家賃を経費計上する場合のポイントや注意点を紹介

2025年6月9日

家賃を経費計上する場合のポイントや注意点を紹介

個人事業主が事業用で使用している賃貸物件の家賃は経費計上できますが、どのような勘定科目を使えば良いのか分からない方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は個人事業主が家賃を経費計上するための基礎知識や注意が必要なポイント、家賃の仕訳に使う主な勘定科目、仕訳例などを紹介していきます。

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個人事業主が支払う家賃で経費にできるもの・できないもの

個人事業主が支払う家賃のうち、事業用で使用している範囲に限り、必要経費として計上できます。ただし、プライベートで使用している範囲の家賃は経費にできません。

自宅を事務所として兼用している場合は、使用面積・使用時間に応じて按分(あんぶん)することが求められています。

家賃の種類経費計上の可否備考
事務所や店舗専用の家賃全額を経費として計上可能
自宅兼事務所の家賃(事業用部分)使用面積や使用時間に応じて按分が必要
自宅兼事務所の家賃(プライベートの部分)×家庭用の生活スペース部分は経費にできない
別荘やレジャー用施設の家賃×事業とは無関係な家賃は経費に計上できない

経費にできる範囲を明確にし、領収書や按分の根拠を記録しておくことが大切です。税務調査に備えて、いつでも説明できるように準備しておきましょう。

個人事業主が家賃を経費計上する際に気を付けたいこと

ここでは個人事業主の家賃の経費計上する際の主な注意点を紹介していきます。

敷金・保証金は経費にできない

敷金・保証金は、賃貸物件の契約終了時に返還されることが前提のため、原則として経費にはなりません。

ただし、返還されないことが明らかな部分(償却分や契約上放棄する部分)については、経費として計上できます。

なお、敷金は「繰延資産」として資産に計上し、税務上は数年にわたって償却します。また保証金は資産として貸借対照表に計上します。

礼金・更新料の扱いが変わる場合がある

支払う礼金・更新料が20万円以上の場合は、「長期前払費用」として繰延資産に計上し、複数年に分けて償却します。

支払う金額が20万円未満の場合は、「支払手数料」などの勘定科目で記帳し、全額を一括で経費処理できます。

法人税法施行令第134条によって、少額繰延資産の特例が設けられていることでこのように20万円を境として取り扱いが変わる仕組みになっています。

持ち家の元金は経費にできない

個人事業主が持ち家を事業用に使っている場合、住宅ローンの元金は経費にできません。元金はあくまで「資産の取得」として扱われるため、経費とはみなされないためです。

その一方で、ローン利息部分や固定資産税、建物の減価償却費、事業に使用している範囲の光熱費などは、事業利用割合に応じて経費計上ができます。

持ち家を事業に使う場合は、プライベート利用との区別を明確にし、適切に按分して処理することが重要です。

根拠が分かるようにする

個人事業主が家賃を経費計上する際は、「事業で使用していることの根拠」を明確にすることが重要です。

たとえば、自宅兼事務所の場合は使用面積や使用時間に基づいて按分し、その根拠を図面や業務記録などで証明できるようにしておきます。

事業専用の物件であっても、契約書や領収書を保管し、支払い内容を明確にしておく必要があります。税務調査で確認されることもあるため、証拠を残す習慣を徹底しましょう。

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家賃の仕訳に使用する勘定科目4つ

家賃の仕訳では、主に以下4つの勘定科目が使われています。

  • 地代家賃
  • 前払費用
  • 長期前払費用
  • 支払手数料

それぞれ詳しく解説していきます。

1.地代家賃

地代家賃は、事業用の土地や建物の賃借料を処理するための勘定科目です。個人事業主が店舗・事務所・作業場などの家賃を支払った場合は、この科目で経費計上します。

たとえば、毎月の事務所家賃を普通預金から支払う場合の仕訳は、以下の通りです。

(借方)地代家賃 ○○円 /(貸方)普通預金 ○○円

支払い方法に応じて、現金払いなら「現金」、クレジットカード払いなら「未払金」などを使います。

なお、自宅兼事務所の場合は、事業に使っている割合を按分し、該当分を地代家賃として計上します。契約書や使用状況の記録もあわせて保管しましょう。

2.前払費用

前払費用とは、まだ発生していない将来の費用を先に支払った際に使う勘定科目です。

翌月以降の家賃をまとめて支払った場合、その未経過分は「前払費用」に計上し、実際に費用が発生する月に振り替えます。

たとえば、3ヶ月分(4月から6月分)の家賃30万円を3月に支払った場合、3月末時点の仕訳は以下のようになります。

(借方)前払費用 30万円 /(貸方)普通預金 30万円

そして4月以降、各月末に以下のように振り替えます。

(借方)地代家賃 10万円 /(貸方)前払費用 10万円

この処理により、費用を適切な期間に配分できます。税務署に説明できるように支払時期と対象期間を明確にしておくことが大切です。

3.長期前払費用

長期前払費用は、支払った費用のうち、1年を超えて効果が及ぶものを資産として処理する勘定科目です。

2年分の家賃を一括で支払った場合、そのうち1年分を超える部分は「長期前払費用」として計上します。

たとえば、24ヶ月分の家賃240万円を支払う場合、当期分(12ヶ月分)を「地代家賃」、残りの12ヶ月分を「長期前払費用」として仕訳します。

(借方)地代家賃 120万円/(借方)長期前払費用 120万円/(貸方)普通預金 240万円

翌期以降は、毎月「長期前払費用」から1ヶ月分ずつ「地代家賃」へ振り替えます。期間按分に注意し、正確に処理しましょう。

4.支払手数料

支払手数料は、家賃そのものではなく、賃貸契約に関連して発生する仲介手数料や保証会社への手数料などを処理するための勘定科目です。

これらの費用は家賃と性質が異なるため、地代家賃ではなく、「支払手数料」で経費計上します。

たとえば、事務所の賃貸契約時に不動産業者へ仲介手数料5万円を支払った場合、仕訳は以下の通りです。

(借方)支払手数料 50,000円 /(貸方)普通預金 50,000円

契約時に一度だけ発生する支出が多いため、まとめて処理するのが一般的です。税務上も必要経費として認められるため、領収書の保管を忘れずにおこないましょう。

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家賃の仕訳事例

ここでは家賃の仕訳事例を紹介していきます。

事業用の賃貸物件の家賃を支払う場合

事業用として借りている事務所や店舗の家賃を支払った場合は、勘定科目「地代家賃」を使って経費計上します。

借方金額貸方金額摘要
地代家賃100,000円普通預金100,000円事務所家賃の支払い 

家賃は継続的に発生する固定費のため、毎月正しく処理することが重要です。領収書や契約書の保管も忘れずにおこないましょう。

自宅兼事業所の家賃を支払う場合

自宅兼事業所として家賃を支払っている場合は、事業に使用している割合(按分率)に応じて、家賃の一部のみを経費として「地代家賃」で計上します。プライベートでの利用分は経費にできないため、区別が必要です。

たとえば家賃10万円、事業利用割合が30%の場合の仕訳は以下の通りです。

借方金額貸方金額摘要
地代家賃30,000円普通預金30,000円自宅兼事務所 家賃按分

按分率の根拠(使用面積や使用時間)も記録し、提出するようにしましょう。

事業用の賃貸物件の家賃を前払いする場合

事業用の賃貸物件の家賃を翌月分などを前もって支払った場合、支払時点で「前払費用」として資産計上し、対象月に「地代家賃」へ振り替えて経費処理します。

たとえば、4月分家賃10万円を3月に前払いした場合の仕訳は以下の通りです。

【3月の仕訳】

借方金額貸方金額摘要
前払費用100,000円普通預金100,000円4月分家賃の前払い

【3月の仕訳】

借方金額貸方金額摘要
地代家賃 100,000円前払費用100,000円4月分家賃の振替 

この処理により、費用を正しい期間に対応させることができます。

バーチャルオフィスの利用料を支払う場合

バーチャルオフィスの住所利用料や郵便転送サービス料などは、実際のオフィススペースの賃料ではないため、「地代家賃」ではなく「通信費」や「支払手数料」などで処理するのが一般的です。

たとえば、月額利用料5,500円(税込)をクレジットカードで支払った場合の仕訳は以下の通りです。

借方金額貸方金額摘要
支払手数料 5,500円未払金5,500円バーチャルオフィス利用料

サービス内容に応じて勘定科目を適切に選び、領収書や明細などの証憑類を保存しておきましょう。

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まとめ

事業用として利用している賃貸物件の家賃は経費として計上できますが、勘定科目が地代家賃なのか、前払費用などの別の勘定科目なのかを十分に把握しておくことが大切です。

また自宅兼事業所の場合は、事業用で使用している面積・時間で按分し、事業に関係する部分のみを経費計上します。

事業用・自宅兼事業所のいずれの場合も領収書や按分の根拠を記録・保管するように習慣づけ、税務調査で説明できるように準備しておきましょう。

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担当者T.Aのイラスト

記事の監修者

平林 英雄

行政書士・保育士・AFP

新卒でコンサルティング会社に入社し、10年間にわたり中小企業の経営計画策定や新規事業の立ち上げ支援に従事。飲食、介護、福祉分野のチェーン本部を経験した後、独立し行政書士としての活動を開始。
現在は法人設立や資金調達などの創業支援、許認可取得や補助金申請などの中小企業支援をおこなっている。2021年より中小企業庁の認定経営革新等支援機関。