在宅看護・訪問看護・訪問介護の違いを一から理解するための基礎知識

「在宅看護」「訪問看護」と「訪問介護」は名前が似ているため混同されがちですが、実は役割も仕組みも大きく異なります。誤解したまま利用するとトラブルを招くおそれがあります。

そこで今回は在宅看護・訪問看護・訪問介護の違いや訪問看護の主なサービス内容、線引きが重要な理由などを紹介していきます。

最初に押さえるべき在宅看護・訪問看護・訪問介護の全体像

在宅で暮らし続けるための支援には「在宅看護」「訪問看護」「訪問介護」がありますが、名称が似ていて役割が分かりにくいのが実情です。

在宅看護は、自宅で受ける看護全体を指す広い概念で、医療的ケアだけでなく生活面の調整や家族への助言まで含みます。

その中心となるのが訪問看護で、医師の指示に基づき看護師が医療処置・病状観察・療養生活の支援をおこないます。

一方、訪問介護はヘルパーが生活援助や身体介護を担当し、医療行為はおこないません。

3つが混同されやすいのは、いずれも「自宅で受ける支援」であり、同じ利用者のもとに並行して入ることが多いからです。

しかし役割の線引きは明確で、「医療面は訪問看護」「生活面は訪問介護」、そしてこれらを包括する枠組みが在宅看護という構造で成り立っています。

家で生活を続けるため在宅看護

自宅で生活を続けるうえで欠かせないのが「在宅看護」という枠組みです。

在宅看護は、看護師による医療ケアだけでなく、生活の調整や家族への支援まで含む広い概念であり、在宅医療を支える基盤となります。その中核を担うのが訪問看護です。

近年は、早期退院の推進や慢性疾患を抱えながら自宅で暮らす人の増加により、病院ではなく日常の生活環境で看護を受ける必要性が高まっています。

こうした状況を受け、在宅看護の役割はますます重要となり、地域で生活を支える仕組みとして注目が高まっています。

医療ケアに特化した専門サービスの訪問看護

訪問看護は、在宅医療の中でも医療ケアに特化した専門サービスです。利用には医師が発行する「訪問看護指示書」が必要で、その指示に基づき看護師が高度な支援をおこないます。

主な業務は、自宅で安全に療養できるよう医療面を支えることです。

• 点滴・創傷管理などの医療処置
• バイタル測定や症状変化を捉えるモニタリング
• 急変時の初期対応
• がん末期を含むターミナルケア

さらに精神科・小児・難病・がん末期など、病状や年齢に応じた専門的な看護も求められます。

加えて、主治医・ケアマネジャー・訪問介護など多職種との情報連携を担うため、在宅医療チームの要として重要な役割を果たしています。

生活支援・身体介護を担う訪問介護

訪問介護は、在宅生活を維持するためにヘルパーが「生活援助」と「身体介護」を提供するサービスです。

生活援助では買い物・掃除・調理などの家事を、身体介護では排泄介助や入浴介助など日常動作を支える支援をおこないます。

医療行為は法律上認められておらず、看護師が担う訪問看護とは役割が明確に区別されています。

訪問介護は介護保険サービスとして提供されるため、訪問看護指示書のような主治医の指示は不要です。

必要なのは要介護認定で、ケアマネジャーが作成するケアプランに基づきサービスが組み立てられます。

この仕組みによって、利用者が日常生活を無理なく続けられる環境が整えられています。

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在宅看護・訪問看護・訪問介護の違い

在宅での療養を支える仕組みは「在宅看護」「訪問看護」「訪問介護」に大きく分かれます。

まず在宅看護は、自宅で受ける看護全体を指す枠組みであり、医療を担う訪問看護と生活面を担う訪問介護がこの枠組みの中でのサービスとして位置づけられています。

区分	担当する専門職	制度上の位置づけ	提供できる内容	必要書類・要件
在宅看護	看護師を中心に多職種が関与	サービスによって異なる	医療ケア・生活支援・家族支援など広範囲	サービスによって異なる
訪問看護	看護師	医療保険・介護保険のサービス	医療処置、症状管理、急変対応など	主治医の訪問看護指示書
訪問介護	介護職（ヘルパー）	介護保険のサービス	生活援助・身体介護のみで医療行為は不可	要介護認定＋ケアプラン

訪問看護と訪問介護の“線引き”が重要な理由

訪問看護と訪問介護は、どちらも自宅での生活を支えるサービスですが、名称が似ているため、利用者や家族が混同しやすい分野です。

訪問介護では法律上できない医療行為が多く、創傷処置や服薬管理などはヘルパーの業務範囲に含まれません。

一方、訪問看護は症状の評価や急変時の判断など、専門的な判断を伴う医療的支援を担います。

また、医療保険と介護保険には「どちらを優先するか」という明確なルールがあり、同じ目的の支援を重複して請求することはできません。

役割の線引きが曖昧なままサービス提供をおこなうと、返戻や算定ミスにつながる可能性があります。

こうしたリスクを防ぐためには、訪問看護と訪問介護を正しく使い分け、医療と生活支援がそれぞれ適切に機能する体制を整えることが欠かせません。

サービス利用時の注意点

在宅サービスを安心して利用するには、訪問看護と訪問介護の役割を正しく理解しておくことが大切です。

医療行為をヘルパーに依頼したり、生活援助を看護師に求めたりすると、必要な支援が受けられないだけでなく、トラブルの原因にもなります。

利用時に特に注意したい点は次のとおりです。

• 医療ケアと生活支援の役割を混同しない
• 事業所によって提供体制・得意分野・対応可能なケア内容が異なるなど

そのため、利用前に担当者へ希望内容を具体的に伝え、体制や対応可能範囲を確認しておくことが在宅サービスをスムーズに利用するうえで欠かせません。

まとめ

訪問看護と訪問介護の役割を正しく理解しておくことは、在宅サービスを適切に利用するうえで重要となります。

医療ケアと生活支援の線引きが曖昧になるとトラブルを招きやすく、事業所側にとっても誤算定や返戻の原因にもなります。

訪問看護と訪問介護の線引きは利用者だけでなく、事業所にも重要です。線引きしつつ、安定した経営をしたい方は開業支援サービスを活用すると良いでしょう。

GLUGでは、これまで1,000社以上の就労継続支援A型事業所の開業・運営を支援してきた実績を持ち、そのノウハウをもとに訪問看護の立ち上げや運営サポートもおこなっています。

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