ビジネスやマーケティングで「ロイヤリティ」「ロイヤルティ」という言葉が使われる場合がありますが、明確に両者の違いを区別できていない方も中にはいるのではないでしょうか。
今回はロイヤリティとロイヤルティの違い、フランチャイズにおけるロイヤリティの意味、従業員ロイヤリティを高める方法などを徹底解説していきます。
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ロイヤリティとは
ロイヤリティ(Loyalty)とは、特定の企業などの組織・ブランド・商品に対する忠誠心や愛着のことであり、エンゲージメントや愛社精神などに近い言葉です。
後述しますが、一般的なビジネスのロイヤリティを大きく分けると、顧客ロイヤリティ・従業員ロイヤリティ・マーケティングロイヤリティの3種類があり、それぞれ意味合いが異なります。
ややこしいですが、フランチャイズにおけるロイヤリティは、本部のサポートやネームバリューを活用する対価として支払う毎月のランニングコストのことであり、後述するロイヤルティに分類される概念です。
フランチャイズにおけるロイヤリティを詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
フランチャイズ経営とは?メリット・デメリットや人気の業種、始め方を解説
ロイヤリティとロイヤルティの違いとは
ロイヤリティ(Loyalty)とロイヤルティ(Royalty)は一文字違いであるため、混同されやすい傾向にあるものの、意味合いは全く異なります。
ロイヤルティ(Royalty)は、権利所有者に権利を使用する際に支払う対価のことであり、特許権・商標権・著作権(印税)などのコストが分類されます。
その一方でロイヤリティ(Loyalty)は、前述したように特定の組織・ブランド・商品に対する忠誠心や愛着を意味します。
ロイヤリティを大きく分けると、主に以下の3種類があります。
- 顧客ロイヤリティ
- 従業員ロイヤリティ
- マーケティングロイヤリティ
それぞれ詳しく解説していきます。
顧客ロイヤリティ
顧客ロイヤリティは、顧客の特定の企業・ブランド・商品に対する忠誠心や愛着のことであり、顧客ロイヤリティが高い顧客は特定の企業・ブランド・商品の熱狂的なファンだといえます。
「スマホは〇〇〇しか買わない」など顧客ロイヤリティが高ければ優先的に同一企業・同一ブランドの商品をリピート購入したり、良い口コミを拡散したりする傾向にあり、企業は安定した利益を確保しやすくなります。
似た言葉に顧客満足度がありますが、意味合いは全く異なり、顧客満足度が高い=1回の購入・利用で満足している場合もあり、必ずしも顧客満足度と顧客ロイヤリティは比例しません。
マーケティングでは以前は顧客満足度が重視されていましたが、リピート購入するファンを増やすために近年は顧客ロイヤリティが注目を集めています。
従業員ロイヤリティ
従業員ロイヤリティは、従業員の所属企業に対する忠誠心や愛社精神のことであり、従業員ロイヤリティが高ければ生産性が向上しやすく、定着率も高まりやすいほか、風通しの良さから優秀な人材も集まりやすくなる傾向にあります。
終身雇用や年功序列が残る企業では以前から従業員ロイヤリティが重視されていますが、現代では主に以下のような施策で従業員ロイヤリティを高めています。
- 従業員の給与などの待遇を良くする
- 人事評価で結果だけでなくプロセスも重視する
- 日頃のコミュニケーションを増やす
- 企業の方針や果たすべきミッションを浸透させるなど
マーケティングロイヤリティ
マーケティングロイヤリティとは、前述した顧客ロイヤリティを高めるためのマーケティングのことであり、自社・自社ブランド・自社商品のファンになってもらうことで利益の最大化を目指します。
代表的なマーケティングロイヤリティの施策は、会員制プログラムやポイントプログラムであり、定期的な利用・購入を自然に促すことで顧客のファン化を図れます。
またプログラムに応じたプロモーションを発信することで、まだ会員になっていない顧客やポイントプログラムに加入していない顧客も取り組むことができます。
従業員ロイヤリティを向上させるメリット
従業員ロイヤリティを向上させる主なメリットは、以下の通りです。
- 離職率の低下
- 人材確保がしやすくなる
- 長期的な人材育成ができるようになる
- 顧客満足度を高めることができる
- リファラル採用に活かすことができる
それぞれ詳しく解説していきます。
離職率の低下
従業員ロイヤリティを高めることができれば、働きがいを感じやすくなり、ポジティブな気持ちで仕事に取り組めるため、離職率を低下させられます。
離職率が高ければ採用コストがかさんでしまうため、従業員ロイヤリティを高めることで余計な採用コストを防ぐこともできます。
人材確保がしやすくなる
従業員ロイヤリティが高い会社は社内の風通しも良く、従業員からの評価も高くなる傾向にあり、口コミによって評判が広まれば採用活動を有利に進められます。
また従業員ロイヤリティを高めることができれば、企業としての評判の良さから優秀な人材の応募も集まりやすくなります。
長期的な人材育成ができるようになる
従業員ロイヤリティを高めることで従業員も定着しやすくなりますが、それによって企業も長期的な人材育成をしやすくなるというメリットもあります。
また人材育成の投資コストが無駄になりづらいほか、長期的な人材育成がさらに従業員のモチベーションを高めることができます。
顧客満足度を高めることができる
従業員ロイヤリティを高めることができれば、従業員が意欲的に仕事に取り組めるようになるため、提供するサービス・商品の質が向上し、顧客満足度も高まります。
また顧客満足度を上げつつ、顧客ロイヤリティを最大化するためのマーケティング戦略も効率的におこなえるようになるため、安定した利益を得るための良い循環が生まれます。
リファラル採用に活かすことができる
リファラル採用(社員紹介採用)は従業員が自社に友人・知人・元同僚などを紹介する採用方法のことであり、求人広告や仲介業者の手数料がかからないため、近年は多くの企業で取り入れられています。
従業員ロイヤリティを高めることで、自社の従業員が積極的にリファラル採用をおこなえる環境を構築できるため、採用コストを削減できます。
従業員ロイヤリティを向上させる方法
従業員ロイヤリティを高めることで企業と従業員の双方に大きな恩恵を受けられますが、どのように向上させていけば良いのでしょうか。
従業員ロイヤリティを向上させる主な方法は、以下の通りです。
- 企業のビジョンやミッションを従業員に共有する
- 経営レイヤーとのコミュニケーション頻度を増やす
- 社員同士が交流する機会を増やす
- 人事評価において成果のみではなくプロセスも評価する
それぞれ詳しく紹介していきます。
企業のビジョンやミッションを従業員に共有する
企業のビジョン・ミッションを社内で浸透させていくことによって、同じ価値観・同じ方向で仕事をしやすくなるため、おのずと従業員ロイヤリティを高めることができます。
コーポレートサイトや社内に文章を掲げているだけなど形骸化した状態では現場の従業員に伝わらない可能性が高いため、意図的に共有する機会を作りましょう。
経営レイヤーとのコミュニケーション頻度を増やす
経営レイヤーとのコミュニケーション頻度を増やしつつ、経営者の思いや方向性を積極的に伝えていくことで従業員の愛社精神や当事者意識が高まりやすくなります。
組織の規模が大きいほどコミュニケーション不足が原因で、他人事に感じてしまう従業員も増える傾向にあるため、経営レイヤーやマネジメント層が積極的に伝えるようにすると良いでしょう。
社員同士が交流する機会を増やす
従業員ロイヤリティを高めるためには、どのような同僚と働いているのかを知ることも重要であるため、社内イベントなど部署間を超えた交流する機会を増やすと良いでしょう。
社員同士が交流する機会が増えれば、自然とお互いをサポートしやすい関係性を構築できる傾向にあり、組織力向上も図ることができます。
人事評価において成果のみではなくプロセスも評価する
結果のみですべての人事評価を決める企業も多いですが、結果に至るまでのプロセスも評価項目に取り入れることで従業員ロイヤリティが高まります。
結果のみの人事評価の場合、どのような背景で結果に至ったのかを判断できませんが、プロセスも同じように重視する人事評価であれば改善点や結果につながっていなくても評価した方が良い行動が浮き彫りになります。
またプロセスも評価項目に入っていれば従業員も日頃から意欲的に仕事に取り組みやすくなるため、おのずと良い結果を出しやすくなります。
ロイヤリティについてよくある質問
ロイヤリティとはどういう意味?
ロイヤリティ(Loyalty)とは、特定の企業などの組織・ブランド・商品に対する忠誠心や愛着のことであり、エンゲージメントや愛社精神などに近い言葉です。
似た言葉のロイヤルティ(Royalty)は、権利所有者に権利を使用する対価として支払うコストのことであり、特許権・商標権・著作権(印税)などのコストが分類されます。
ロイヤリティが高いとはどういう意味?
ロイヤリティが高い=忠誠心が高い、愛着の度合いが大きいであり、顧客ロイヤリティ・従業員ロイヤリティ別では以下のように使い分けられています。
- 顧客ロイヤリティの場合:特定の企業・ブランド・商品に強い愛着がある
- 従業員ロイヤリティの場合:愛社精神が強い、自社のブランドや商品に愛着がある
ロイヤリティー収入とは何?
知的財産権所有者が第三者に使用する権利を貸す対価として受け取る収入のことであり、特許権・商標権・著作権(印税)などのコストが分類されます。
フランチャイズにおけるロイヤリティもこのロイヤリティー収入に分類され、本部のノウハウやネームバリューなどを貸し出す対価として加盟店から収入を得ます。
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無料相談のほか、支援実績や収支シミュレーションもおこなっておりますので、少しでもご興味をお持ちの方は弊社までお問い合わせください。
まとめ
ロイヤリティ(Loyalty)とロイヤルティ(Royalty)は一文字違いであるため、混同されやすい傾向にあるものの、意味合いは全く異なります。
従業員ロイヤリティ・顧客ロイヤリティは、近年は重要な概念であり、従業員ロイヤリティを高めることで自然と顧客ロイヤリティを向上させていけます。
もちろんいきなり大きく従業員ロイヤリティや顧客ロイヤリティを高めることは難しいため、日頃から地味に体制を整えていく必要があります。
安定した経営をおこなうためにも従業員ロイヤリティや顧客ロイヤリティを高める取り組みを始めると良いでしょう。