就労継続支援B型から一般企業に就職できる?難しさについて解説

2024年5月21日

就労継続支援B型から一般企業に就職できる?難しさについて解説

就労継続支援B型は障がいや難病によって一般企業での就労や雇用契約に基づく労働が困難な方を対象としているため、「B型で働いていては一般企業に就職できないのでは?」と心配な方もいるかもしれません。

この記事ではB型の概要や一般企業に就職できるかどうか、一般企業に就職するためのポイントなどをご紹介していきます。

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就労継続支援B型とは?

就労継続支援B型は、障がいや難病が理由で一般企業での就労が難しい方を対象とする福祉サービスです。

対象のサービス利用者に働く場所を提供しつつ、自立した生活に向けた支援・訓練をおこなっています。

障害者総合支援法(正式名称:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)で国によって定められた福祉サービスの一つであり、「障がいの有無に関わらず、お互いを尊重しながら、共生する社会の実現」を目的としています。

ここでは就労継続支援B型の対象者・作業内容・平均工賃をご紹介します。

就労継続支援B型の概要を詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

就労継続支援B型とは?仕事内容・工賃(給料)・B型事業所について解説

就労継続支援B型の対象者

就労継続支援B型の対象者は、身体障害・知的障害・発達障害を含む精神障害・難病(令和6年4月より369疾病が対象)を持っている方です。

またサービスの利用にあたっては、主治医から了解を得たうえで以下いずれかの条件を満たさなければなりません。

  1. 就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
  2. 50歳に達している者又は障害基礎年金1級受給者
  3. ①及び②に該当しない者で、就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面に係る課題等の把握が行われている者
    出典:厚生労働省「障害者の就労支援について」

上記のように、障害の有無にかかわらず、高齢や体力が理由で一般企業での就労が難しくなった方もB型事業所を利用することができます。

また特別支援学校を卒業した方の場合は、就労を経験するか、就労移行支援事業所を利用しなければB型を利用することはできません。

就労継続支援B型の作業内容

就労継続支援B型は、雇用契約を結ぶ労働が困難な方を対象としているため、比較的簡易的な業務が多い傾向にあります。

提供している作業内容は就労継続支援B型事業所によって異なるものの、一例としては以下のようなものをあげられます。

  • 施設の清掃やハウスクリーニング
  • 袋詰めやラベル貼りなどの内職系
  • パンやお菓子などの製造
  • ミシン作業・手工業
  • 農作業
  • 工場・倉庫などでの軽作業
  • パソコンを使った簡単なデータ入力

繰り返しになりますが、提供されている作業内容はB型事業所によって異なるため、やりたい作業内容が決まっている場合は事前に問い合わせると良いでしょう。

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就労継続支援B型の平均工賃

前述したように就労継続支援B型はサービス利用者と雇用契約を結ばないため、対価として給与代わりの「工賃」を支払います。

工賃には最低賃金を保証する義務がないため、ほとんどのB型事業所で最低賃金以下の工賃が支払われています。

厚生労働省の「障害者の就労支援対策の状況」によれば、令和4年度における就労継続B型の全国平均工賃は、以下の通りです。

月額:17,031円
時給(時間額):243円

ただし就労継続支援B型はサービス利用者が体調や精神面を優先しながら、無理のないペースで働けるという仕組みであるため、相対的に平均工賃が低くなっていると考えられます。

また各自治体がB型事業所の平均工賃を上げるための取り組みをおこなっており、平均工賃は上昇傾向にあります。

一般就労と就労継続支援B型の違い

一般就労は一般企業と雇用契約を結ぶ働き方を指し、勤務先に定められた就業規則に則って勤務する必要があるため、勤務時間などが決まっています。

就労継続支援B型の場合は雇用契約を結ばないことが特徴で、サービス利用者の自由度が高く、体調や精神面を優先したい場合は休むことができるため、無理のないペースで働けます。

また一般就労は一定のスキル・経験があることが前提になりますが、就労継続支援B型はサービス利用者の居場所という側面も持つため、そうしたスキル・経験は求められません。

就労継続支援B型から一般企業に就職できる?

就労継続支援B型の対象者には「一般企業で雇用契約に基づく労働が困難な方」なので、一般企業への就職はできないと考えている方もいるのではないでしょうか。

結論からいうと、就労継続支援B型から一般企業に就職することは決して不可能ではありません。

就労継続支援事業所のサービス利用者が一般企業に就職した場合に得られる「就労移行支援体制加算」という制度があるほか、実際に一般企業に就職した事例もあります。

ただし一般企業への就職に向けて無理をすると、体調・精神面に負担をかけてしまうおそれがあるため、状況を見ながら焦らずに取り組んでいくことが大切です。

就労継続支援B型から一般就労する難しさ

前述したように就労継続支援B型から一般就労することは不可能ではありませんが、一般就労が難しい状況に陥っているケースもあります。

ここでは一般就労が難しくなってしまう主な2つのパターンをご紹介します。

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就労継続支援B型の環境に慣れすぎてしまう

就労継続支援B型では雇用契約を締結しないため、サービス利用者の自由度が高く、雇用契約に基づく労働を約束する一般企業のような厳しさはありません。

就労継続支援B型では作業をしなくても咎められることはありませんが、雇用契約を結ぶ一般企業では仕事をしなければ注意されてしまいます。

また無理のないペースで働ける就労継続支援B型の環境に慣れ過ぎてしまうと、一般企業で働くうえで必要な生活リズムが整えられません。

スキルアップが難しい

就労継続支援B型は一般企業で雇用契約に基づく労働が困難な方を対象としているため、事業所によって異なるものの、比較的簡易的な作業を提供している傾向にあります。

しかし、そうした簡易的な作業をおこなっているだけでは一般企業につながるようなスキルを身に付けられないおそれがあります。

今通っている就労継続支援B型の作業に慣れてきたら、他の事業所や就労継続支援A型事業所への転籍・新しいスキルを身に付けるなど成長を目指すと良いでしょう。

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就労継続支援A型や就労移行支援をまず目指してみる

就労継続支援B型から一般就労することは不可能ではありませんが、意識して行動を変えないと一般就労が難しい状況に陥りやすいです。

一般就労までのステップを考えると、就労継続支援B型から就労継続支援A型に、場合によってはそこから就労移行支援に移っていくのが良いでしょう

ここでは就労継続支援B型から一般就労を目指すうえで大切なポイントをご紹介していきます。

就労継続支援A型・B型、就労移行支援の違い

就労支援には今回ご説明しているB型だけではなく、サービス利用者の状況・目的に応じて就労継続支援A型と就労移行支援も用意されています。

主な特徴は、以下の通りです。

【就労継続支援A型】

障がいや病気が理由で一般企業ではまだ働くことが困難な方に働く場所を提供し、自立した生活に向けたトレーニング・支援を提供する福祉サービスのことです。

サービス利用者と雇用契約を結ぶため、最低賃金以上の給与が支払われます。

【就労移行支援】

サービス利用者に一般就労に向けた支援・訓練を提供する福祉サービスのことです。

職業訓練や就職活動のサポートなどを幅広く受けられますが、あくまでも一般就労を目的としているため、働く場の提供はおこなっておらず、原則給与・工賃は発生しません。

A型事業所が雇用契約に基づく労働ができる方が対象となり、就労移行支援は一般就労を目指している方が対象となります。

就労継続支援B型から一般就労することは不可能ではないものの、B型からA型、もしくは就労移行支援から一般就労という流れでステップアップする方が多い傾向にあります。

さらに詳しく就労継続支援A型と就労移行支援を知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

就労継続支援とは?A型・B型の違いや利用方法を解説

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就労継続支援A型に移るには

就労継続支援A型はB型と同様に事業所によって提供されている仕事は異なるものの、B型よりも求められるスキル・能力が高い傾向にあります。

また体調・精神面の相談には応じてくれるものの雇用契約を結ぶため、B型よりもサービス利用者の働き方の自由度は低く、シフト制で働く曜日・時間が固定されています。

以下に該当する方は、B型からA型へのステップアップを主治医や支援員に相談するといいでしょう。

  • 決められた曜日・時間で働ける
  • 雇用契約に基づくルールを守れる
  • 規則正しい生活を送れている
  • 体調・精神面が安定している
  • 一般就労に向けてさらにスキルを磨きたい

A型に移ることを検討している方は、B型を利用している段階で上記の点を意識しながら成長をしていくことでA型に転籍できる可能性が高まります。

就労移行支援に移るには

「一般就労できる自信がある」という方はA型ではなく、一般就労のサポートを受けられる就労移行支援を選ぶと良いでしょう。

就労移行支援では給与・工賃は原則発生しませんが、ビジネスマナーやスキルの研修、求人情報の紹介、就労後の支援など充実したサポートが用意されています。

以下に該当する方は、B型から就労移行支援へのステップアップを検討すると良いでしょう。

  • 一般就労先でも通用するスキルを磨きたい
  • 雇用契約に基づくルールを守れる
  • 一般就労先の上長などの指示に従える
  • 規則正しい生活を送れている
  • 体調・精神面が安定している

将来的に就労移行支援への転籍を検討している方は、上記の点を意識したうえでB型事業所のスタッフに相談すると移行に向けたサポートを受けやすくなります。

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まとめ

今回は就労継続支援B型の概要や一般就労の難易度、一般就労するためのコツをご紹介しましたが、B型から一般就労することは不可能ではありません。

B型から直接一般就労する方もいますが、B型からA型、もしくは就労移行支援から一般就労という流れの方が効率的なうえ、一般就労先で活かせるスキル・経験も身に付きやすいでしょう。

B型の環境に慣れ過ぎてしまうと一般就労から遠ざかってしまうリスクがあるため、B型を利用している段階でA型もしくは就労移行支援への移行を意識することが望ましいです。

B型から一般就労することは不可能ではないため、一般就労を検討している方は無理のないペースで着実にステップアップしていくと良いでしょう。

なお、GLUGでは就労継続支援A型事業の開業・運営をトータルでサポートするサービスを提供しています。

就労継続支援A型事業について詳しく知りたい方はこちらのページもご確認ください。

担当者T.Aのイラスト

記事の監修者

T.A

社会福祉士、社会教育主事、サービス管理責任者

福祉系大学卒業後、社会福祉法人にて就労継続支援A型事業の立ち上げにジョイン。業務指導と併せて商品開発や営業に従事。また同法人にて放課後等デイサービス事業や相談支援事業、就労継続支援B型事業などの立ち上げをおこなう。
その後、特例子会社にてBPO業務管理や障がいのあるメンバーのマネジメントや採用に携わり、現在は福祉コンサルティング会社にて福祉事業のSVとしてクライアントの運営サポートをおこなっている。