医療的なケアを必要とする方が増える中、国は福祉事業所に医療機関や訪問看護ステーションとの連携を求めています。
この一環として連携している福祉事業所を医療連携体制加算で評価していますが、これから連携を進めようとしている方の中には医療連携体制加算をどのように考えれば良いのか分からない方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は医療連携体制加算の基礎知識や加算の区分、A型事業所が自社で訪問看護ステーションを始める場合のメリット、同一法人で医療連携体制加算の獲得を目指す場合の注意点などを網羅的に紹介していきます。
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医療連携体制加算の位置づけ

ここでは医療連携体制加算の基礎知識を解説していきます。
医療連携体制加算の目的と背景
近年は、てんかん・糖尿病・精神疾患・呼吸器疾患など、日々の体調変動や急変リスクを抱える福祉事業所の利用者が増加し、従来の支援だけでは安全を確保しきれないケースが目立っています。
こうした福祉事業所単独での対応が難しい状況を受け、国によって医療連携体制加算が創設されました。
医療連携体制加算は医療職がいない福祉事業所でも、医療機関等と連携することで利用者に必要な医療的なケアを提供できるようにすることを目的としています。
利用者・家族・相談支援専門員からの信頼性向上にも直結する重要な加算だといえます。
どのサービスで使われる加算なのか
医療連携体制加算は、医療的ケアが必要な利用者への支援を強化することを目的として、主に障害福祉サービスおよび児童通所支援で算定できる加算です。
一方で訪問看護(医療保険・介護保険)は対象外であり、訪問看護ステーション自体がこの加算を算定することはできません。
厚生労働省の「横断的事項について(医療連携体制加算、地域区分)」で説明されているように主な対象サービスは以下のとおりです。
- 生活介護
- 自立訓練(機能訓練・生活訓練)
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型・B型
- 共同生活援助(グループホーム)
- 短期入所
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
- 居宅訪問型児童発達支援
- 保育所等訪問支援
医療連携体制を整えることで、医療的ケアが必要な子ども・成人を受け入れやすくなるほか、事業所の支援の質向上にも寄与します。
訪問看護は“加算を算定する側”ではなく“連携先”
加算要件に示されている「医療機関等」「看護職員」「看護の提供」の3項目には、いずれも訪問看護ステーションも含まれています。
訪問看護ステーションは医療連携体制加算を算定することができないものの、福祉事業所は訪問看護ステーションと連携することで加算要件を満たす体制を構築できます。
- 医療機関等:訪問看護ステーションは「医療機関等」に該当
- 看護職員の確保:訪問看護ステーションの看護師で対応可能
- 看護の提供:訪問看護ステーションの看護師で対応可能
つまり訪問看護ステーションは、医療連携体制加算の獲得を成立させるための“医療パートナー”という位置づけになります。
医療連携体制加算の区分と単位構造

医療連携体制加算には支援内容に応じて複数の加算が用意されています。ここでは主な加算の種類と該当する福祉サービスの一覧を紹介していきます。
医療連携体制加算の区分
看護職員の関与の仕方や支援の負荷が福祉サービスごとに大きく異なるため、医療連携体制加算ではⅠからⅦの複数の区分が設けられています。
それぞれの区分は以下の通りです。
| 加算の種類 | 単位数 | 要件 |
| Ⅰ | 短期入所・重度障害者等包括支援:600単位/日その他:500単位/日 | 看護職員が事業所を訪問して利用者(1人)に対して看護を行った場合(4時間以下) |
| Ⅱ | 短期入所・重度障害者等包括支援:300単位/日その他:250単位/日 | 看護職員が事業所を訪問して利用者(2~8人)に対して看護を行った場合(4時間以下) |
| Ⅲ | 500単位/日(看護職員1人あたり) | 看護職員が介護職員等に喀痰吸引等に係る指導のみを行った場合 |
| Ⅳ | 100単位/日 | 研修を受けた介護職員等が喀痰吸引等を実施した場合 |
| Ⅴ | 39単位/日 | 日常的な健康管理や医療ニーズへの適切な対応がとれる体制等を整備している場合 |
| Ⅵ 以下はⅤの単位で加算 ・重度障害者等包括支援 ・児童発達支援(重心以外) ・放課後等デイサービス(重心以外) | 1,000単位/日 | 看護職員が事業所を訪問して利用者(1人)に対して看護を行った場合(4時間超) |
| Ⅶ 以下はⅥの単位で加算 ・重度障害者等包括支援 ・児童発達支援(重心以外) ・放課後等デイサービス(重心以外) | 500単位/日 | 看護職員が事業所を訪問して利用者(2~8人)に対して看護を行った場合(4時間超) |
出典:厚生労働省の「横断的事項について(医療連携体制加算、地域区分)」
加算の対象となるサービスの区分はそれぞれ以下のとおりです。
【短期入所(福祉型)】
ⅠからⅦのすべてが対象です。Ⅰは600単位/日、Ⅱは300単位/日になります。
【重度障害者等包括支援】
Vを除く加算が対象です。Ⅰは600単位/日、Ⅱは300単位/日になります。
【自立訓練(生活訓練)・就労移行支援・就労継続A型・就労継続B型】
ⅠからⅣまでの加算が対象です。
【共同生活援助】
ⅠからVまでの加算が対象です。
【児童発達支援(重心以外)・放課後等デイサービス(重心以外)】
Vを除く加算が対象です。
Ⅵ・Ⅶは「4時間を超える長時間の看護提供」が必要なケースに対応した区分であり、高負荷の医療的なケアを想定して単位数が大きく設定されています。
このため、以下のように医療依存度の高い利用者が一定数想定されるサービスのみ対象となっています。
- 短期入所(福祉型):入所中の医療的なケアの量が日によって大きく変動しやすい
- 重度障害者等包括支援:重度の医療ニーズを持つ利用者中心で支援の負担が大きい
一方で自立訓練・就労継続支援・共同生活援助などは、長時間の医療的なケアの提供が想定されにくいため、Ⅵ・Ⅶは対象外となっています。
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2024年度の報酬改定で変わった評価ポイント
2024年度改定では、看護職員が事業所で長時間の医療的なケアを提供するケースが増えている実態を踏まえ、4時間超の医療的なケアを評価するⅥ・Ⅶが新設されました。
2021年から2023年の報酬検証では、短時間の支援と長時間の支援では負担が大きく変わってくることが指摘されており、この差を適切に反映する必要が生じました。
そのため、従来のⅠ・Ⅱも整理され、看護職員の長時間労働と医療的なケアの負担をより正確に評価する加算へ見直されています。
医療連携体制加算の算定要件

医療連携体制加算を算定するためには、いくつかの条件を満たさなければなりません。ここでは医療連携体制加算の主な算定要件と算定するために必要な事業所の準備を説明していきます。
共通要件
医療連携体制加算の算定は、主に以下が共通要件となります。
- 主治医の指示に基づく看護の実施
- 医療機関等(訪問看護を含む)との委託契約
- 正看護師による看護提供
- 看護の実施時間を明確に記録する
加算要件の看護が何を指しているのか分からない方もいるかもしれません。たとえば訪問看護でバイタルチェックのみをおこなう場合でも、医師の指示に基づく対応であれば加算の対象となります。
ただし、医療的なケアを全くおこなわない日に関してはⅠ・Ⅱ・Ⅵ・Ⅶなど「看護提供型」の加算は算定不可で、体制整備を評価するⅤのみ算定対象となります。
届出・運営規定・同意書など“事前準備”で必要なこと
医療連携体制加算を算定するには、まず事業所側で医療連携の体制を整えておく必要があります。
具体的には、訪問看護ステーションを含む医療機関等との契約を締結し、運営規定・重要事項説明書・同意書・個別支援計画などに連携方法や緊急時対応を明記して、利用者・家族へ説明と同意をおこないます。
これらの準備が完了後に、行政へ加算の届出をおこない、届出受理後の支援から算定が可能になります。
記載漏れや利用者の未同意の場合は算定が認められないため、開始前の整備が重要です。
医療機関・訪問看護ステーションと連携するための主なポイント

ここでは医療機関や訪問看護ステーションと上手く連携するための主なポイントを説明していきます。
医療機関・訪問看護ステーションとの契約・役割分担
医療連携体制加算の連携先は「看護師が事業所へ訪問できる病院・診療所」または「訪問看護ステーション」が実質的な選択肢となります。
病院・診療所は本来「医師による診療」を中心とする医療機関であり、訪問看護を実施できるかどうかは各医療機関の体制により大きく異なります。
看護師の派遣をおこなわない医療機関と契約しても、医師が診察や治療方針を決める対応だけでは加算要件である“看護の提供”を満たすことができません。
一方、訪問看護ステーションは訪問看護を専門に実施する事業所であり、看護師が事業所へ定期的に出向き、体調観察・医療的ケア・記録・緊急時対応などを安定的に提供できる体制が整っています。
訪問看護ステーションであれば医療連携体制加算のⅠ・Ⅱ・Ⅵ・Ⅶといった「看護提供型」の区分を確実に満たせるため、連携先として最も現実的です。
連携先を探す場合は、訪問看護ステーション、もしくは訪問看護もおこなっている病院・診療所に絞ると良いでしょう。
医療的ケアと“非医療的ケア”の線引き
医療連携体制加算では、主治医の指示に基づく“看護行為”が算定の前提となり、看護判断や医療的なケアを伴わない対応はⅠ・Ⅱ・Ⅵ・Ⅶなど「看護提供型」の加算では算定できません。
加算の対象外となる主な例は以下の通りです。
- 見守りや話し相手のみの対応
- 室温・照明の調整など看護行為を伴わない対応
- 体調の評価などをおこなわない声掛けだけの安否確認
- 服薬管理とは呼べない飲んだかどうかの確認だけの対応など
加算の対象になるのは、医師の指示書に基づく体調観察、バイタル測定、創傷管理、吸引、血糖・酸素管理など “看護としておこなわれる医療的なケア” です。
軽微なケアの場合でも、医師の指示が明確かどうかが判断基準になります。
一方で前述したように医療的なケアの提供ができる体制が整っている場合、非医療的ケアをおこなう日があっても体制整備を評価するⅤは算定できます。
情報提供・記録・報告フローの整え方
医療連携体制加算を確実に算定するには、医師・訪問看護・事業所の間で「どの情報を、誰が、いつ、どの方法で共有するか」を事前に整理しておく必要があります。
医師は訪問指示書を発行し、訪問看護は看護実施記録や観察内容を記録。事業所は利用者の状態や注意点をFAX・共有シート・電子ツールなどでタイムリーに提供します。
こうした連携の“証拠”として残すべき書類もあらかじめ整理しておくと、加算算定時の確認がスムーズです。主な根拠として必要になる主な書類は次のとおりです。
- 看護実施記録(バイタル・処置内容・実施時間)
- 医療機関・訪問看護との連携記録
- 支援会議の記録
- 緊急時の報告書・対応記録など
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障害福祉サービス側から見た訪問看護と連携する魅力

障害福祉サービス事業所が訪問看護ステーションと連携することで医療連携体制加算以外にもさまざまなメリットを期待できます。
ここでは障害福祉サービス事業所が訪問看護ステーションと連携する主なメリットを紹介していきます。
訪問看護と連携しやすいサービス
訪問看護は、多くの福祉サービスで連携可能ですが、特に相性が良いのは日中の活動量が大きく、体調変動を把握しやすい就労支援系福祉サービスと生活全体を支える共同生活援助(グループホーム)です。
発作や急変時の判断が必要なてんかん・精神疾患・難病(筋ジストロフィー、ALSなど) は訪問看護が得意とする領域でこれらの疾患をもつ利用者が多いサービスでは連携する効果が大きくなります。
また児童発達支援・放デイでも、てんかん・呼吸器トラブル・摂食嚥下の課題を抱える子どもへの支援で訪問看護が有効に機能します。
体調管理の安定がもたらすメリット
特に就労支援系福祉サービスや児童発達支援・放課後等デイサービスが訪問看護が連携する場合、利用者の体調の悪い兆候を早期発見できることで、急な欠席を防ぎやすくなります。
特に精神疾患やてんかん、難病など体調が不安定になりやすい利用者には大きな効果があり、生活リズムも安定しやすくなります。
結果として通所率が改善され、医療連携体制加算の取得だけでなく、毎月のサービス費の安定化にもつながる点が福祉事業所にとって大きなメリットだといえます。
A型事業所と訪問看護を自社で運営している場合のシナジー

就労継続支援A型事業所が自社で訪問看護ステーションを運営する場合、複数の相乗効果を期待できますが、いくつかの注意点があります。
就労継続支援A型事業所が自社で訪問看護ステーションを運営する場合のメリットと運営上の気を付けるべきポイントを解説していきます。
A型が医療連携体制加算を取りやすくなる理由
同一法人で就労継続支援A型事業所と訪問看護ステーションを運営していても、医療連携体制加算の算定に特に支障はありません。
制度上、連携先が同一法人かどうかは制限されておらず、加算要件を満たしていれば算定可能です。
就労継続支援A型事業所と訪問看護ステーションを同一法人が運営している場合、むしろ外部と連携するよりも医療連携体制加算に必要な体制を整えやすいという大きなメリットがあります。
訪問看護ステーション側が主治医との連絡窓口を担いますが、同一法人であれば訪問看護指示書の取得や医療情報の共有が外部連携より迅速におこなえるため、体調変動への初動が遅れにくくなります。
また情報共有の方法を法人内で統一できるため、看護側の記録とA型事業所側の記録が齟齬なく蓄積されます。
この一貫した記録管理によって、医療連携体制加算の算定で求められる連携実績を漏れなく積み上げられる点も大きなメリットです。
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訪問看護側のメリット
就労継続支援A型事業所A型と訪問看護ステーションを同一法人が運営すると、訪問看護ステーションへの依頼・紹介を自然に増やせるため、訪問件数と利用者数が安定しやすくなります。
特に精神疾患、てんかん、難病を持つ方など訪問看護が得意とする領域の利用者はA型に多く、特別管理加算や緊急時訪問看護加算など、訪問看護ステーション側の加算獲得にもつながります。
またA型事業所で日中の利用者の状態を把握できるため、訪問看護ステーション側でより質の高い支援を提供しやすくなります。
運営上の注意点
A型と訪問看護を同一法人で運営する場合、双方の運営体制を正しく切り分けておくことが不可欠です。
まず人員要件として就労継続支援A型事業所と訪問看護ステーションそれぞれに管理者・看護師を基準どおりに配置する必要があります。
また加算のⅠ・Ⅱ・Ⅵ・Ⅶ(看護提供型)の場合、同じ利用者・同じ時間帯・同じ内容の看護をA型事業所側と訪問看護側の両方で二重に請求することはできません。
例えばA型事業所で10時から10時20分にバイタル・服薬管理を提供し医療連携体制加算に算定、さらに同じ内容を訪問看護ステーション側でも加算として請求することは二重請求にあたります。
二重請求を回避するためにはA型事業所、もしくは訪問看護ステーションのいずれかのみで加算を算定する必要があります。
もちろん利用者・時間帯・内容のいずれかが異なれば二重請求には該当せず、A型事業所と訪問看護ステーションのそれぞれで請求できるため、日頃の記録・管理が重要となります。
さらに算定場所に関するルールにも注意が必要です。加算の「看護提供型」のⅠ・Ⅱ・Ⅵ・ⅦはA型事業所などの施設内で看護をおこなった場合のみ算定でき、施設には含まれない利用者宅で実施した訪問看護は医療連携体制加算では算定不可となります。
医療連携体制加算で利用者宅の看護を算定できるのは、日常的な健康管理体制を整えていることを評価するⅤのみという点を明確に区別して運用する必要があります。
つまり利用者宅のみで訪問看護をおこなった場合に算定できるのは、A型事業所ではV、訪問看護ステーションでは訪問看護側の加算という形になります。
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まとめ
医療連携体制加算は、福祉事業所が医療機関や訪問看護ステーションと適切に連携できる体制を整えているかを評価する加算です。
A型・B型事業所、共同生活援助、児童発達支援など幅広いサービスが対象となり、看護の提供を評価する区分と体制整備そのものを評価する区分に分かれています。
特にA型事業所では、訪問看護ステーションとの連携があることで利用者の体調変動への対応が早まり、通所率の改善やサービス費の安定化にもつながります。
A型事業所を含む福祉事業所が自社グループ内で訪問看護ステーションを運営する場合、複数の加算獲得などのさらなる相乗効果を期待できますが、二重請求など制度上のルールや算定漏れ、誤請求には十分に注意する必要があります。
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