会社に雇用されるのではなく、独立開業という道を検討するにあたり、知っておくべきことや準備することはたくさん存在します。
開業してからでは多忙で学ぶことも大変なため、検討段階で可能な限り調べておくと良いでしょう。
この記事では、独立開業にあたってのメリット・デメリットや流れ、資金調達の方法など、必要な基本の知識をご紹介いたします。
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独立開業とは
独立開業とは、個人事業主や法人の代表として、自ら事業を興すことです。
個人事業主の開業の場合は「開業届」を、法人の場合は「法人設立届出書」を、それぞれ税務署に提出する必要があります。
似たような言葉として「起業」もありますが、こちらについては今までにない事業を興す意味合いもあり、ベンチャーやスタートアップなどの法人の立ち上げを指すことが多いようです。
独立開業の3つの形態
独立開業するにあたり、どの開業形態で進めるかも考えておくべきでしょう。
「個人事業」「法人」「フランチャイズ」と大きく3つの形態がありますが、開業にあたって必要な手続きやメリット・デメリット、税金の額など、多くの面でそれぞれ違いがあります。
始めようとする事業の性質や将来のビジョンなど、どの開業形態が自分に合うかを吟味すると良いでしょう。
①個人事業
先述したよう、個人事業主として事業を開始する場合は税務署に「開業届」を提出します。
申告方法には白色と青色が存在しますが、税金の控除を受けられるため、開業届とともに青色申告承認申請書を提出すると良いでしょう。
個人事業主は小規模・小資金から始められ、資金や事業の運営も自由度が高く、設立の手続きや会計処理もシンプルなのが特徴です。
ただし所得額が1,000万円を超える場合や、経費として認められる範囲を広げたい場合は法人の方がメリットがある場合もあります。
また、社会的な信用度も法人の方が高いため、取引先の獲得や採用の面で不利なケースもあるでしょう。
最初は個人事業として始め、事業の規模に応じて法人化するということも可能なので、事業規模に応じて検討しましょう。
②法人
法人として開業する場合は法人設立届出書を提出することになりますが、それにあたっていくつかの準備・手続きが発生します。
法人としての概要を決めたり、法人用の実印の作成、定款の作成・認証、資本金の準備、登記申請書類の作成と提出などが必須となります。
定款の認証は合同会社・合資会社・合名会社の場合は不要となりますが、設立の時点で個人事業と比べてハードルがあるのは間違いありません。
ただし先述した通り、節税対策の面や社会的信用があるなどのメリットもあり、更に万が一事業が立ち行かなくなった場合も「有限責任」となるため、出資金は失うもののそれ以上の責任は求められません。
③フランチャイズ
「フランチャイズ(FC)」は本部と加盟店契約を結び、商標や販売・経営ノウハウを得られるシステムです。
これまで事業の経験がない場合でも比較的容易に開業でき、運営においてもサポートを受けられる場合もあるため、経験がない場合は経営やマーケティングなどの知見が得られるという意味でも大きなメリットがあると言えるでしょう。
ただし加盟料が高額な場合や、一律または売上・利益の何%かのロイヤリティを支払う必要があります。
また経営が上手くいかない場合でもすぐに解約できなかったり、違約金が発生するケースもあるので、検討する際は契約条件をしっかり確認しましょう。
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独立開業のメリット
独立開業を検討している段階で、多くの方は会社員にはない多くのメリットや成長・成功のチャンスを感じているかと思います。
実際、自分の裁量である程度自由に経営できることや、自身の能力・経験をフルに活かせることなど、独立開業することでの利点は沢山あると言えます。
ここでは独立開業のメリットの中でも大きな3つのポイントを紹介します。
成果が報酬に現れる
会社で勤務している場合、どれほど成果を上げたとしても、給与テーブルで定められた昇給額となり、収入には上限があるケースが多いでしょう。
それに対し、独立開業した場合、月々の収入は自身の努力と成果によって大きく変化します。
当然、報酬の上限もなくなるため、経営が上手くいけば短期間で高収入を得ることもできるでしょう。
やりたい仕事ができる
開業するにあたり、事業内容は当然ながら自分で決めることができます。
上司からの評価や就業規則にも縛られることなく、「やりたくない仕事は外注する」という働き方も可能です。
成果を上げるために取引先や顧客のニーズに合わせる必要はありますが、やりたい仕事や好きな仕事に没頭できることは大きなやりがいにもつながるでしょう。
労働時間が自由である
会社員の多くは就業時間や働ける年齢が決まっていますが、開業した場合は時間の使い方も自由になります。
先述したように成果が収益に直結するため、自身が必要なだけ、必要な時間に働くという生活が可能です。
また、開業した場合には定年という制度も存在せず、自身が働ける限り収入も入るので、「定年後の貯蓄が心配……」という不安も払拭できます。
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独立開業のデメリット
独立開業のメリットを紹介しましたが、デメリットも存在します。
先述した通り自由度が高い反面、会社の後ろ盾がなくなるため、経営が上手くいかない際に「会社員でいた方が良かった」と後悔する可能性もあります。
そのため、事前にデメリットも把握することで、リスクを回避しましょう。
社会的な信用が薄くなる
成果が収益に直結するというメリットに対し、安定した収入源はなくなってしまうため、事業が安定するまでは社会的信用が薄くなってしまうことがあります。
クレジットカードや住宅・車のローンの審査のハードルに引っかかってしまう場合もあるので、ローンを検討している場合は開業のタイミングも考える必要があるでしょう。
特に住宅ローンでは事業の売上だけでなく、継続年数や個人の信用情報も見られるため、慎重に考えましょう。
保険や税金の負担
社会保険や所得税、住民税などは、会社員であれば給与から天引きされるため、意識する必要はありません。
しかし開業した場合、保険料の払い込みや納税は自身の責任のうえでおこなう必要があります。
税金を正しく納めなければ延滞金が発生したり、資産の差し押さえがおこなわれることもあります。
また、知識がなければ節税もできないため、より収益を上げるためには税金について知識をつける必要があると言えるでしょう。
失敗するリスクが有る
自分自身で裁量を持って事業を展開できる反面、開業する際にはリスクや責任も背負う必要があります。
事業が上手くいかない際の赤字や、クライアントの突然の依頼停止など、事業運営においては多くのリスクが存在し、それに対してのリスクヘッジが重要となります。
しかし、どれほど準備・対策をしたうえでも失敗して借金を負ってしまう可能性はあります。
個人事業主の場合は「無限責任」となるため、個人の財産を持ち出したり、自己破産してでも返済処理をおこなう必要があります。
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独立開業までの流れ
ここでは実際に開業するまでの流れについてご紹介します。
独立開業する目的や理由を明確にする
紹介してきた通り、開業すると会社員の時から働き方が大きく変わります。
様々なリスクや第三者からの意見を受ける中、方針がその都度変わってしまっては上手くいくものも上手くいかなくなります。
なぜ会社員を辞めて開業するのか、どのような働き方・生活をしたいのか、どんなメリットがあるのかなど、目的と理由を明確にし、意思を再確認しましょう。
お金の知識を身につける
独立開業するにあたって、会社員時代には考える必要のなかったお金の流れの知識を学ぶ必要があります。
先述したような税についての知識もそうですし、損益計算書やキャッシュフローの考え方、自己資金とどれだけ融資を受けるかなど、それらによって事業の根幹が変わることもあります。
もちろん、事業をおこないながら知識をつけることもできますが、先にある程度学んでおくことで、事業計画を立てるのに大きく役立つでしょう。
事業計画を立てる
自己資金のみで独立開業する場合は必ずしも必要ありませんが、融資を受けるなど資金を集める場合には事業計画を立てる必要があります。
資金を集める以外にも、方針や考え方を明確にできたり、今後の課題の明文化と対策の整理ができたりするなど、メリットは複数あるため、仮に自己資金のみで開業する場合でも立てておいて損はないでしょう。
また、事業計画書を作成するにあたり、競合や市場の調査とそれに応じた商材の内容や価格の決定、資金計画なども考案する必要があるため、そこで無理のない事業運営の計画になっているかどうか、見定めることもできるでしょう。
資金を集める
事業計画を作成し、自己資金だけでの開業でない場合は、いずれかの方法において資金を集める必要があります。
具体的な資金調達方法については後述しますが、費用については機器や設備、仕入れや広告宣伝費なども含めた運転資金、法人の場合は法人設立費用も念頭に置いて資金調達の計画を立てましょう。
資金の総額については初期費用に加え、一般的には3ヵ月程度の運転資金、飲食など売上がなくても仕入れに費用がかかる業種では6ヵ月程度の運転資金を確保しておくと良いでしょう。
開業手続きを行う
資金調達まで実施できたら、紹介してきた通り、個人事業主の場合は「開業届」を、法人の場合は「法人設立届出書」を、それぞれ税務署に提出することでいよいよ開業となります。
個人事業主の場合は開業届の提出だけで完了しますが、法人の場合には用意する書類も多く、提出先も複数あるため、会社設立の完了までに2週間前後はかかると見込んでおきましょう。
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独立開業に必要な資金調達の方法
独立開業時に利用できる資金調達方法としては、金融機関などからの融資を受けたり、助成金・補助金を利用したりするほか、個人投資家・ベンチャーキャピタルからの出資を受ける、クラウドファンディングやビジネスコンテストに参加するなどの方法があります。
ここではその中でも比較的ハードルが低い2種の資金調達方法とメリット・デメリットについてご紹介します。
助成金・補助金を利用する
助成金・補助金は経済産業省(中小企業庁)や厚生労働省、地方自治体などによる支援制度です。
開業を支援するものや産業成長を促すためのものがあり、開業の資金調達の一助になる場合もあります。
補助金は募集期間や金額、採択される件数が決まっているものが多く、提出書類の内容が重要となる一方、助成金は随時受け付けており、要件を満たせば受け取ることができるという特徴があります。
助成金・補助金のメリットは返済が不要であるものや、創業前・創業後ともに申請が可能なものが多いため、資金調達が必要な場合はぜひ検討したいものであると言えます。
ただし、助成金・補助金は細かい条件が定められており、合わなければ申請もできず、申請したとしても必ず採択されるとは限りません。
受給までに数ヵ月かかることもあるため、助成金・補助金ありきでギリギリの資金計画を立てるのは避けた方が良いでしょう。
融資を受ける
資金調達の手段として、日本政策金融公庫からの融資や自治体・金融機関・信用保証協会による制度融資、金融機関による融資を受けるという方法もあります。
助成金・補助金と異なって返済の義務があり、借り入れの原本と併せて利息を支払います。
融資を受ける場合、事業計画書を作成して相談し、審査をクリアすることが必要です。
独立開業する場合は売上や事業運営の実績がなく、信用を得づらいため、事業計画書の内容や自己資金の額、経営者の経歴などを踏まえた融資判断となることもあります。
融資を受ける場合、融資元によりますが、無担保・無保証人で大規模な融資を受けられたり、経営相談などのサポートを受けられたり、返済実績をつくることで今後の融資を受けやすくなるなどのメリットがあります。
一方、信用力によっては高額の融資が受けられなかったり、融資元によっては保証料が必要であったり、申請から融資実行まで時間がかかるケースもあります。
そのため、自身の開業時の状況に合った融資元・融資制度を検討しましょう。
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まとめ
独立開業するための基本的な知識についてご紹介してきましたが、形態やメリット・デメリット、資金調達の方法など、多くの選択肢があり、しっかりと計画を立て準備することが重要です。
とはいえ初めての独立開業であったり、これまで経験してきた業界・業種と異なる領域での開業では不安ということもあると思います。
開業に特化した士業からのサポートを受けたり、書類作成ツール・会計ツールなどを導入し自身で準備を進める方法もありますが、運営後もサポートしてくれるコンサルティングの支援を受けるという方法もあります。
なお、GLUGでは福祉や飲食の領域に特化し、開業から運営までトータルでサポートしています。
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独立開業は売上が安定するまではただでさえ忙しく、準備や開業後の環境構築に時間を割けない場合もあります。
経営状態が悪くなってからでは立て直すまでにより大きな労力がかかるため、そのようなサービスを検討してみても良いでしょう。
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