就労継続支援B型事業所とは?利用のメリットや事業所選びのポイントを解説

就労継続支援B型事業所とは?利用のメリットや事業所選びのポイントを解説

就労継続支援B型事業所とは?利用のメリットや事業所選びのポイントを解説

障害をお持ちの方が働くことを考えたとき、クローズ就労や障がい者雇用枠で働くなど、いくつかの選択肢が存在します。

就労継続支援事業所での就労もその選択肢のひとつですが、A型とB型で異なるなど、検討するにあたってわかりづらく感じてしまうこともあるでしょう。

この記事では就労継続支援のなかでも、就労継続支援B型事業について、その概要やメリット、選び方についてご紹介します。

障害福祉事業に取り組みませんか?

GLUGでは障害をお持ちの方がより活躍できる社会を実現するため、障害福祉の開業から経営改善までトータルで支援しています。
無料相談のほか、事業所の見学や取組シミュレーションもおこなっておりますので、少しでもご興味をお持ちの方は弊社までお問い合わせください。

就労継続支援型B事業所とは?

就労継続支援B型とは、障害や難病などの理由で一般就労が難しい方を対象に働く場所を提供する、障害者総合支援法で定められている障害福祉サービスです。

施設の利用者が仕事を通じてスキルや経験を獲得し、人と関わることで社会的な能力を養うことで、より良い生活を送れるよう支援するサービスともいえます。

一般就労との違いは、サービスの利用者は雇用契約を結ぶことなく、就労のための訓練やサポートを受けながら働けるという点となり、体調や特性に応じた働き方が可能となります。

雇用契約を結ばないため、週一日の利用や短時間の利用も可能で、比較的簡単な作業からスタートすることができます。

B型事業所は全国で15,354件あり、利用者は282,409人と、事業所数・利用者数ともに増加傾向となります。


厚生労働省「障害者の就労支援について」障害者総合支援法における就労系障害福祉サービスの一覧より、就労支援事業の事業所数

就労支援A型事業所との違いは?

就労継続支援にはA型とB型が存在し、その両者とも「一般企業で働くことが困難な方に対し、働く機会を通じて生活や仕事の訓練・支援をおこなう」という目的を持っています。

それではなぜ分かれているかというと、支援対象の障害の程度によって働き方やサポートが異なるためです。

具体的にいえば、就労継続支援A型では雇用契約を結び、就労継続支援B型では結びません。

雇用契約に基づいて働くことができる方は就労継続支援A型で働くことができますが、障害や難病の程度によって契約上の働き方に対応できない方も多数います。

そこでサービス利用者のニーズにより柔軟に対応できるよう、A型とB型に分けて支援体制を整えたという背景があります。

利用対象者

就労継続支援B型事業所は障害福祉サービスにあたるため、身体障害・知的障害・発達障害も含む精神障害・難病(令和6年4月より369疾病が対象)を持っている方が対象となります。

就労継続支援B型を利用する場合、主治医からの就労継続支援事業所の利用の了解がされた方のうち、以下のいずれかの要件を満たしている必要があります。

  1. 就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
  2. 50歳に達している者又は障害基礎年金1級受給者
  3. ①及び②に該当しない者で、就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面に係る課題等の把握が行われている者
    出典:厚生労働省「障がい者の就労支援について」

上記の要件から、特別支援学校を卒業した方の場合、就労の経験をするか、就労移行支援事業所を利用しなければ、B型の利用はできません。

ただしこちらは原則となり、各自治体によって対応が異なる場合があります。

主治医への相談でB型が向いているという判断を受けた際には、一度お住まいの市区町村の障害福祉課の窓口に確認し、要件が変わるかを聞いてみると良いでしょう。

なお、就労継続支援B型は障害者手帳を持っていなくても利用することが可能です。

しかし、福祉サービスを利用するためには、自治体に「受給者証(障害福祉サービス受給者証)」の申請・発行が必要になります。

その際、障害や病気の証明となる書類を提出する必要がありますが、主治医の診断書や「自立支援医療受給者証」などがあれば利用申請ができます。

そのため、まずは主治医に利用したい旨を相談しましょう。

作業・業務内容

就労継続支援B型事業所での仕事内容は事業所ごとに異なります。

ただし雇用契約を結ぶことが難しい方、つまり比較的重度の障害をお持ちの方が働くケースも多いため、同じ就労継続支援とはいえ、A型と比べると仕事内容も簡易的な作業が多い傾向にあります。

厚生労働省の調査でも、「清掃・施設管理」が38.7%、「農業・園芸」が31.3%、「部品・機械組立」が27.4%となり、単純作業の要素がある生産活動の割合が多いという結果になっています。

厚生労働省「就労系障害福祉サービスにおける経営実態等調査」より、実施している生産活動の内容

一例になりますが、具体的な仕事内容は以下のようなものがあります。

  • 施設の清掃やハウスクリーニング
  • 袋詰めやラベル貼りなどの内職系
  • パンやお菓子などの製造
  • 農作業
  • 工場・倉庫などでの軽作業
  • 簡単なデータ入力

ただし、簡易的な作業ばかりで成長につながらないということもあり得るため、利用を検討する際は事前に見学するなどし、自身に合うかどうかを見極めると良いでしょう。

利用料

就労継続支援B型を利用する場合は利用料が発生し、金額は利用した日数と世帯収入によって決定します。

利用回数が多くなればそれだけ負担が大きくなるよう感じるかもしれませんが、世帯収入の区分に応じて無料または上限額が設定されています。

厚生労働省「障害者の利用者負担」より負担の上限月額
厚生労働省「障害者の利用者負担」より、負担の上限月額

上限が0円と設定されているのは「生活保護」「低所得」の2区分ですが、実際は96.9%の方がここに区分され、無料でサービスを利用しています。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「厚生労働省 平成30年度障害者総合福祉推進事業 食事提供体制加算等に関する実態調査報告書」より、負担上限月額の分布三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「厚生労働省 平成30年度障害者総合福祉推進事業 食事提供体制加算等に関する実態調査報告書」より、負担上限月額の分布

また、一般1に該当する場合でも、月額最大9,300円の負担となるため、平均工賃を受け取れている場合はマイナスの収支となることは少ないでしょう。

ただし一般2に該当する場合は利用料が工賃を上回る可能性もあるため、不安な場合は市区町村の福祉課窓口か、事業所に相談すると良いでしょう。

工賃(給料)

先述した通り、就労継続支援B型では雇用契約を結ばないため、賃金ではなく「工賃」という対価が支払われます。

この工賃は最低賃金を保障しなければならない決まりはないため、ほとんどの事業所では最低賃金以下の報酬が支払われます。

厚生労働省「令和4年度工賃(賃金)の実績について」

A型事業所と比較すると平均工賃は低い状況にありますが、各自治体で工賃を上げるための取り組みはおこなわれており、上昇傾向にあります。

障害福祉事業に取り組みませんか?

GLUGでは障害をお持ちの方がより活躍できる社会を実現するため、障害福祉の開業から経営改善までトータルで支援しています。
無料相談のほか、事業所の見学や取組シミュレーションもおこなっておりますので、少しでもご興味をお持ちの方は弊社までお問い合わせください。

就労継続支援B型事業所を利用するメリット

就労継続支援事業所は障害や難病をお持ちの方が働ける障害福祉サービスですが、なかでもB型を利用することでのメリットは複数存在します。

ここでは大きなメリットを2つご紹介します。

個々人に合わせた働き方が可能

就労継続支援B型事業所では雇用契約を結ばないため、障害や病気の程度に応じた働き方が可能です。

例えば週一回の利用や一日一時間だけなど、限られた時間だけ利用するということもできます。

また、就労継続支援B型で働くスタッフは様々な障害特性の利用者をサポートしているため、障害に対して理解のある支援を受けられます。

働くための準備を整えられる

就労継続支援B型事業所では自由な働き方ができるとともに、一般就労や就労継続支援A型での就労のための準備を進めることができます。

体調などの問題で現在は雇用契約に基づく働き方はできないという場合に、少しずつでも通所することで生活リズムが整ったり、障害・病気との付き合い方が分かるようになるケースもあります。

また、そのような目的をあらかじめ施設側に伝えておけば、通所日数・時間を増やすためのサポートも受けられるでしょう。

就労継続支援B型事業所は障害を持つ方の日中の居場所としての側面を持つ事業所も多く、そこでの生活を送るなかで、集団生活・コミュニケーションの経験を積むこともできます。

就労継続支援B型事業所の選び方

就労継続支援B型事業所は、事業所ごとに作業内容や雰囲気、支援に対しての考え方などが異なります。

利用することが目的になってしまい、実際に利用し始めたら自身の障害や考え方に合わなく、通うことが負担になってしまっては意味がありません。

そのため、事業所の選び方が大事になりますが、その際にチェックするべきポイントを5つ紹介します。

作業内容やルールが合っているか

仕事内容の項目で紹介した通り、事業所ごとに仕事や作業の内容は多岐に渡ります。

やりたい作業や経験を積みたい仕事がある一方、自身の体調面から、無理せずに続けられるかを考えましょう。

また、事業所によっては「最低週2日は来てほしい」などの独自のルールを設けている場合もあるため、障害特性や病気の状況に適しているかは事前に確認しておくと良いでしょう。

事前の確認と合わせ、事業所を検討する際に数回の見学・体験をさせてもらうと、利用開始後のミスマッチを防ぐことができます。

事業所の雰囲気は自分に合っているか

作業内容だけでなく、事業所の雰囲気も重要です。

見るからに悪い雰囲気の事業所を避けるのはもちろんのこと、良い雰囲気の事業所であっても、自身の性格や働き方に合わなければ窮屈さを感じてしまうかもしれません。

そのため、利用者同士の様子や、サポートしてくれるスタッフの様子、環境など、ストレスなく利用し続けられるかを確認しておきましょう。

工賃(給料)の金額は問題ないか

紹介したように、就労継続支援B型は雇用契約を事業所によって工賃に大きく差がある場合があります。

もちろん、B型は工賃の高さだけで利用を検討するサービスではありませんが、あまりにも低い場合は長く続けるモチベーションに影響する場合も考えられます。

また世帯収入によっては、利用料金が工賃を上回ってしまう場合もあります。

自身がB型の利用において何を重要視するかによりますが、工賃も重要視する場合、事前に確認しておくと良いでしょう。

H3事業所までのアクセスは問題ないか
週に何回利用するかによっても変わりますが、事業所までのアクセスも重要です。

時間や体力、交通費などの面で、事業所までの往復が負担に感じてしまえば、利用を続けるのが難しくなってしまいます。

事業所によっては交通費の支給や送迎のサポートをしてくれる場合もあるので、必ず確認しておきましょう。

自身の障害種別をサポートしているか

支援の対象とする障害種別も、事業所ごとに異なります。

様々な障害・病気を対象とする事業所もあれば、特定の障害種別に特化して支援している事業所も存在し、それぞれメリットがあるといえます。

多くの障害種別の支援をしている事業所ではそれだけ多くの作業内容があり様々な経験を積めますし、特定の障害種別に特化しているのであれば手厚いサポートが受けられるでしょう。

サービスの利用を検討する際、どのような目的で就労継続支援B型を利用するのかによって調べることをオススメします。

まとめ

就労継続支援B型事業所では、雇用契約を結んで働くことが難しい方に働く機会と訓練・支援を提供します。

利用することで多くのメリットがありますが、事業所によって考え方や支援内容、訓練の内容も異なるため、自身の障害種別や利用目的、性格などに合う事業所を見つけられるかがポイントになります。

なお、就労継続支援事業所の数は年々増えていますが、障がい者の数はそれ以上に増加しています。

現在は2011年の調査から約1.5倍、人口の9.2%の1,160万人に到達していますが、人口の20%にあたる2,531万人まで増加する見立てとなっています。

事業所は充足しているとはいえず、特に就労継続支援A型事業所は不足している状況です。

GLUGではこの業界課題を解決すべく、就労継続支援A型事業や障害者グループホーム事業の総合コンサルティングサービスを展開しています。

より多くの障がい者が活躍できる社会づくりのため、GLUGでは今後、より一層サービスの領域を拡大していきます。

障害福祉事業を始めるならGLUGで

GLUGでは障害福祉業界で事業を展開する経営者を支えるため、就労継続支援A型事業や障害者グループホームの立ち上げから経営支援まで、トータルでサポートしています。

就労継続支援A型事業についてはこちら

障害福祉に参画する経営者・会社を増やさねばならないなか、国への事業申請や物件探索、人材の採用、利用者の集客、売上をつくれる生産活動の確保など、時間や手間がかかるポイントは様々あります。

GLUGでは就労継続支援A型事業の開業・運営支援トップクラスの実績のもと、それらの全ての領域を支援しています。

GLUGのサポート内容についてはこちら

業界をより活発にすべく、障害福祉に参画する経営者を支援してまいります。

障害福祉事業に取り組みませんか?

GLUGでは障害をお持ちの方がより活躍できる社会を実現するため、障害福祉の開業から経営改善までトータルで支援しています。
無料相談のほか、事業所の見学や取組シミュレーションもおこなっておりますので、少しでもご興味をお持ちの方は弊社までお問い合わせください。