業務に付随している業務 - 重度四肢機能障害者に対する直接の介助業務
① 対象障害者の都度の判断かつ指示に基づく文書の作成とその補助業務
② 対象障害者の都度の判断かつ指示に基づく機械の操作、コンピュータ入力とその補助業務
③ 対象障害者の業務上外出の付添い(営業活動等において、介助者が運転する場合を除く)
④ 上記①~③の介助業務に付随している業務
出典:厚生労働省「障害者介助等助成金」
支給額は、次の通りです。
職場介助者の配置または委嘱の継続措置に係る助成金
障害を持つ従業員のために職場介助者の配置または委嘱を継続しておこなう事業主を対象とした助成金で、以下の障害者や職場介助者の配置・委嘱が対象になります。
▼対象障害者
- 2級以上の視覚障害者
- 次の障害を重複する障害者
① 2級以上の両上肢機能障害
② 2級以上の両下肢機能障害 - 次の障害を重複する障害者
① 3級以上の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による上肢機能障害
② 3級以上の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害
出典:厚生労働省「障害者介助等助成金」
▼対象の職場介助者の配置・委嘱
- 重度視覚障害者に対する直接の介助業務
① 対象障害者の都度の判断かつ指示に基づく事務処理に必要な文書の朗読と録音テープの作成
② 対象障害者の都度の判断かつ指示に基づく文書の作成とその補助業務
③ 対象障害者の業務上外出の付添い(営業活動等において、介助者が運転する場合を除く)
④ 上記①~③の介助業務に付随している業務 - 重度四肢機能障害者に対する直接の介助業務
① 対象障害者の都度の判断かつ指示に基づく文書の作成とその補助業務
② 対象障害者の都度の判断かつ指示に基づく機械の操作、コンピュータ入力とその補助業務
③ 対象障害者の業務上外出の付添い(営業活動等において、介助者が運転する場合を除く)
④ 上記①~③の介助業務に付随している業務
出典:厚生労働省「障害者介助等助成金」
支給額は、次の通りです。
手話通訳・要約筆記等担当者の委嘱助成金
障害を持つ従業員のために手話通訳、要約筆記等の担当者の委嘱をおこなう事業主に対する助成金で、以下の障害者などが対象になります。
- 対象障害者
本助成金の「対象障害者」は、事業主によって雇い入れまたは継続して雇用される、6級以上の聴覚障害者です。 - 手話通訳、要約筆記等の担当者の委嘱
1の対象障害者が円滑に就労できるよう、次の①~③のいずれかの業務(遠隔地にいる手話通訳、要約筆記等の担当者が情報通信機器を介して対象障害者に対しておこなう手話通訳、要約筆記等を含む。)を担当する「手話通訳、要約筆記等の担当者」を委嘱すること
①対象障害者の業務上の必要に際して直接的におこなわれる手話通訳、要約筆記等
②対象障害者の職業能力の向上等を目的とした研修等に係る手話通訳、要約筆記等
③対象障害者の所属する事業所の労働者に対して、対象障害者の業務の円滑化、職場環境改善を目的としておこなう手話研修等
出典:厚生労働省「障害者介助等助成金」
支給額は、次の通りです。
障害者相談窓口担当者の配置助成金
障害を持つ従業員のために合理的配慮に係る相談等に応じる者の増配置または委嘱をおこなう事業主を対象とした助成金で、以下の障害者と措置が対象になります。
▼対象障害者
- 身体障害者
- 知的障害者
- 精神障害者
▼対象の措置
- 担当者の増配置
設置されている合理的配慮に係る相談窓口または当該窓口とは別に新設した相談窓口に職場適応援助者研修修了者等の障害者相談窓口担当者を配置する措置 - 研修の受講
相談窓口担当者に障害者専門機関等がおこなう合理的配慮に係る研修を受講させる措置 - 障害者専門機関等への委嘱
障害者専門機関等に合理的配慮に係る相談業務、苦情処理業務または事業主への助言・援助業務を委嘱する措置
出典:厚生労働省「障害者介助等助成金」
支給額は、次の通りです。
職場適応援助者助成金
障害を持つ従業員を雇用する事業主が雇用を継続するために訪問型職場適応援助者または企業在籍型職場適応援助者を配置する場合、その費用の一部を支援する助成金です。
配置する援助者によって申請できる助成金は、以下の2種類に分かれます。
- 訪問型職場適応援助者助成金
- 企業在籍型職場適応援助者助成金
それぞれ詳しくご紹介していきます。
訪問型職場適応援助者助成金
他の企業で雇用される障害者に対して、訪問型職場適応援助者を派遣し職場適応援助をおこなった場合に申請できる助成金で、自社の障害を持つ従業員は対象外となります。
支給額は、以下のいずれかです。
出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「訪問型職場適応援助者助成金 企業在籍型職場適応援助者助成金」
原則として支給対象になるのは1日につき1名分のみで、その他の助成金などを受けている場合は差し引いた残りの額が支給される仕組みです。
企業在籍型職場適応援助者助成金
企業在籍型職場適応援助者を適正に配置できると認められている事業主を対象とする助成金で、自社の障害を持つ従業員も対象になります。
支給額は、以下の通りです。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用助成金のご案内」より、支給額及び支給期間等
重度障害者等通勤対策助成金
重度障害者等通勤対策助成金は、主に重度障害者の通勤をサポートするための措置を実施した事業者を対象として、措置の費用の一部を支援します。
申請できる助成金は以下8種類に分類されているため、それぞれご紹介していきます。
- 重度障害者等用住宅の賃借助成金
- 指導員の配置助成金
- 住宅手当の支払い助成金
- 通勤用バスの購入助成金
- 通勤用バス運転従事者の委嘱助成金
- 通勤援助者委嘱助成金
- 駐車場の賃借助成金
- 通勤用自転車の購入助成金
重度障害者等用住宅の賃借助成金
重度障害者等を入居させるために専用の構造・設備を備えた世帯用または単身用の住宅の賃借をおこなう事業主を支援する助成金です。
どのような住宅でも支給対象になるということはなく、以下の要件を満たす住宅のみが対象となります。
- 対象の障害を持つ従業員の障害特性に応じた構造・設備を持つ住宅であること
- 事業主が新規に賃借する住宅であること
- 申請住宅から事業所までの移動時間が10分程度の距離であること。およびこの間の通勤方法は支給対象障害者が徒歩または車いす等で通勤できる場合に限ること
- 対象の障害を持つ従業員が入居している住宅であること
- 世帯用は、対象障害者が次のイからニまでに掲げるいずれかの方と同居する住宅であること
イ 配偶者
ロ 6親等以内の血族の方
ハ 3親等以内の姻族の方
ニ イからハ以外の者で機構がやむを得ないと認める方
出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「重度障害者等通勤対策助成金」
支給額は、以下の通りです。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「重度障害者等通勤対策助成金」より、助成率、支給限度額等
指導員の配置助成金
重度の障害を持つ従業員等が5人以上入居する住宅(グループホームを除く)に指導員を配置する事業者を支援する助成金です。
支給対象となる指導員の数は、以下のように定められています。
出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「重度障害者等通勤対策助成金」
また支給額は、以下の通りです。
出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「重度障害者等通勤対策助成金」
住宅手当の支払い助成金
対象の障害を持つ従業員が自ら借りた住宅に対する住宅手当を支給している事業主を支援する助成金です。
支給対象になる条件は、以下の通りです。
- 通勤を容易とすることを目的に、対象の障害を持つ従業員自ら新規に借りた住宅で、その賃料を支払っていること
- 対象住宅が事業所まで10分程度の距離であること、この間の通勤は徒歩または車いす等でおこなえること
- 対象住宅の移動環境等において、障害特性に配慮した住宅であること
- 対象の障害を持つ従業員以外の労働者が住宅を賃借した場合に通常支払われる住宅手当の限度額を超えた住宅手当の支払を、就業規則等に定めていること
- 対象住宅に対象の障害を持つ従業員が移転することに関して、住民基本台帳法第22条(転入届)または第23条(転居届)に規定する届出をおこなっていること
出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「重度障害者等通勤対策助成金」
支給額は、以下の通りです。
出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「重度障害者等通勤対策助成金」
通勤用バスの購入助成金
障害によって通勤が容易ではない支給対象の従業員のために、障害特性に応じた通勤用バスを購入もしくは購入しなければならない事業主を支援する助成金です。
支援を受けるためには認定申請書と事業計画を提出する必要があり、通勤用バスの事前購入は原則認められていません。
ただし認定申請書とあわせて事前着手申出書を提出した場合は、助成金の認定前に通勤用バスを購入することができます。
支給額は、以下の通りです。
出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「重度障害者等通勤対策助成金」
通勤用バス運転従事者の委嘱助成金
重度の障害によって通勤が容易ではない従業員(5人以上)のために、通勤用バスでの送迎をする運転手の委嘱をおこなう事業主を支援する助成金です。
就労継続支援A型事業所の場合、送迎加算の届出を提出している場合は支給対象外になるため、この助成金には申請できません。
ただし送迎加算対象外になる重度の障害を持つ事業所スタッフに措置する場合は、A型事業所でもこの助成金に申請できます。
支給額は、以下の通りです。
出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「重度障害者等通勤対策助成金」
通勤援助者委嘱助成金
障害によって通勤が容易ではない支給対象の従業員のために、通勤の指導・援助をする担当者の委嘱をおこなう、もしくは委嘱しなければならない事業主を支援する助成金です。
対象となる通勤手段は公共交通機関の利用のみに限定されており、その他の通勤手段での申請は認められていません。
支給額は、以下の通りです。
出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「重度障害者等通勤対策助成金」
駐車場の賃借助成金
重度の障害によって公共交通機関等での通勤が困難な従業員の自動車通勤を認め、駐車場を賃借しなければならない事業主を支援する助成金です。
その目的から駐車場の賃借で発生する費用全額を支給対象の従業員から徴収している事業主は、この助成金に申請できません。
支給額は、以下の通りです。
出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「重度障害者等通勤対策助成金」
通勤用自転車の購入助成金
障害によって通勤が容易ではない支給対象の従業員のために、障害特性に応じた通勤用自動車を購入もしくは購入しなければならない事業主を支援する助成金です。
支給対象となる要件は、以下の通りです。
- 事業主に自動車の所有権があること
- 乗車定員5名以下(車いすの場合は10名以下)で障害特性に応じた設備があること
- 小型自動車・軽自動車で人の運送に関する自家用自動車であること
- 支給対象となる従業員の通勤以外の用途では自動車を使用しないこと
支給額は、次の通りです。
出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「重度障害者等通勤対策助成金」
支援を受けるためには認定申請書と事業計画を提出する必要があり、通勤用バスの事前購入は原則認められていません。
ただし認定申請書とあわせて事前着手申出書を提出した場合は、助成金の認定前に通勤用バスを購入することができます。
就労継続支援A型事業所が対象の補助金とは?
ここまでA型事業所が申請できる主な助成金をご紹介しましたが、行政では補助金が用意されている場合があります。
一例をご説明しますが、お住いの地域の行政にも補助金があることも多いため、気になる方は行政の窓口に問い合わせてみましょう。
【東京都】障害者施設等物価高騰緊急対策補助金
物価高騰等に影響を受けた障害者施設等の負担軽減を目的とする補助金で、対象経費は利用者に価格転嫁できない食材費及び光熱費の物価高騰相当分のみが指定されています。
具体的な補助額は、以下の通りです。
【愛知県】愛知県障害福祉サービス確保対策事業費補助金
新型コロナウイルスの悪影響を受けた事業所を支援するための制度で、事業所の消毒に要する費用や人員確保に伴う費用、サービスの継続に必要な経費を支援しています。
補助金を申請するためには、以下いずれかの要件を満たす必要があります。
出典:愛知県「愛知県障害福祉サービス確保対策事業費補助金(受付開始)」
主な補助金額は、B型事業所の場合は最大で27万9,000円となり、調査のうえで実支出額に基づいた補助金額が決定されます。
障害福祉事業に取り組みませんか?
GLUGでは障害をお持ちの方がより活躍できる社会を実現するため、障害福祉の開業から経営改善までトータルで支援しています。
無料相談のほか、事業所の見学や取組シミュレーションもおこなっておりますので、少しでもご興味をお持ちの方は弊社までお問い合わせください。
就労継続支援A型事業所でも使える補助金・助成金とは
ここまで給付金・助成金・補助金別にご紹介しましたが、一般企業に人気のある補助金・助成金も活用できる場合があります。
ここではA型事業所も申請の対象になる主な補助金・助成金をご説明します。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、非正規雇用の労働者の正社員化・処遇改善をおこなった場合に申請できる制度です。
労働者の意欲・能力向上や事業の生産性を高めることを目的としており、以下6つの制度が設けられています。
【正社員化支援】
- 正社員化コース
- 障害者正社員化コース
【処遇改善支援】
- 賃金規定等改定コース
- 賃金規定等共通化コース
- 賞与・退職金制度導入コース
- 社会保険適用時処遇改善コース
障害者正社員化コースの場合、支給額は以下のとおりです。
出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)のご案内」
トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)
トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)は、就職が困難な障害者のトライアル雇用をおこなった企業に助成金を支給する制度のことで、以下2点を目的としています。
- 職業経験の不足などによって、就職が困難な求職者に就職の機会を与える
- 労働者の適性を十分に確認する期間を設けることで、企業と労働者のミスマッチを防ぐ
支給額(月額)は対象者1人あたり最大4万円、精神障害者の場合は最大8万円が支給されます。
対象となる方は、以下いずれかに該当している必要があります。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は、事業主が雇用する労働者に職業訓練等を実施した場合、訓練経費・訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。
人材開発支援助成金には、主に以下のコースが用意されているため、目的に応じたコースを申請すると良いでしょう。
- 人材育成支援コース
- 教育訓練休暇等付与コース
- 人への投資促進コース
- 事業展開等リスキリング支援コース
- 建設労働者認定訓練コース
- 建設労働者技能実習コース
助成率・助成額は、以下の通りです。
出典:厚生労働省「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内」
就労継続支援A型事業所が補助金・助成金を受け取れる期間は?
これまでご紹介してきたように、サービス利用者と雇用契約を結ぶ就労継続支援A型事業所の補助金・助成金は多岐にわたり、受け取れる期間の幅も広い傾向にあります。
助成金は申請要件を満たしていれば原則支給される仕組みで、助成金によっては要件を満たす限り10年間は支給を受けられる場合もあります。
今回ご紹介した補助金・助成金は一部であるため、その他にも申請できそうな補助金・助成金を調べてみると良いでしょう。
就労継続支援A型事業所が倒産する理由とは?
就労継続支援A型事業所が申請できる補助金・助成金も充実しているため、安定した大きな利益を狙うこともできるしょう。
その一方で補助金・助成金が豊富にあるにも関わらず、赤字や倒産につながっているA型事業所も存在します。
ここでは就労継続支援A型事業所で赤字・倒産が起きてしまう主な原因をご紹介していきます。
生産活動による売上をつくれない
前述したようにサービス利用者の給与は、サービス利用者に任せている生産活動(仕事)によって得た売上から捻出しなければならないルールです。
給付金で支給された金銭はA型事業所の運営に関する経費として使う必要があり、サービス利用者の給与としては支払えません。
生産活動による売上が少ない状態が続けば赤字に陥ってしまい、赤字が数年単位で続く場合は最悪は行政からA型事業所の指定取り消し処分を下されて、倒産してしまいます。
厚生労働省の「就労継続支援A型に係る報酬・基準について≪論点等≫」によれば、生産活動の売上がサービス利用者の給与に達していないA型事業所はおよそ4割あるとされています。
支援内容が不足し集客・定着につなげられない
就労継続支援A型は、サービス利用者におこなう支援・訓練の対価として国から給付金を受け取れるビジネスですが、給付金のみに着目すると支援内容が不足してしまうリスクがあります。
あくまでも就労継続支援A型の本来の目的は、サービス利用者の自立した生活につながる支援・訓練を提供していくことです。
サービス利用者への支援・訓練内容が不足していれば、サービス利用者の集客・定着が難航することで給付金の金額も下がり、いずれは赤字・倒産につながってしまいます。
十分に資金調達をしていない
A型事業所の大きな収入源となる訓練等給付費(自立支援給付)は、サービスの提供を始めてから約2ヵ月後に入金される仕組みです。
この仕組みによって開業したばかりの時期は自己資金で運営していく必要がありますが、すぐに売上を出せるとは限らないため、この期間中に赤字に陥る事業所もあります。
特に十分に資金調達をしていない場合は、この創業初期の期間を乗り越えることが難しくなり、最悪は倒産してしまうおそれがあります。
就労継続支援A型事業所の経営を上手くいかせるためには
給付金・助成金・補助金を上手く活用しつつ、生産活動から安定した売上を確保できていれば、事業所の運営が成功しているといえる状態です。
思うように経営できていない事業所も存在しますが、どういったポイントを意識すれば経営を成功に導くことができるのでしょうか。
ここでは生産活動の売上向上や安定した経営を目指すうえで大切なポイントをご紹介していきます。
支援の内容を充実させる
サービス利用者の集客・定着を図るためにA型事業所で提供する支援・訓練の内容を少しでも充実させるようにしましょう。
内閣府の「令和4年度障害者試作の概状(令和5年版障害者白書)」で説明されているとおり、障がい者の人数は増え続けており、現在は約1,160.2万人にものぼります。
しかし厚生労働省の「障害者の就労支援について」で発表されているように、A型事業所数も増加傾向にあるものの、それでも3,922箇所しかない状況です。
大きな需要があるサービスだといえますが、競合も増えつつある状況であるため、支援・訓練内容を充実させることで競合に勝てるようにすると良いでしょう。
生産活動の幅を広げる
ひとつの生産活動をおこなっているだけでは、いずれ売上にも限界が生じる可能性が高いため、生産活動の幅を広げるようにしましょう。
低単価の生産活動と同時並行で高単価の生産活動もおこなうなど、生産活動の幅を広げることで安定した売上を確保できる可能性が高くなります。
また生産活動の幅を広げることによって、A型事業所を利用したいと思うサービス利用者も増えるため、集客・定着を図るうえでも有効な策だといえます。
事業所を知ってもらう活動をおこなう
どんなに素晴らしい支援・訓練を提供しているA型事業所でも、その存在を知っている方が少ない状態であればサービス利用者が思うように集まらないリスクがあります。
A型事業所の存在をサービス利用者に知ってもらうためには、日頃の営業活動や集客が重要で、認知を拡大していけばおのずと集まるサービス利用者も増えていくでしょう。
またA型事業所の公式HPやSNSを開設・情報発信することで、さらに多くの方に存在が認知されやすくなります。
既存事業との相乗効果を狙う
既存事業でおこなっている業務の一部を就労継続支援A型で担当することで、生産活動による売上を確保する方法もあります。
自分の会社や知人が経営している会社の事業の一部をA型事業所に任せることで、生産活動の幅を広げつつ売上を確保し、本業の社員がコア業務にあたる時間を増やすことができます。
ただし生産活動の実態と報酬が異なる場合は、行政から注意されるおそれがあるため、正しく報告するようにしましょう。
施設外就労を活用する
施設外就労は、顧客から請け負った仕事を客先に出向いて労働することを指します。
施設外就労には施設の定員数と同数の利用者を出すことができるため、それだけ給付金の総額を上げることができます。
さらに施設外就労を増やすため、より多くの生産活動を獲得すれば利用者の仕事の幅を広げられるほか、実績としてアピールすることもでき、利用者の獲得にもつながるでしょう。
依頼を検討している顧客には福祉を知らない一般企業も多いため、自分たちの仕事の強みを伝えつつ、福祉関連の知識がなくても依頼できることを明言すると良いでしょう。
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まとめ
就労継続支援A型事業所では、申請できる給付金・助成金・補助金の種類が多岐にわたり、上手く活用することができれば、事業所の運営や拡大を円滑におこなえるでしょう。
毎年多くの助成金・補助金が開催されており、気付いたときには申請期日を過ぎてしまうおそれもあるため、常に動向を把握しチャンスを逃さないようにすることが大切です。
また給付金・助成金・補助金は、あくまでも事業所運営の経費に充てる金銭であり、サービス利用者の給与は生産活動の売上から捻出しなければなりません。
生産活動の幅を広げることで売上増加や支援向上につなげられるため、給付金・助成金・補助金の申請と同時並行で生産活動にも力を入れていくと良いでしょう。