サービス管理責任者(サビ管)とは?業務内容や必要な資格、経験を解説

2024年10月22日

サービス管理責任者(サビ管)とは?業務内容や必要な資格、経験を解説

サービス管理責任者は障害者総合福祉法によって障がい福祉事業所・施設毎に配置が義務付けられており、より良い支援を提供するうえで重要な役割を担っています。

障がい福祉事業所・施設の中心的な存在でもあるサービス管理責任者ですが、どういった役割や業務があるのか分からない方もいるのではないでしょうか。

そこで今回はサービス管理責任者の基礎知識や主な役割・仕事内容、なるための要件などを詳しく解説していきます。

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サービス管理責任者(サビ管)とはなにか

サービス管理責任者とは障がい者福祉サービスで支援の総合的な管理を担当する責任者のことであり、施設を利用する障がい者一人ひとりの個別支援計画の作成やスタッフとの連携や技術指導などをおこないます。

詳しくは後述しますが、サービス管理責任者になるためには実務試験の合格と研修修了を経て、資格を取得する必要があるほか、資格取得後も5年毎に更新研修を受けなければなりません。

グループホームや就労移行支援など障がい者福祉サービスにはさまざまな種類がありますが、どのサービスにもサービス管理責任者を配置することが障害者総合福祉法で義務付けられており、多くの事業所がサービス管理責任者の採用や定着に向けて試行錯誤しています。

サービス管理責任者(サビ管)に求められる役割とは

サービス管理責任者は支援の総合的な管理を担っている立場ですが、具体的にはどういった役割があるのでしょうか。

ここではサービス管理責任者の主な3つの役割を紹介していきます。

個別支援計画の作成

個別支援計画とは、障がい者福祉サービスの利用者に事業所がどのような支援を提供するのかを記した計画書のことです。

サービス管理責任者が個別支援計画を作成する役割を担っており、サービス利用者とその家族にヒアリングした情報に基づいて、必要な支援や目標を決めていきます。

個別支援計画の原案作成後は、障がい者福祉サービスの事業所スタッフと会議をおこない、さらに計画をブラッシュアップしていきます。

ブラッシュアップ後、サービス利用者とその家族の承諾を得て計画の実施・進捗確認(モニタリング)をおこないながら、より良い支援のために必要があれば計画を修正します。

関係機関との連携

サービス利用者が望む優れた支援を提供するために、サービス管理責任者は他事業所や行政、サービス利用者が利用している病院など関係機関と連携し、包括的なサポート体制の構築をおこないます。

また関係機関との連携によって、サービスの利用希望者を紹介してもらえたり、地域自立支援協議会に参加したりして地域社会との関係を深めていきます。

事業所スタッフへの技術指導

サービス管理責任者は、事業所スタッフの技術指導やマネジメントもおこなっており、事業所全体の支援の質を向上させます。

事業所スタッフの適材適所の人員配置や事業所内研修、技術指導による人材育成などを幅広くおこない、事業所全体のサービスの質を向上させます。

サービス管理責任者(サビ管)の業務内容について

サービス管理責任者の大まかな役割を説明しましたが、どのような業務内容をおこなっているのか分からない方もいるのではないでしょうか。

ここではサービス管理責任者の具体的な業務内容を説明していきます。

個別支援計画作成とアセスメント

前述したようにサービス管理責任者はサービス利用者に適切な支援をおこなうことを目的として、個別支援計画を作成します。

個別支援計画の原案を作成するために、サービス管理責任者はサービス利用者とその家族に実現させたい目標や現在の心身の状況、本人の性格、生活環境などを確認・分析するアセスメントをおこないます。

一通りアセスメントが終わったタイミングで、サービス利用者とその家族の承諾を得たうえで、個別支援計画の主に以下の記載事項を埋める形で原案を作成していきます。

  • 本人と家族の意向
  • 支援内容と方針
  • 実現させたい長期目標と短期目標
  • 支援する期間と優先順位など

原案作成後は支援を提供する事業所スタッフとの会議で個別支援計画をブラッシュアップし、サービス利用者とその家族との面談で最終確認をし、承諾を得てから支援サービスの提供を開始します。

個別支援計画のモニタリングと報告書作成

サービス利用者を取り巻く状況は変わるため、サービス利用者の今現在の状況と個別支援計画で定めた支援内容を照らし合わせ、十分な支援を提供できているのかを確認します。

サービス利用者本人と定期的にアセスメントを実施し、支援内容と目標の達成度合いをモニタリングしていきますが、当初の計画で期待していた支援を提供できていないことが判明した場合、直ちに計画を修正します。

モニタリングの実施状況や計画の修正などは記録として保存しておく必要があり、報告書としてまとめますが、個別支援計画を変更する際もサービス利用者本人との面談と計画書の手渡しが法令で必須とされています。

モニタリングの頻度は障がい者福祉サービスの種類によって、以下のように必要最低限の頻度が定められていますが、事業所によっては月1などの頻度でおこなっている場合もあります。

より良い支援をおこなうための関係機関との連携

個別支援計画で定めた支援を実行するためには、他事業所や行政、サービス利用者が利用している病院など関係機関との連携が必須であり、包括的なサポート体制を構築する必要があります。

サービス利用者一人ひとりの障がいの度合いや個性、実現させたい目標、必要な支援などは大きく異なるため、どの機関と連携すれば適切な支援をおこなえるのかを十分に検討していきます。

また関係機関との連携を深めることで、各分野の専門家の意見も聞けるようになるため、個別支援計画で定めた目標も達成しやすくなります。

事業所スタッフのマネジメント

事業所全体の支援の質を高めるためにサービス管理責任者は、事業所スタッフのマネジメントや技術指導をおこないます。

支援の質を向上させるためのOJTの実施や外部研修への参加、資格の取得促進など幅広い対応がありますが、いずれの業務もより良い支援のために障害者総合福祉法にもとづいておこなうことが義務付けられています。

サービス管理責任者(サビ管)で必要な要件とは

サービス管理責任者になるためには、一定の実務経験を積んだ上で基礎研修・実務研修を修了する必要があります。

ここではサービス管理責任者で必要となる主な要件を説明していきます。

指定施設での実務経験

サービス管理責任者になるための条件の一つとして、厚生労働省の指定施設で一定年数以上の実務経験を積む必要があります。

特定の資格のいずれかをすでに所持している場合、必要とされる実務経験の年数が短縮される仕組みです。

3年以上など実務経験の期間は明確にされていますが、単に在職しているだけでは実務経験としてはカウントされません。

実際に指定施設で従事した日数が1年あたりで180日以上であることが求められており、3年以上の実務経験が必要な場合は、「指定施設に3年以上在籍し、実際に従事した日数が540日以上」をクリアする必要があります。

ただし、1日の勤務時間は問われないため、例えば非常勤職員として1日5時間だけ勤めていた場合も1日としてカウントされます。

必要とされる実務経験の期間は、以下3つのパターンによって異なります。

  • 相談支援業務の場合
  • 直接支援業務の場合
  • 国家資格・公的資格を所持している場合

それぞれ詳しく解説していきます。

相談支援業務の場合

相談支援業務とは、身体や精神の障がいがある方の日常生活での自立に関する相談・アドバイス・指導などの支援をおこなう業務です。

相談支援業務で実務経験を積む場合、主に以下の指定施設で5年以上の在籍かつ900日以上実際に従事する必要があります。

  • 地域生活支援事業
  • 障がい者支援施設や地域包括支援センターなどの福祉施設
  • 障がい者職業センター、障がい者就業・生活支援センター
  • 特別支援学校など

直接支援業務の場合

直接支援業務とは、身体や精神の障がいがある方の日常生活での自立を支援するために入浴・食事・排泄などの介護や介護に関する支援、生活能力向上のための訓練、訓練をおこなうスタッフの指導などをおこなう業務です。

直接支援業務で実務経験を積む場合、主に以下の指定施設で8年以上の在籍かつ1,440日以上実際に従事する必要があります。

  • 障がいがある方が入所・通所する福祉施設
  • 病院・診療所・薬局・訪問看護事業所
  • 特例子会社・重度障害者多数雇用事業所(就労移行支援担当者のみ)
  • 特別支援学校など

国家資格・公的資格を所持している場合

資格を所持している場合、資格の種類に応じて必要な実務経験の期間が短縮します。

国家資格の場合、所持した状態で3年以上、相談支援業務・直接業務支援のいずれかに従事していれば条件を満たすことができます。

基礎研修の受講

サービス管理責任者になるためには、基礎研修を修了することも必要であり、実務経験の要件を満たす2年前から受講できます。

基礎研修の内容は以下の2つに分かれており、試験は設けられていません。

  • 相談支援従事者初任者研修(11時間)
  • サービス管理責任者研修(15時間)

参考:東京都福祉局東京都心身障害者福祉センター「サービス管理責任者研修・児童発達支援管理責任者研修研修制度について

実務研修の受講

実践研修は、基礎研修修了から5年間に厚生労働省の指定施設で2年以上の相談支援業務もしくは直接支援業務に従事した方が対象となる研修です。

実務研修は14.5時間で試験などは設けられておらず、実務研修を修了した後は正式にサービス管理責任者として事業所に配置されます。

その後は5年ごとに更新研修が必要となる

サービス管理責任者として務め続けるためには実務研修終了後も5年毎に更新研修を受講し続ける必要があります。

各年度ごとに受講対象者の優先順位が設けられており、受講希望者が多い場合は該当する年度に更新が必要な受講者が優先される仕組みになっています。

自分が優先される年度に更新研修を受講し忘れると、最悪は更新研修を受けられないおそれがあるため、自分の更新研修が優先される年度を確認し、確実に受講できるようにしておくようにしましょう。

期間内に更新研修を受講できない場合はサービス管理責任者の資格を失い、サービス管理責任者として再び従事したい場合は実務研修から受講し直さなければなりません。

サービス管理責任者(サビ管)の働く場所とは

障がい福祉事業所・施設で支援の総合的な管理・指導をおこなうサービス管理責任者は、具体的にどのような場所で活躍しているのでしょうか?

ここではサービス管理責任者が働く主な障がい福祉事業所・施設を紹介していきます。

療養介護

療養介護では、病院などに入院している医療的ケアが必要な障がいを持つ方を対象として、主に昼間に機能訓練・看護・介護・日常生活上の支援を提供します。

生活介護

生活介護では、障がい者支援施設などで常に介護が必要な利用者に対して、主に昼間に入浴・食事・排泄等の介護や洗濯・掃除等の家事、日常生活上の支援、創作活動や生産活動の機会などを提供します。

自立訓練(機能訓練)

自立訓練(機能訓練)では、身体障がい、もしくは難病を持つ一定の支援が必要な方を対象に、理学療法・作業療法や必要なリハビリテーション、日常生活上の相談対応などの支援を提供します。

自立訓練(生活訓練)

自立訓練(生活訓練)では、知的障がい、もしくは精神障がいを持つ一定の支援が必要な方を対象に、支援施設・事業所・利用者の居宅に訪問し、入浴・食事・排泄等の自立した日常生活を目指すための訓練や生活上の相談・助言などの支援を提供します。

共同生活援助(グループホーム)

共同生活援助(グループホーム)では、障がいを持つ方に共同生活を提供し、食事や入浴など日常生活上のサポートを提供します。

今回は簡易的な説明となりましたが、さらに詳しく共同生活援助を知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。
障害者グループホームとは?種類や条件、メリットを解説

なお、GLUGでは障害者グループホームの開業から運営までトータルでサポートしています。

障がい者グループホーム事業について詳しく知りたい方はこちらのページもご確認ください。

就労移行支援

就労移行支援では、一般企業などへの就労を希望する障がいや難病を持つサービス利用者に就労に必要な能力向上のための訓練・支援を提供します。

さらに詳しく就労移行支援を知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
就労移行支援とは?料金やメリット、利用方法について解説

就労継続支援(A型・B型)

就労継続支援(A型・B型)では、障害や難病が理由で一般企業では働くことが困難な方を対象に働く場を提供しつつ、スキルや経験を積むための訓練・支援をおこない、自立した生活を送れるようにサポートします。

就労継続支援A型はサービス利用者と雇用契約を結ぶため、最低賃金以上の給与が支払われます。

就労継続支援B型はサービス利用者と雇用契約を結ばない仕組みであるものの、その分サービス利用者の自由度は高く、体調や精神面などを優先しながら無理のないペースで働けます。

今回は簡易的な説明となりましたが、さらに詳しく就労継続支援を知りたい方は以下の記事も併せてご覧ください。
就労支援とは?就労継続支援A型、B型、就労移行支援の違いについて解説

なお、GLUGでは就労継続支援A型事業の開業・運営についてもトータルでサポートしています。

就労継続支援A型事業について詳しく知りたい方はこちらのページもご確認ください。

障害福祉事業に取り組みませんか?

GLUGでは障害をお持ちの方がより活躍できる社会を実現するため、障害福祉の開業から経営改善までトータルで支援しています。
無料相談のほか、事業所の見学や取組シミュレーションもおこなっておりますので、少しでもご興味をお持ちの方は弊社までお問い合わせください。

まとめ

サービス管理責任者は障がい福祉サービスで支援の総合的な管理や指導をおこなう責任者であり、障害者総合福祉法によって障がい福祉事業所・施設毎に配置が義務付けられています。

そうした理由からサービス管理責任者を求める開業準備中の障がい福祉事業所・施設は多く、サービス管理責任者が見つからないことで開業が進まないことも珍しくありません。

少しでも早くサービス管理責任者を見つけたいと考えている方は、フランチャイズで障がい福祉事業所を開業することも検討しましょう。

フランチャイズであれば本部が経営ノウハウを提供しているほか、サービス管理責任者探しもサポートしているため、開業準備の負担を減らすことができます。

担当者T.Aのイラスト

記事の監修者

T.A

社会福祉士、社会教育主事、サービス管理責任者

福祉系大学卒業後、社会福祉法人にて就労継続支援A型事業の立ち上げにジョイン。業務指導と併せて商品開発や営業に従事。また同法人にて放課後等デイサービス事業や相談支援事業、就労継続支援B型事業などの立ち上げをおこなう。
その後、特例子会社にてBPO業務管理や障がいのあるメンバーのマネジメントや採用に携わり、現在は福祉コンサルティング会社にて福祉事業のSVとしてクライアントの運営サポートをおこなっている。