これまで会社員として働き続けるなか、40代に入り、起業を考える方もいるのではないでしょうか。
様々な仕事を経験し、貯蓄もできてきて、自分自身の力で仕事ができるのではないかと思う一方、40代からの起業だからこそ不安を抱えることもあることでしょう。
この記事では40代からの起業のコツや注意点、起業の進め方などをご紹介します。
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40代からの起業は成功する?
20代や30代の経験を活かして働き盛りとなる40代は、大きなプロジェクトを任されたり、管理職に就いたりと、自身が中心となって仕事を進めることが多くなる年代でもあります。
自分の裁量で仕事ができるようになると、会社に縛られずもっと自分らしく働くために起業を模索し始める人も増えてきます。
一方、「40代からの起業では遅いのではないか」と考える方も少なくありません。
しかし、日本政策金融公庫の調査によると、2023年の40代での開業は37.8%と前年代のなかで最も多くの割合を占めており、開業時の平均年齢も43.7歳ということがわかります。
日本政策金融公庫「2023年度新規開業実態調査」より、開業時の年齢
また、起業を成功させるためには知識や経験のほか、人脈や資金面も課題になりますが、40代ではこれまでのキャリアでそれらの土壌が整っていることも多く、20代や30代での起業よりも堅実に進められるといえます。
40代からの起業で成功させるためのコツとは?
仕事においてこれまで多くの経験をしてきたといっても、必ず起業が成功するとは限りません。
40代からの起業を成功させるためにはいくつかの知っておきたいコツが存在し、おさえておくことで失敗するリスクを減らすことができます。
ここでは、起業を成功させる確率を高めるためのポイントをご紹介します。
知識や経験、ノウハウを利用する
40代の大きな強みとして、豊富な経験や知識が挙げられます。
長い経験があるからこそ業界や業種においての様々なノウハウが蓄積しており、そのノウハウがあるからこそ、会社でも中心となり多くの仕事を効率的に進めることができます。
そのため、起業する際は自身の経験や知識を最大限に活用することを第一に考えるようにしましょう。
起業後はどれだけ早く軌道に乗せることができるかが成功のカギを握りますが、未経験の業界や業種にチャレンジする場合は、経験や知識を身に付けるまでに時間がかかり、それだけ失敗のリスクは上がります。
新しいことにも果敢にチャレンジするという精神は事業を継続するうえで重要なことですが、40代で起業する際はできるだけ失敗のリスクを抑える必要があるので、まずは自身の経験や知識をどう活かすかを念頭に置きましょう。
40代は家庭を持っている方も多いため、失敗するリスクはできるだけ抑え、起業後はできるだけ早く軌道に乗せることが重要です。
事業計画を綿密に作る
事業のアイデアがあるからといって、むやみに起業するのは避けたほうが良いでしょう。
自身の事業のアイデアはしっかり利益を生むことができるかどうか、また、ニーズや競合他社についても調査したうえで、成功確率を見極める必要があります。
それも踏まえて、起業する際には必ず事業計画書を作成し、綿密に準備しましょう。
堅実に起業するためには綿密な事業計画は欠かせず、事業計画書を作成する中で失敗のリスクに気づくこともあります。
事前にリスクの芽を摘むことができることも、事業計画を立てるメリットでもあります。
小さく始める
立派なオフィスを構え、多くの社員を雇用して事業を始めようとすると、多くの資金が必要になります。
たくさんの資金を投入して始めた事業が万が一失敗した場合は、多額の負債を抱えることもあります。
家庭を持っている方も多い40代は、家計への影響もじっくり考えながら起業しなければいけません。
会社を辞めて起業するという選択ができない方は、週末だけの起業や副業という形でスタートして軌道に乗ってきたら独立するというやり方もあります。
そのような形であれば、たとえうまくいかなかったとしても会社員としての収入は維持できるので、次のチャレンジに向けて再度準備することも可能です。
バックオフィスなどの基礎知識も身に付ける
会社に在籍している時には担当部署に任せることができていた経理や法務に関することも、最小限の資金で起業する場合は、自身である程度把握しておく必要があります。
もちろん専門的な知識を身に付けるには時間がかかりますが、だからといって、経理や法務のことを何も知らずに起業するのは危険です。
基礎的な知識だけでも身に付けて、いざという時には相談できる税理士や弁護士、行政書士の方を見つけておきましょう。
周囲の理解・協力を得る
起業するにあたり、これまで築いてきたネットワークも強みになります。
社内、社外関わらず、起業の理由や目的に賛同してくれれば、起業後も力になってくれるでしょう。
起業を応援してくれる人が増えれば、それだけビジネスチャンスも広がります。
会社で請け負っていた仕事や仕事を通して築き上げた人脈は、起業後引き継ぐことができないこともありますが、そのような場合も仕事を抜きにした個人的な付き合いは続けられるため、関わりを断つ必要はありません。
人との付き合いから、新たな出会いが生まれ、それがビジネスにつながることもあります。
自身が築いてきたネットワークはあなたの財産です。起業前も後も大切にしましょう。
40代から起業をすることによるリスクや注意点
40代での起業には様々なリスクも潜んでいます。
それらのリスクや注意点を事前におさえておくことで、起業において失敗する可能性を下げることができます。
気をつけたいポイントをいくつかピックアップしてご紹介するので、頭に入れておきましょう。
失敗したときのリスクが大きい
起業するにあたり、生活のために自身の生活をないがしろにしてはならず、特に家庭をお持ちの方は家族の生活を守ることを優先しなければいけません。
起業に付き物であるリスクをどれだけ抑えることができるかが、家庭をお持ちの40代が起業する場合のポイントになります。
壮大な夢を見て、多くの自己資金を投入して起業したものの、思うようにいかず失敗してしまったら取り返しのつかない事態を招くこともあります。
会社員にまた戻ろうとしても、40代は再就職先も限られます。
そのため、まずはスモールスタートを心がけてください。
資金は十分に用意する
当然ながら、事業は始める際も続ける際も資金は必要です。
なんとか起業することができても、運転資金が底をついてしまったら倒産してしまいます。
また、資金面が圧迫されてしまうと冷静な経営判断もしづらくなるため、そうならないためにも、必要な資金は正確に把握し、運転資金も含めて資金計画をしっかり立てることが肝要です。
自己資金をしっかり用意することは当然ながら、経営状況が悪くなってからの融資は受けづらくなってしまうため、金融機関からの融資も余裕を持って受けることが良いでしょう。
計画から博打要素は排除する
起業の際には大きな成功を夢見てしまうこともありますが、現実離れした計画を立てるのはやめましょう。
40代の起業は堅実に進めるのが重要です。
事業のアイデアを思いついた時にはうまくいきそうだと思っても、計画を立てていく中で障壁となりそうな要素が見つかることもあります。
リスクには目を向けずイチかバチかでチャレンジするような起業は避けなければいけません。
リスクはリスクとしてしっかり把握したうえで、成功確率が少しでも高くなる選択を行い、万が一失敗した場合もリカバリーできるような計画を立てるように心がけましょう。
安定・堅実な業界・業種で挑戦する
自身の経験や知識を活かせる業界・業種で起業するのが成功確率が高いとご紹介しましたが、しかし、ニーズが安定していなかったり、競合がひしめき合っていたりすると、新たに参入して成功するのは難しいでしょう。
起業においては、自身の経験や知識を活かすことができ、中長期的なニーズが見込め、競合と差別化を図ることができそうな事業が理想ですが、そのような事業のアイデアを考えるのは簡単ではありません。
そのような場合、需要が大きい業界や、中長期的に見て安定性が高い業種で起業ができないか考えてみましょう。
需要が大きく強い競合がいない業界では参入ハードルが高い場合もありますが、そこで戦える知識・経験やスキルがあれば、起業の成功確率を大きく上げられるでしょう。
家族からの理解・信用を失わないようにする
起業をするというチャレンジは周囲からのサポートだけでなく、反対も受けることがあります。
なかでも最も身近な存在である家族からの声はモチベーションにも大きく影響するため、起業前にしっかりと説明しましょう。
起業は本人も不安を感じますが、家族はそれ以上に不安です。
説明もしないまま会社を辞めて迷惑をかけることになった場合、家庭が崩壊する可能性もあります。
先述した事業計画書などを用いて、事業について良い面・悪い面含めて説明し理解してもらえれば、家族と信頼関係を築きながら起業に向けて進むことができます。
起業家は経営するなかで孤独や不安を感じることも多いですが、家族からの応援があれば心の支えにもなるでしょう。
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40代から起業を始めることに向いている人と向いていない人の特徴
起業は資金面やビジネスモデルだけでなく、性格などによっても成功しやすいかが左右されます。
ここでは、できるだけリスクを抑える必要がある40代の起業に向いている人、向いていない人の特徴をご紹介します。
向いている人の特徴
40代からの起業に向いている人の特徴は、豊富な専門知識、明確なアイディア、そして行動力が挙げられます。
この年代の強みとして、特定分野における知識や経験が豊富に蓄積されていることが大きな武器となります。
その知識と経験をもとに、新たな価値を生み出すアイディアを持ち、それを実行に移すことができることが重要です。
さらに、起業にはゼロから取引先を開拓したり、パートナーを見つけたりするため、積極的な行動が必要です。
知識や経験をもとにしたアイデアを実行するには協力者が必要になることが多いため、その協力者を見つけ出し、関係を築く力も重要です。
このように、40代からの起業に向いている人は、専門知識と経験、行動力を持ち合わせ、アイディアを実行に移すための意欲と能力を備えている人といえます。
向いていない人の特徴
40代からの起業に向いていない人の特徴として、まず挙げられるのは起業する分野の知識が乏しいことです。
業界を転々としていて一貫した専門知識が身についていない場合、新たなビジネスを立ち上げる際に必要な基盤が不足しています。
また、起業の意志はあるものの、どのようなビジネスを展開すべきか明確なアイディアがない場合も、成功は難しいでしょう。
さらに、組織で働くことが好きで、ひとりで行動するよりも組織内で協力して働くことに安心感を持っている人も起業には向いていません。
会社員としての働き方に慣れ親しんでいる人は、独立して事業を立ち上げる際の孤独感や責任の重さに耐えられない可能性があります。
このように、専門知識や明確なビジネスアイディアが不足していたり、組織での働き方への適応が強い人は、起業よりも組織内で新しい挑戦をする方が向いていると言えます。
40代からの起業の進め方を紹介
実際に起業する場合、どのように進めればいいか簡単にご説明します。
自身の状況と照らし合わせながら起業のステップをイメージしてみましょう。
なお、起業の詳しい流れについては以下の記事でもご紹介しています。
独立開業したい人は知っておくべきこと!流れや資金調達の方法も解説
起業理由を改めて考える
「会社に縛られず自由に働きたい」「事業を成功させて年収を上げたい」「自身の経験や知識を社会に役立てたい」など、起業する理由は人によって様々です。
自身が起業する場合は、何が理由なのか明確にしておくと、自身を突き動かす原動力になります。
また起業後も、経営で上手くいかないこともあるでしょう。
そんな時、起業に至った理由が明確であれば、ブレずに経営を続けることができます。
事業計画を立てる
働き盛りの40代はなかなか自分の時間をつくるのが難しいかもしれませんが、失敗のリスクをできるだけ抑えるには起業前に事業計画をしっかり立てる必要があります。
いつまでに何をやるのか、そのために何が必要なのかを把握できるようにしておけば、起業後も事業計画と照らし合わせてPDCAを回すことができます。
事業計画があいまいなまま起業してしまうと、すべてが場当たり的な対応になってしまい、事業を軌道に乗せるのに時間や労力がかかってしまいます。
家族に説明する
家庭を持っている方は、起業前に自身の事業計画についてしっかりと家族に説明しましょう。
その際、家族に理解してほしいことや協力してほしいことも伝えることが大切です。
万が一うまくいかなかった場合もできるだけ家族に負担がかからない対策を考え、安心してもらえるように配慮しましょう。
起業資金の算出・調達
起業に費用が大きくなればなるほどリスクも大きくなるため、起業はできるだけ少ないコストで始めましょう。
また、運転資金も含め、資金調達額がギリギリにならないようにすることが重要です。
まずは起業に必要な資金を算出し、生活費を鑑みて自己資金をどれほど充当できるか、どこからいくら融資を受けるかを計算しましょう。
場合によっては補助金や助成金を利用することも検討すべきですが、支払われるまでに時間がかかることもあるため、それらをあてにした起業計画をつくるのは辞めておくのが賢明でしょう。
起業形態を決めて手続きをする
起業するにあたって、起業形態を検討する必要があります。
個人事業主として起業するのか法人を設立するのかだけでなく、ゼロから起業するのか、フランチャイズに加盟するのかも考える必要があります。
自身のスキルや経験、起業の目的に合わせ、最も適切な起業形態を選択しましょう。
h3事業運営開始
開業届の提出や法人口座の開設、登記などの手続きが済んだら、いよいよ事業開始です。
できるだけ早く軌道に乗せられるように、自身の経験と知識、そしてネットワークを存分に活かして経営を進めていきましょう。
40代からの起業における、おすすめの起業形態とは?
起業形態によってメリットもデメリットも存在します。
一概にどの企業形態が良いとはいえず、これまでの経験や起業する業界によって起業形態を検討する必要があります。
ここではいくつかある起業形態のなかから、主要なものをご紹介します。
フリーランスや個人事業主
デザインやプログラミングなどの専門的な知識やスキルを持っている方は、まずは個人で始めることをおすすめします。
パソコン1台あれば始められる仕事であれば、初期費用をほとんどかけずに起業することも可能です。
一方、個人事業主であれば信頼性が低く、大きな仕事を請けることは難しい場合もあります。
フリーランスや個人事業主で始め、一定の収入が得られるようになれば法人化を検討しても良いでしょう。
副業
事業の拡大を目指していない方は、本業の傍ら、副業として請け負う形で始めるのが良いかもしれません。
副業の売上が多くなり、本業の収入なしでも生活できるようになってから独立しても良いですし、思うように売上が伸びない場合は辞めて別のことを始めることもできます。
副業のメリットは本業の収入を維持しながら取り組める点で、家計への影響が少ないので、家族の理解も得られやすいでしょう。
ただ、働き盛りの40代は自分の時間を確保しづらい方も多く、副業をするために、自分の時間を確保できるかどうかがポイントになります。
フランチャイズに加盟
未経験の業界や業種での起業は40代にとってリスクが高いとお伝えしましたが、フランチャイズであれば、フランチャイズチェーンを展開する本部から事業に関わるノウハウを提供してもらえるので新たなチャレンジをしたいと思っている方にはおすすめです。
フランチャイズに加盟する場合は、加盟金やロイヤリティを支払うことになります。
フランチャイズを検討している方は、自身がフランチャイズに合っているかどうか、また加盟しようとしている事業に将来性があるかどうかなどをしっかりと調べる必要があります。
40代からの起業における成功事例3選
成功事例から学べることもたくさんあります。
社会人として様々な経験を積んだ後に起業し、事業を成功させた方の事例をいくつかご紹介します。
新谷梨恵子氏(農プロデュース リッツ 代表)
幼少期から自然や動物が好きだった新谷氏は、農業に興味を持ち、農業大学へ進学し、大学卒業後すぐに結婚して新潟に移住します。
10年ほど農業法人で商品開発や販路拡大を経験した後、農家が食品加工や流通販売も行う6次産業になることを支援する「農プロデュース リッツ」を開業し、サツマイモを中心としたメニューを提供するカフェも経営しています。
2017年には全国女性起業家大賞で最優秀賞、2023年には農林水産内閣祭内閣総理大臣賞を受賞。
サツマイモマニアとしても知られテレビ番組に出演するなど、活躍の場を広げています。
加藤史子氏(WAmazing 代表取締役 CEO)
加藤氏は1998年にリクルートに入社し、「じゃらんnet」や「ホットペッパーグルメ」の立ち上げなど、新規事業開発を担当後、観光による地域活性を行う「じゃらんリサーチセンター」に異動。
その後、主席研究員として調査研究・事業開発に携わり、40歳の時にリクルートを退職して、訪日外国人旅行者向けのサービスを展開するWAmazingを立ち上げました。
起業前は、リクルートに在職しながら1年ほどいろいろな道を模索しながら起業の準備を進めたと発言されています。
h3出口治明氏(ライフネット生命 創業者)
出口氏は大学卒業後、日本生命に入社し、企画部や財務企画部で活躍された後、58歳で退職しました。
60歳の時に30歳ほど離れた岩瀬大輔氏とネット専業の生命保険会社であるライフネット生命を創業し、戦後初となる独立系生命保険会社の誕生となり当時話題となりました。
日本生命に在職中から生命保険業界や生命保険のあり方に疑問を持っていた出口氏は、投資家の谷家衛氏に出会い、新しい保険会社の創業を決意したそうです。
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まとめ
40代からの起業について説明してきましたが、自身が起業する姿をイメージできたでしょうか?
社会人としての経験が豊富な40代だからこそ起業の成功確率を高められる一方で、家庭を持つ方が多くなる40代だからこそ気をつけたいポイントもいくつかあります。
起業する際には、できるだけリスクを抑え、スモールスタートできる道を模索していきましょう。
なお、GLUGでは福祉・飲食の領域に特化して開業・運営をトータルでサポートするサービスを提供しています。
福祉事業やGLUGのサポートについて詳しく知りたい方はこちらのページもご確認ください。
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